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マーモット東京へ  作者: あいたろう


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7/10

7歩目

あいこの温もりから離れがたいマーモットだったが、無情にもダイビングの時間はやってきた。彼女たちはウェットスーツのジッパーを上げ、水面へと滑り出す。

「バイバイ、可愛い子。元気でね」

あいこの柔らかな言葉を残し、二人の姿はセノーテの碧い深淵へと消えていった。けれど、マーモットの決意は固い。彼は陸路を必死に走り、彼女たちの滞在先であるバンガローへ先回りした。開いたままのスーツケースを見つけると、彼は迷わず「東京」への切符――きょうかの予備のフィンが詰まった隙間へと潜り込んだ。

数日後、マーモットが目覚めたのは、メキシコの熱気とは対照的な、冷たく澄んだ空気の中だった。

そう東京であった。 

2人は羽田から築地のホテルにバスで移動した。

「ちょっと! 荷物の中に何かいるわよ!」


きょうかの悲鳴が響く。築地近くのホテルで、驚愕の表情を浮かべる二人。しかし、震えながらも真っ直ぐに自分を見つめるマーモットの瞳に、あいこの心は再び射抜かれた。 

マーモットはスーツケースから頭を出して

キョロキョロしていた。

「嘘……ついてきちゃったのw 遠いところから、私を追って」

あいこは大感激であった。

彼女の優しく背中をナデナデされるマーモット窓の外にはビル群と冷たい冬の陽光。

山脈とは大違いである。

言葉の壁も国境も越えた、前代未聞の冒険が、ここ東京の片隅で幕を開けたのだ。

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