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槍と氷で頑張ります!  作者: 鹿鹿
2章 修行と克服
21/29

21話 街であれこれ

会話が3人以上になった時に鉤括弧の前に名前を入れる事にしました。

ランス=ラ

ラ 「分かりずらかったらごめん。」

ユ 「説明が下手。」

エ 「余計に読みずらかったらどうすんだ?」

ル 「力を使うのもあれなので、教えて頂けたら幸いです。」

俺と雪は家を後にし、ギルドを目指して歩く。今の時刻は10時を少し回ったくらいだ。


「街に出るのも雪と会って以来だね。」

何か引きこもりみたいな言い方だが、引き篭もってはいない!外には一応出ている。庭だけど。


「そうだね。日にちはそんなたってないけど、懐かしい。」

雪も同意だったらしい。買い物とかはエリスとルーンがしてくれたし、それ以外の人とは全く関わりなかったしな。あれ?これってつまり引き篭もり?


「雪も随分変わったし、この前よりは楽しめるんじゃない?入りたいお店とかあったら言ってね!」


「うん。ルーンもデート?って言ってたし。」

えっ?これってデートなの?もう1人加わる予定だし、そんな考え全く無かったわ。それにビビって2人してフード被ってるし、周りから見たらデートってより、不審者だろうな。


「うーん、何か違う気がするけど、楽しめるならいっか!」

雪も頷いてくれたので、それでいいやと思いギルドを目指す。


ギルドに着き受付に行くとミシャさんと意外な人物が立っていた。


「大変だよルーン!テンビンさんの所のゴリラがギルドを占拠してる!!」

あっ、ルーンは居ないんだった。こうゆう時はルーンが頼りになるのに。仕方ない。雪に頑張ってもらうか。


「大変だよ雪!テンビンさんの所のゴリラがギルドを占拠してる!!」

雪に向かって言い直す、するとゴリラの亜人がカウンターから出てきて、俺の頭を掴むとそのまま持ち上げる。俺はあまりの恐怖に抵抗出来なかった。


「あなた。奴隷の館で私に熱い視線を送ってくれたキュンキュンボーイじゃない。占拠なんてヤボなこと言わないでよ!ここのギルマスにか.わ.れ.た.の!!」

ウッフーン。とばかりな言い方だ。俺はさらに恐怖する。外見と喋り方のギャップに。そして後悔した、やっぱり街に何てくるんじゃ無かったと。こんなんトラウマになるわ!俺の意識が朦朧としてきた所で雪が助けに入ってくれる。


「変な事言ってごめんなさい。この人バカなんです。」

まさかのバカ呼ばわりだ。酷いよ雪。


「もう、次からは気をつけてよね!私だって乙女なんだから、傷付くのよ。」

そう言って俺を下ろしてくれた。衝撃の連続だったので、頭はスパークしている。俺が立ち直るには少し時間が必要だった。ちなみに雪も若干引いていた。



しばらく休むと少しはマシになったので、今日の本題を話しにまたミシャの元へ行く。ゴリラは相変わらず隣に居たが、無視する事にした。あんなのもう嫌だ。


「ミシャさん。街を一緒に歩こう!」

単刀直入に言う。


「あのー、お仕事中なんですが?」

うん、すっかり忘れてました。ギルドに居るんだもんそうだよね。エリスも分かってたけど、早く追い出したいからミシャさんの名前出したんだな。


でも2人じゃ不安だしなぁ、帰る訳にも行かないしなぁ。少し悩んでると救いの手が出る。


「わ.た.し.が一緒に行ってあげるわよ!

全然救いじゃない。拷問だ。んっ?まてよ。ここで俺は閃く!天才的な閃きだ!


