8歩目
築地育ちの江戸っ子、まさお。彼は行きつけの寿司屋のカウンターで、隣に座った「あいこ」と「きょうか」という二人の女性の話に、思わず聞き入ってしまいました。
「……たまげたなあ。メキシコのセノーテから築地まで、密航してきちゃったのかい」
「不法入国でないか。。」
まさおが声をかけると、あいこの膝の上で、一匹のマーモットが鼻をひくひくさせていた。
メキシコからスーツケースに忍び込み、はるばる東京までついてきたというのです。
まさおは、板前が出したノドグロを食べるのも忘れ、その小さな冒険者をじっと見つめました。
「失礼、横で聞いてて驚いたよ。私はこの街で育ったけど、こんなにガッツのある旅人は初めてだ。言葉も通じない海を越えて、君を追ってきたその『覚悟』に驚いた。」
初対面の二人に、まさおは熱っぽく提案しました。
「もし困ってるなら、私も一緒にこの子を守らせてくれないか? うちのベランダを改造して、冬でも床暖房でぬくぬく過ごせる特等席を作ってやる。築地の美味い野菜だって、私が毎日仕入れるよ」
「えっ……初対面の私たちに、そこまで?」
あいこが驚きながらも顔をほころばせると、マーモットは「キュイッ!」と短く鳴き、誇らしげに胸を張りました。
窓の外には、メキシコの山脈とは正反対の、ビルが立ち並ぶ東京の冬景色。けれど、そこには新しい「家族」の温かい始まりがありました。
「さて、この勇敢な旅人に、なんて名前をつけようか」
お茶を飲みながら、3人で名前を決める途中




