9歩目
そして「むさし」と名付けられたその冒険者マーモット
まさおとあいことむさしは公園にいく。
お目当てのインドカレー屋がランチタイム終ってしまい、テイクアウトならおっけーと言われた。
インドカレーのスパイシーな香りに鼻をひくひくさせ、まさおが厳選した最高級キャベツを完全にシカトした。
「……おいおい、むさし。それは一玉いくらすると思ってるんだ、メキシコのセノーテには、クミンやターメリックの川でも流れてたのか?
アンデス山脈にスパイなんてあったのか?」
まさおのぼやきに、あいこは公園のベンチでつぼり、声を上げて笑った。
その横で、むさしはカレーの容器にダイブせんばかりの勢いです。
築地とメキシコと、インドの交差点
二人はその後、驚くほど意気投合しました。ダイビングで潜った海の話、ベトナムの露店で食べたフォーの味、そしてインドで悟りを開きかけた経験……。石川の海鮮の旨さ、
話せば話すほど、二人の好奇心のベクトルは同じ方向を向いていた。
ただ一つ違ったのは、「アクセルの踏み方」である。
まさおが
マーモットどうしよかと悩む
「カフェでもやるか」と冗談で話す。
まさおは人を笑わすのが好きだ。
人の笑顔が、自分のパワーになるからだ。
あいこ「マーモットカフェ、ええやんか。明日には物件探そうて。コンセプトは『密航してでも会いたくなる癒やし』。SNSでまさおくんが回して。私はロゴをむさしにカレーを食べさせてるイラストを作ってみる!」
あいこの目が、ビジネスチャンスを前にして獲物を狙うハヤブサのようにギラつきました。彼女にとって、後悔とは「やらなかったこと」にしか存在しないのです。とりあえず進めである。
一方のまさおは、あいこが持ってきた麦茶をすすりながらたじろぎました。
「あ、明日!? あいこちゃん、ちょっと待ちなよ。保健所の許可とか、輸入動物の検疫とか、そもそもマーモットに詳しい獣医が日本に何人いるか……」
あいこ「まさおくん、考えすぎは老けるで。日本人が知らないなら、私たちが第一人者になればええやんか。これぞブルーオーシャン、いえーい、マーモットオーシャンよ!」
まさおは力強いあいこに心がいつしか揺れていた。
むさしの心中、飼い主知らず
まさおは、自分にないその圧倒的な行動力を眩しく感じ、同時に深い尊敬の念を抱きました。自分が「共有したい」と願っていた世界を、彼女は「形にする」力を持っている。
「……ま、お嬢さんがそこまで言うなら、私は築地のネットワークを駆使して、日本一かわいい動物に会えるマーモットカフェでもやるか!」
二人が盛り上がる傍らで、当の「むさし」はといえば、ついにキャベツを一枚手に取り、それをカレーの空き容器の底に残ったソースにちょんちょんとディップしていました。
「キュイッ!(これだよ、これ!)」
あいこ「見てまさおくん、むさしも『ビジネスチャンスだ』って言ってるわ!」「マーモットチャンスだ!」