「ミシャさん、このゴリラが受付やってくれるって!」

どうだ!ゴリラが出れるって事は1人残ってれば良いって事だ。完璧な閃きに自画自賛してるとドスの利いた声が俺に刺さる。


「殺すぞガキ。」

俺は全身の毛が逆立ち命の危険を感じる。発してるのはもちろんゴリラの亜人だ。

俺の全身はガタガタ震えていた。凄い勢いで。

「ミシャさんに用があるの。ダメ?」

雪が助け船を出してくれた。


「だ.め.よ.!あたしが行きたいの。」

完璧に詰んだ。俺と雪の今日一日が地獄になる。こんな凶暴でワガママなゴリラと一緒に街を歩くくらいなら、2人の方が100倍ましだ。俺と雪は絶望に沈む。


「リコ、変わってやれ。ミシャ。一緒に行ってやれ。」

本物の救世主が現れた。ギルマスのゴーさんだ。

「いいんですか?」

ミシャも少し驚いている。そりゃ勤務中だしな。

「あぁ、事情を知ってるお前が適任だ。担当にもするつもりだから、仲を深めておけ。」

エリスも同じような事言ってたな。受付嬢と冒険者ってそんなに繋がりが強い物なんかね?


「もー。ゴーちゃん、あたしも行きたかったのにぃ。」

諦めがつかないのか、甘えた声で言っている何故だろう、胃の中全部、戻しそう。うん、見事な俳句だ。


「お前の事は後で連れてってやるから、今日は我慢してくれ。」

まだ不満はありそうだったが、納得はしてくれた見たいだ。こうして俺達は救われた。ゴーさん。この恩は必ず返すから!!そう思っていると俺達にも声がかかる。


「お前らいつから仕事するんだ?本当は今日の予定だったろ?」

何で知ってんの?と思うが、エリスは午前中に出掛ける事が多いので、その時に色々話しているんだろう。


「色々ありまして、エリスに一発入れるまでは仕事はしない事になりました。」

聞く人が聞けばそう聞こえるかも知れないが、意味は違うからね。ゴーさんなら分かってくれるよね。


「お前も好かれてるな。まっ、なるべく早く来てくれよ。仕事はいっぱいあるからな!」

ゴーさんはそれだけ言うと自分の部屋に戻って行った。まぁ確かに好かれてはいるだろうけど、今更だよな。


「では、準備してくるので少し待ってて下さいね。申し訳ないですけどお願いしますね、リコ。」

ミシャもそう言って着替えに行ってしまう。

どうやらゴリラの亜人はリコって名前らしい。特段喋る事もないし、怖いので、受付カウンターを後にしテーブル席で待つ事にする。


結構な数の冒険者がいて、相変わらず好きな事をやっている。何人か雪にもちょっかい出してくる人は居たが、口で言えば下がってくれる人達だったので助かった。それと何やら問題を起こした冒険者がリコにボコられていた。周りからは、さすがゴーの秘蔵っ子や、ギルドの最終兵器、破壊の権化など色々な呼び方をされていた。テンビンさんも戦闘能力は高いって言ってたし、相当強いのだろう。


だが、俺はまだ知らなかった。ここから始まる華麗なるゴー.一族の物語を。それに巻き込まれるミシャの災難を。


なーんて馬鹿な事を考えているとミシャが着替え終わり、出てきた。しかし朝から何かが物足りない。



「何か仕事中にごめんね。」

働いた事はないが、普通ならダメだろう。それにリコにまかせたとは言え、他にも仕事はあっただろう。


「大丈夫ですよ。ギルマスの指示ですし、リコも居ますから。それにランスさん達の担当になるらしいので。ある程度は信頼関係も必要ですから。」


担当?そういえばゴーさんも言ってたな。何が違うんだろ?


「担当だと何が違うの?」


「私がランスさん達に仕事を振ります。もちろん自分で選んでもらっても大丈夫ですが、それに適してないと判断した場合は却下します。要するにサポート役です。ランクの低い冒険者には担当が着く決まりがあるんです。」

なるほどね。無茶な依頼を受けさせないようにする為か。確かに相手の事を分かってないと無理だし、話し合う必要もありそうだしな。信頼関係は必要だな。でもこの世界のヒールって凄いからなぁ。そうそう死ななそうだけどな。


「新人の冒険者って死ぬ確率は高いの?」


「無いとは言えませんが、そこまで高くないですね。」


「やっぱりヒールって凄いんだね!」

俺がそう言うと、ミシャはとんでもないって顔で反論してきた。


「それは違います。ちゃんと仕事を振っているからです。それにヒールは優れていますが。ルーンさんの物と比べてはいけません。ランスさんの腕だって、本来のヒールなら傷口が塞るまでもっともっと時間がかかるんです。だから過信しては行けません。」


