第1章 第22話 なかよしこよし
「いやそれならいいです。遠慮しときます」
「え……?」
龍華と関わらなければ5000万ポイントくれる? 悩む必要すらない。普通に考えてナシの提案だ。
「……いいの? 契約書に書いている以上嘘は言わない。本当に5000万ポイント。つまり5000万円が、蓮司くんのものになるんだよ?」
「いやそんな大金使い道ないし……せっかくできた友だち捨てるの嫌ですもん」
信じられないという様子で繰り返す永夢さんに、言うのすらめんどくさいほどに当然の答えを返す。ここで5000万ポイントほしいです! とか言ったら馬鹿以下じゃん。
「そうだ! 俺と樹さんで2500万ずつ分けるのは? それならえーと……ウィーンウィーンってやつでしょ」
ナイスな提案だと思ったが、永夢さんの表情はひどく険しい。
「……言ったよね。頂点を目指せない人間が上に上がれるわけがない。なかよしこよしでやってこうなんて考えが甘すぎる。シラケることしないでよ」
「それはあんたの理屈だろ」
永夢さんの言っていることは正しいのかもしれない。だが俺には関係ない。常識なんて知らないからな。
「俺はなかよしこよしがしたいんだよ。友だちを作って、彼女を作って、楽しい高校生活を送りたい」
「だからさ~そんな甘い考えで……」
「知るか。俺はみんなと仲良く上に上がってやる。……いや別に上に行かなくてもいいな。ごめんなさい、今のなし。えーと……」
なんて言えばいいんだろうな……難しい。えーと、えーと……。
「……それを言語化するのがわたしの役目だよ」
日本語の難しかに頭を悩ませていると、小さく。それでいて強く、龍華が口を開いた。
「蓮司くんにできないことはわたしがやってあげる。それがウィンウィン、ってやつだよ、蓮司くん」
その顔に陰りは一切なく、何か吹っ切れた様子で俺に指示を出す。
「蓮司くん、外に出ててくれる? 樹さんも。わたしが甘かった。交渉なんて難しいこと、わたし1人でやるべきだったんだ」
「……1人で大丈夫かよ」
「大丈夫だよ。1人じゃないから。わたしの胸には……」
「あーそうだよな。永夢さんもいるから2人だ。っていうか、え? 胸の話したっ!?」
「……やっぱわたし1人で充分だった」
なんか呆れられてる気がするけど気のせいか? 気のせいだな。
「……勝手に話進めてるとこ悪いけどさ~。龍華ちゃんみたいな普通にシラケる人間に興味ないんだよね~」
口調こそ飄々としたものだが、表情にその面影はない。そんな永夢さんを見て、まるで形勢逆転したかのように。龍華は、笑った。
「ギャンブルは知りませんが、ビジネスは得意なんです。必ずアツクしてあげますよ」
「へ~。それはシラケる~」




