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偏差値20の頭脳戦~頭が全ての学校で誰よりも馬鹿なはずなのに、なぜか無双してモテてしまう~  作者: 松竹梅竹松
第2章 生徒会選挙

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第2章 第11話 ハイリスクローリターン

「蓮司の話は一旦置いておきましょう」



 霊御さんが紅茶を一口啜り、言う。



「あくまで私たちはチームです。この中から優秀な人間を選出したい。今日の目的はそれですよ」

「ふーん、誰でも一緒だと思うけど」



 誰でも一緒、か。確かにその通りだ。現状霊御さんと龍華さん以外、何もしていない。



「ほしい方はそうですね……積極的に動いてくれる方。歩兵的な方を一名ほしいです」



 歩兵……雑兵か。悪事にも手を染め、有事の際には犠牲になる兵士。おそらく霊御さんは、そういう人間を求めている。



「じゃあさ、こうしようよ」



 そして龍華さんも止まらない。



「誰に推薦してもらったか明かす。それができる人は信用できるんじゃないかな」

「龍華っ!」



 そんな止まらない龍華さんに、姉の斬華さんが食らいつく。



「それは規約違反よ。知ってるでしょ!?」

「発覚したら退学かもだっけ? でもさ、霊御さんは危険を恐れずに実行できるような人がほしいんじゃない? それにバレなきゃ問題なしだよ」


「バレたらどうするの? この中の誰かが裏切ったらその人は退学よ。そんなの……!」

「ていうか斬華、うるさい。あぁそっか。みんなが明かす流れになったら斬華困るもんね」


「私が革新派なことなんてどうでもいいわっ! 人の将来を壊しかねない! そんな行為にあなたは手を染めているのよっ!? いい加減目を覚まして! 龍華はそんなことする子じゃ……!」

「ほんと……うっざいなぁっ!」



 口の中からチェリーの茎を吐き出し、龍華さんが立ち上がる。



「斬華は関係ないでしょ!? 性格的にも派閥的にも明かす必要ないんだからっ! わたしもそう! この立ち位置にいる以上そんなリスクは負わなくていい! わたしもおねぇちゃんも安全なんだよっ!」

「私たちだけの問題じゃないでしょっ!? みんなが困る! そんな行為、認められないっ!」


「みんなみんなうっさいなぁ……! じゃあ蓮司くんのとこ行ってよっ! わたしのせいで蓮司くんは今困ってるっ! わたしは傍にいてあげられないっ! 斬華が助けてくれたら……!」

「私はあなたから離れないっ! 私じゃないと、あなたの暴走を止められないっ! それが私がここにいる理由よっ!」



 言い合い。言い争い。口調や語気はどちらも強く、凶暴だ。



 それでも2人の表情は。私からは、とても悲しそうに見えた。



「ほんと……嫌い……。斬華なんて、大嫌い……」



 そんな中、龍華さんがふらふらと揺れ、ぽつり。



「わたしは3年生徒会庶務、赤道天也(あかみちてんや)さんに推薦された……」

「全員スマホ出してっ!」



 龍華さんの突然のカミングアウトをかき消すかのような大声で斬華さんが叫ぶ。



「龍華……なんてことを……。誰かが録音してたら退学だったのよ……?」

「知らないよ……そんなの。斬華がいてもいなくてもわたしは変わらない。これでわかったでしょ……?」



 自分の身すら犠牲にした龍華さんの宣言。誰も録音していなかったからよかったものの、本当に退学になるところだった。他クラスとはいえ、私も人が退学になるところなんて見たくない。本当によかった……。



「話遮るようで悪いけど俺もいいか?」



 みんなが一息つく中、斉賀さんが手を挙げる。



「俺は3年生徒会副会長、亀川龍也(かめかわたつや)さんから推薦を受けた」

「斉賀さん!?」



 龍華さんに加え、斉賀さんまで……!



「誰も録音してないなら安心だろ? これで信用が得られるなら安いもんだ。雅ちゃんは?」

「私は……言わない」



 残念ながら私はそういうずるいことができる人間ではないし、霊御さんもそれはわかっているだろう。というかそういうのができるのはこの中では斉賀さんと龍華さんだけ……。



「あたしも……言う。3年生徒会会計、無堂虚(むどううつろ)さんが推薦人だよ」

「如月さんまで……!?」



 これで残りは私と斬華さん。それと意味はないが、霊御さんだけになった。でも確実に斬華さんは革新派。絶対に言えないはずだ。



 言えないはずなのに斬華さんは冷や汗を垂らし、絞り出すように言う。



「龍華……退学になるなら一緒によ……」



 ま、さか、斬華さんまで言うつもり……!?



「私は……」

「馬鹿っ! 斬華が言う必要ないでしょっ!?」



 そのまま続けようとする斬華さんを、文字通り龍華さんが抑えつける。



「でも龍華が退学になったら……私は……」

「わたしは退学にならないし! 斬華まで退学になる必要なんてないっ! わたしはただ斬華に勝てれば満足なのっ!」



 再び言い争いを始める龍華さんと斬華さん。既に手まで出てしまっている。2人とも背が低く小さいので大怪我をすることはないだろうが、危険な状態であることに変わりはない。



「……ふふ」



 それなのに霊御さんは笑っている。



 隣がいなくなった玉座で、脚を組んで楽しそうに。ただ笑っていた。



「霊御さん……?」



 困惑する私のスマートフォンが震える。誰かからの連絡のようだ。開いてみると、



「斉賀さん……?」



 それは目の前にいる斉賀さんからのメッセージ。その内容は、



「なにを……言って……!?」



 霊御さんを裏切ろうという提案だった。

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