怒られてしまった。俺はルーンと雪のヒールしか知らない。雪も凄いが、それが一般的なのかは分からない。雪がヒールを使えなくなったら困るだろし、一般の基準も知っておいた方がいいよな。ってか腕の事知ってたのか。まぁ、仕事上話さないと駄目な事だけど、あんまり知られたくないんだよな。


「そっか、やっぱルーンは凄いんだね。早速サポートしてくれてありがとう!」

まっ、ミシャなら大丈夫だろう。言いふらす事なんてしないだろうし、まだ仕事も始まってないのにサポートしてくれてるし!これから長い付き合いになるしな。


「いえ、それが仕事ですので。腕の事はすいません。」


俺はそう思っていたが、ミシャ自身はうっかり口を滑らせてしまったみたいで平謝りだった。以外とドジっ子なのかな?


そんなこんな喋りながら歩く。ギルド方面には門とか転移石とか武器屋があり、男は好きそうだが、女性には興味がないと思うので、反対方向を目指す事にする。商業エリア?に着くと色々な店や露店があり、見ているだけでも楽しかった。


露店の中には食べ物が売ってる所もあり、いい匂いに釣られてついつい買ってしまう。特に美味かったのが、ソーセージだ!何の肉かは分からないが、程よい焼き加減で、まさにパリッ、ジュワーって感じだ。味付けがシンプルだからこそ、肉の旨味が十分分かる。これを食べる為だったら1人でもこれそうなくらいに気に入ってしまった。

雪もミシャも美味しかったのか、笑顔で食べていた。雪の笑顔を見られるのは幸せだ。普段クールな分、破壊力は倍増されるのだ。


ある程度小腹を満たすと、ユン婆の店へと向かう。たいした用はないが、せっかく来たんだから挨拶しておきたかった。


「ユン婆久しぶり!元気だった?」


「ルーンの所の小僧と小娘か。それにミシャじゃないか。珍しい組み合わせだね。」

小僧と小娘ってw間違ってないけどさ。ミシャとは知り合いなんだ。まぁ、あまり広い街じゃないしな。


「色々ありまして。今日は一緒に遊んでいるんです。」

雪はデート、ミシャは遊び。何だか悪い男だな俺は。


「そうかい、まっ、ゆっくり見てきな。」

ユン婆にそう言われ店の中を見て回る。もちろん雪も自分の見たい物をちゃんと歩き周り見ていた。


「随分変わったね、あの子。」

奴隷と知ってるのにそう呼ばない。その優しさが嬉しい。


「ユン婆のおかけでもあるよ。雪はあの服本当に気に入ってるから。ありがとう!」

本当にユン婆には感謝してる。最初に選んでくれた服があの服だったから、雪の心を動かす1つのきっかけになってくれた。


「そうかい、なら良かったよ。」

ユン婆は雪を見つめながら優しく言っていた。


「ねぇ、奴隷をこの店で働かせるのは嫌?」

もちろん雪の事ではない。でも聞いて見たかった。


「その子次第だね。雪ならいつでも雇ってあげるよ。」

やっぱりユン婆には奴隷に対して差別意識はない。これは大きな一歩になるかもしれない。


「そっか。まだ分かんないけど、その内紹介するかも。雪は絶対に駄目だけどね!」


「まっ、紹介してくれるなら早くしなよ、私も長くないんだから。」

こんだけ元気なくせに良くゆうよ。後30年は安泰だろうな。


「お婆ちゃん、この前はごめんなさい。」

俺とユン婆が話してたのが気になったのか、雪も混ざってきた。


「ちゃんと着てくれてるんだから、いいよ!これからも大事にしな。」


「うん。大切にする。」

そう言ってユン婆に笑顔を向ける。


「ほら、ババアの顔より、店ん中みてな、少しはまけてやるから。」

少し照れたのか、そう言って雪を追い払ってしまった。


「やっぱり今すぐ雪を寄越しな。」

よっぽど笑顔にやられたらしい。滅茶苦茶な事を言ってきた。


「悪いけどそれは無理。離すつもりないし!」


「チェ、まぁ、あの子もあんたといた方が幸せか。ってかお前もババアと喋ってないで、店ん中見てきな。少しは割増してやるから。」

そう言って俺も追い払われてしまう。なせが割増だったし。


そんなこんなで店を見て回り、雪とミシャは気に入った物があったらしく買っていた。しかもミシャの奢りだ。いつの間にそんな仲良くなったんだろう?


