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第7話:雑貨店

実戦を終えた翌日。

食卓には、いつもの賑やかさが戻っていた。

昨日とは打って変わって、三人の表情は明るい。笑い声が自然と生まれ。温かな空気が流れている。

実戦は週に一度、今日はいつも通りの一日だ。


朝食と訓練を終え、三人は街へと買い出しに向かった。

「せっかくだし、ポチのおもちゃとか買っていかない?」

ジェシカの提案に、

「それ、名案」

リーファが即座に強く頷く。


夕食の買い出しを終えた三人は、そのまま雑貨屋へ足を運んだ。

店主に「犬用のおもちゃ」を尋ねた。しかし…


「ごめんね、うちには置いてないんだ」


期待していた答えは得られなかった。

三人は他の店を求め、街を歩き回る。

――そのとき。

街の一角に、見覚えのない店を見つけた。

古びた外観。

錆びついた看板には、かろうじて読むことのできる文字でこう書いてあった。

『雑貨売ってます』


「こんなところにも雑貨店があったんだ」

「なんか……不気味な雰囲気〜」

メアリーの言葉通り、その店はどこか異質だった。

まるで、時間だけが取り残されているかのような雰囲気をしていたのだ

「やめとく?」

ジェシカが小さく尋ねる。

「行く」

迷いはなかった。

リーファは即答する。

その強さに押されるように、ジェシカとメアリーは顔を見合わせ、やがて頷いた。

「……じゃあ、行こっか」

三人はわずかな緊張を抱えながら、扉を押し開けた。


すると、中に広がっていたのは、予想とはまるで違う光景だった。

落ち着いた照明。整然と並べられた品々。どこか品のある、アンティークショップのような空間。

外の不気味さが嘘のようだった。

「すごい……」

思わず、メアリーが声を漏らす。


「見惚れてないで、ポチのおもちゃ探すよ」

ジェシカの言葉に、三人は店内を見て回る。

だが、それらしいものは、なかなか見つからない。

「うーん……どれがいいんだろ?」

悩んでいると、店の奥からひとりの女性が姿を現した。

「あら、お客さん?」

穏やかな声。

「はい! 欲しい物があって来ました!」

「いらっしゃい。私はメディーレ。この店の店主よ」

メディーレと名乗った女性は柔らかな笑みを浮かべ、三人を見つめる。


「あなたたちが噂の三人ね」

「噂の?」

ジェシカが首を傾げる。

「ええ。元気な女の子三人組がこの街にいるって聞いてね。会えるのを楽しみにしてたの」

その言葉に、メアリーが少し眉をひそめた。

「私たち、毎日街に来てるけど……一度も見たことないの〜?」

するとメディーレは、くすりと笑う。

「私、事情があって……日中は外に出ないようにしているの」

「外に出ないって……どういうこと〜?」

「まぁ……いろいろあってね」

それ以上は語らない。

三人は直感的に、それ以上踏み込むべきではないと感じた。


「それで? 何か探しているのよね?」

「ポチのおもちゃを買いにきた」

リーファが間髪入れずに答える。

「ポチ?」

「最近可愛がってる野良犬のことです!」

ジェシカが補足する。

「野良犬……この辺りにいるなんて珍しいわね」

一瞬だけ、メディーレの目が細められた。


だが、すぐに微笑みに戻る。

「ちょうどいいものがあるわ」

棚から取り出されたのは、ゴム製のボールだった。

「これなんてどうかしら?」

「いい。これにする」

リーファは即答した。

三人はセノ爺からもらっているお小遣いで、そのボールを購入した。


「また来てね」

メディーレは、静かに手を振る。

「また来ます!!」

三人は元気よく応え手を振り返し、やがて店を後にした。


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