ユ 「ミシャ、ありがとう。」


ミ 「いいんですよ。お近づきの印です。」


ユン 「お前も奢る立場になったんだね。」


ミ 「もー、私だって成長したんですよ。それに仕事が忙しくて。お金は溜まる一方ですよ。」


ユン 「なら早く結婚しな。」


ミ 「相手が居ません。それにまだ若いから大丈夫です。」


ユ 「結婚って何?」


ユン 「後で小僧に聞きな。」


ユ 「分かった。じゃ、またねお婆ちゃん。」


ユン 「あぁ、またおいで、雪、ミシャ。」




2人がユン婆と喋り終わり店から出てきた。何を買ったかは知らないが満足そうなので良かった。時間もお昼ぐらいになるので、昼食を食べようと提案する。


「それでしたら、美味しいお店がありますよ。」

さすがミシャ様頼りになる。


ミシャに着いて歩いていると、前から聞き覚えのある声が聞こえてくる。


「すいませーん。止まれないので避けてください!」あの時の突進少年だ。確かジークって名前だったはず。しかし街の中を猛スピードで走っている。また何かやらかしたんだろうか?


そんな少年はなぜか俺に向かって走ってくる。でもあの時の俺とは違う。まだ日は短いがエリスと修行してるのだ!


俺は猛スピードで走ってくる少年をマタドールのような動きで華麗に躱す……はずだった。なぜか少年が俺が躱した方にタックルして来たのだ。絶対故意だよ。俺は吹っ飛ばされる、しかし逃すつもりはないので、タックルしてきた少年を掴み。一緒に吹っ飛んだ。


「大丈夫?」


「大丈夫ですか?」

雪とミシャが駆け寄ってくれ、声をかけてくれる。


「うん、飛ばされるのは慣れてるし、エリスのパンチのがよっぽど痛いから!」

自分でも悲しくなるが、結構な数吹っ飛ばされている。少年は逃げようと抵抗しているが、俺の方が力が強いので無駄だった。


そこで後から追ってきていた姉ちゃんが追いついた。鬼の形相だった。


「ごめんなさい。ってあの時の人じゃないですか。」

流石に2回も同じ人にぶつかったとなるとビックリするのか、顔が普通に戻っていた。


「どうも、ランスって言います。こちらは雪であちらがミシャです。」

この姉ちゃんは怖いので丁寧に挨拶する。


「度々すいません。私はベリルです。ミシャさんのお知り合いだったんですね。」


どうやらミシャとは顔見知りらしい。受付嬢って顔が広いのかな?


「はい。まだ先ですが、ギルドで働く予定なんで。それやりこいつ何したんですか?」

こんな必死に逃げてる理由が気になった。


「冒険者の方だったんですね。少しばかりワガママだったので。特に何かした訳ではありませんよ。」

ベリルは少し驚きながら言っていた。まぁ、そうは見えないかもしれないけどさ。

それにしても少しワガママだっただけで、こんなに怒るのかな?やっぱりベリルは怖い人だな。うんうん。などと自分で納得してみる。やはり何かが足りない。


「ここでは何ですかから、ベリル達も一緒にお昼どうですか?」

そんなアホな事を考えてると、ミシャが提案してくる。確かに街の往来で立ち話も何なので、皆で店に向かう事にする。



店に入るとミシャと知り合いだったのか、20代くらいの定員の人が話しかけてきた。


「いらっしゃい。珍しいね、1人じゃないの。」


「やめてよ。いつも1人みたいな言い方。」

よほど気心が知れてるのか、普段は丁寧なミシャ口調が砕けていた。


「いつも1人じゃん。何お姉さんぶってんだよ。」


「ウフフ、後で覚えておいて下さいね。」

そう言ったミシャの笑顔は全然笑っていなかった。ってか女性陣が怖すぎる。雪にはこうなってほしくないな。


そんなやり取りをしながらも食べ物を注文し、来るまでの時間は色々な話しをした。

この店は向こうの世界で言う所のカフェっぽい店で、勇者が持ち込んだのか、パスタやオムライスならぬオムパン、サンドイッチなど、元いた世界と近しい料理が多かった。


ラ 「ミシャは定員とどんな知り合いなの?」


ミ 「幼馴染ですよ。」


ベ 「付かず離れずの関係ですよね。」


ミ 「ちょ、ベリル。何言ってるんですか!」


ラ 「へぇ、確かに定員と喋る時は砕けた口調だったしね。」


ジ 「姉ちゃんからは皆離れていくよな。」


べ 「ジーク君?お城に帰ったらお話しがあります。」


ラ、ジ 「すいませんでした。」


ベ 「何でランス君まで謝るんですか?」


ラ 「何かこわく」


ユ 「すいません。この人バカなんです。」


ラ 「雪ちゃん酷いよ。」


ユ 「ルーンが言ってた。ちょっと分かった気がする。」


これはマズイな雪にバカ認定されてしまった。それに全員爆笑してる。ジークに笑われるのは納得行かない。


ジ 「そう言えば兄ちゃんは冒険者になるの?」


ラ 「おう、強くなっていっぱい稼ぐのだ!」


ジ 「いいなぁ、俺もなりたいんだよね。」


ベ 「ジーク!!それは駄目って言ってるでしょ。」


どうやらジークも冒険者になりたいらしい。しかしベリルは反対のようだ、ちょっと言い方もキツイ気がする。


ラ 「何かあったの?」


ミ 「ランスさん。あまり他人の事情を安易に聞かない方がいいですよ。皆それぞれ何かを抱えてます。」


ミシャに怒られてしまった。確かに無神経だったのかも知れない。俺も話せない事がいっぱいあるしな。


ラ 「ごめん、ちょっと無神経だった。」


ベ 「いえ、大丈夫ですよ。こちらこそすいません。」


ジ 「姉ちゃんが過保護過ぎなんだよ。」


べ 「当たり前でしょ?たった1人の家族なんだから。」


ユ 「家族か。」


ラ 「俺達も家族みたいなもんだよ。」


ユ 「不思議だね。」


雪的には不思議らしい。そういえば雪が何で奴隷になったのかは聞いていない。これは雪から話してほしい。話さないなら話さないでもいいんだけどね。多分とても辛い思い出だろうから。


話してると料理が来て、皆で美味しく頂く。味も良かったし、ボリュームもたっぷりなので大満足だ。食べ終わり少しまったりしてから、店を出る事にする。なぜかミシャが奢ってくれた。さっき雪にも奢ってくれたのに、少し申し訳ない気持ちになってしまう。


「ミシャさん悪いから俺も出すよ。」

俺の金ではないがw


「大丈夫ですよ。これもお近づきの印です。」そう言って会計を済ませてしまう。


「気にすんな。年上の威厳を保ちたいだけだから。」定員の人が茶化す。


「アイン?何かな?」

今度は完全に怒ってるまじ怖い。

アインと呼ばれた男性も自分で言ったくせに震えていた。


そんなやり取りを経て、店を出るとベリルとジークは他の用事があるらしく、ここでお別れとなった。


俺はテンビンさんの所に行きたかったので、それを伝えると2人共了承してくれた。


「テンビンさん久しぶりです。」

相変わらずの仮面にタキシード姿。


「これはこれはランス様。お久しぶりです。今日はどの様なご用件で?」

姿は怪しいが、とても丁寧なのだ。


「この前の件どうなったかなと思って。」


「すいません。まだ見つかっては居ないんです。知り合いの奴隷商にもお願いしているんですが。」

うーん。やっぱりそんな簡単じゃないのかな?


「それに見つかったとしても、その主人が手放すかも分かりません。最悪な場合もあるでしょうし。」

自分でも分かっている。全員は救えない。力を身につけるにも金を稼ぐのにも時間がまだかかる。時間がかかる分だけ、助けられる可能性は減っていく。でもやらない選択肢はない。救えなくて落ち込む事もあるだろう。自分を責めるかも知れない。でもやる。これが罪滅ぼしだから。


「分かりました。引き続きお願いします。」

俺はそう言ってテンビンさんの所を後にする。雪は少し不安そうにしていたが、大丈夫だよと声をかける。


「ミシャ様。新しいゴリラの亜人が入っていますよ。ゴー様にそうお伝え下さい。」


「分かりました。多分買う事になると思うので、キープしておいて下さい。」


何やら不穏な会話をしているが、聞かなかった事にして店を出る。


「ルーンとエリスにプレゼントを買いたい。」

雪からの意外な提案だった。雪なりに色々考えたんだろう。その前向きな気持ちは嬉しい。でも。


「雪、それは俺達が稼いだお金で買おう。今持ってるのはエリス達が稼いだお金だから。きっとその方が喜ぶよ。」

これは俺も考えていた事だ。でも今あるお金で買うのは違うと思う。それも踏まえて最初の仕事は2人でしたかったのだ。早く金が必要なのは分かってる。だけど雪の事を蔑ろには出来ない。酷い矛盾だが。俺は雪を優先したんだ。


「そっか。分かった。」

納得してくれたようだ。出来るだけ早く強くなりたい。この時の俺は焦っていたのかもしれない。


その後も街を色々見て回り、時間もいい感じになったので、家に帰る事にする。


ラ 「ミシャさん、今日はありがとう。」


ユ 「ありがとう。」


ミ 「いえいえ、私も楽しかったですから。これからよろしくお願いします。2人には期待してますから。」


ラ 「任せて下さい。いっぱい稼ぎますから!!」


ユ 「私も頑張ります。」


そう言ってミシャと別れ、俺と雪は家に向かう。何だかんだ今日一日は楽しかった。何かが物足りない気はしたが、街の人々とも触れ合えたし、知り合いも増えた。中々の収穫だ。雪とあーだこーだ喋りながら歩くと家に着く。


「ただいまー!」

2人でそう言って、靴を脱ぎ、いつものポジションに座る。エリスは料理中でルーンだけが椅子に座っていた。少し深刻な顔をしている。体調は良くならなかったのかな?


「ルーン大丈夫?」

雪が聞いていた。


「えぇ、大丈夫ですよ。それよりランス君に話があります。」

俺に?何かやらかしたかな?


「なに?」


「私は心が読めます。」


「ふーん。それよりテンビンさんの所のゴリラがギルドにいてさー、占拠されたんかと思って焦ったんだよね!」

何となくそんな気はしてた、でもそれに救われた部分もある。ルーンの突っ込みはナイスだったし……そうだよ。これが足りなかったんだ。


「ふーん。ってそんな簡単な事では無いはずです。」

どうやらルーンは気にしてるらしい。でも間違いなく言えるのは、ルーンはこの力を悪用しない。


「それよりさー、誰も突っ込んでくれなくて寂しかったんだよね。結構バカな事考えてたのに。」


「嫌じゃないんですか?」

ルーンは真剣に聞いていた。


「ルーンママを嫌いにはなれないよ!」

バシッ!オデコを引っ叩かれた。痛いよ。


「全く本当にお馬鹿なんですから。」

でもルーンは笑ってくれていた、これがいい。ルーンには苦しい顔も辛い顔も似合わない。愛嬌がある、優しさがある、そんな笑顔が似合う女性なんだから。


「ありがとうございます。ランス君。」

ルーンは少し照れたのか、少し小声だった。しかしエリスにゲンコツを食らっていた。


「使うなって言ったよな?お前も変な事考えんな!ルーンが疲れるだろ!」


「えっ?力使うと疲れんの?」


「そうだよ!だから体調崩してんだろ!」


それには全く気付かなかった。俺がこの家に来てからずっと使っていたのだろう。雪の事も心配してくれたし、何だかこっちが申し訳ない気持ちになる。


ラ 「ルーンごめん。無理させてたんだね。」


ル 「半分くらいは楽しんでいたからいいですよ。」


ラ 「これからは思った事は口に出して言うから!無理しないでね!」


ル 「外では絶対やめて下さいね。失礼にしかなりませんから。」


エ 「そうだな。私達が恥をかく。」


ラ 「そんなに馬鹿な事言わないよ。」


ユ 「ランスは言う。」


ラ 「えっ?雪まで?」


ル 「ユキちゃんも分かってきましたね。」


ユ 「うん。今日一日で分かった。」


エ 「馬鹿な主を持って大変だな。」


ラ 「3人共酷すぎるよ。」


こうして女性陣に苛められる俺。この流れが固定化していくのを恐れつつ、日々を過ごして行くのだった。





遅くなってすいません。なるべく毎日投稿しようと思ってます。

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