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光の杖のアルス  作者: 伏神とほる
第9章 オアシス国家ダルウィン
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第63話 砂嵐の中で

【前回までのあらすじ】


ある日、ジルが体調を崩してしまう。

兵長の持つ薬でなんとかその場をしのいでいたが、ついに限界に達してしまう。

「ダルウィンに着けば立派な医者がいる」

一行は旅を再開するのだが、前方に砂嵐が発生し、足止めをくらうのだった。

 すでに砂嵐の中に入っているのだろうか。

 暴風に(あお)られ、砂が容赦(ようしゃ)無く顔にぶつかってきた。

 砂に足を取られ、何度も転びそうになった。もはや1m先の景色さえも見えない。


 アルスとリンははぐれないように手をつなぎ、一歩また一歩と前進した。


「このあたりでいいかな」


 アルスは背中から杖を取り出した。


「いくよ、リン!…… “アイオールの守り”! 」


 杖の先から風が生まれた。風で包まれた防御壁(ぼうぎょへき)が円を描くように大きく広がり、アルスとリンの2人を包みこんだ。


「すごいわ。砂嵐がここだけ()んでるみたい」


 リンは安心したのか、思い切り口元を出して、にっこり笑った。


「よし、このまま大きくするよ」

「私も力を貸すわね」


 リンもトパーズのペンダントを(にぎ)りしめ、歌い始めた。


 【荒ぶる砂嵐から 我らを守りたまえ】


 トパーズがまばゆく輝き、防御壁(ぼうぎょへき)を内側から支えるようにバリアが発動した。

 防御壁の範囲が直径10m、30mと拡大し、後ろにいる隊長やラクダたちも包み込んでいった。


 隊長たちは風や砂がピタリと()んだことに気付き、「なんだこれは」「何が起こった」と騒ぎ始めた。

 前方にアルスとリンの姿を確認すると、「あの2人がやったのか? 」と言いあった。

 カストルはこっそりガッツポーズをした。


「アルス君、砂嵐が風に押されてだんだん消えていくわ」

「そのようだね……」


 アルスは汗をぬぐった。目の前がくらくらと揺れている。

 防御壁(ぼうぎょへき)は直径100mほどの大きさになっており、予想以上に体力と気力を消耗していた。

 これだけの大きな壁を保つには、かなりの持久力が必要になるようだ。


「大丈夫? アルス君……」


「うん、ありがとう。……もう少しだね」


「ええ。あと一息よ! 頑張りましょう」


「最後に防御壁(ぼうぎょへき)を……風の壁を、一気に四方へ分散させる。

 そうすれば風の勢いで砂嵐を消失させられると思うんだ」


「ええ、やりましょう。アルス君ならきっとできるわ! 」


「……ねえ、リン」

「なあに? 」


「どうして、リンは……。その、僕を助けてくれるの? 」


「……? そんなの、当たり前じゃない!

覚えてないかもしれないけど、アルス君は私を2回も助けてくれたのよ。ラインバルドと、セイガでね」


「もちろん、覚えてるよ」


「命を救ってくれた人が困ってるのに、放っておけるわけないでしょ。

アルス君が困ってるんなら、私が助けてあげなくちゃ」


 ここでリンは少し間を置いた。


「……だから、私、アルス君と同じ “光の使者” に選ばれて、すごく嬉しかったの。

一緒に旅をすれば、アルス君を助けてあげることができるから。それに……」


「……それに?」


「……ううん、なんでもない! 早く砂嵐を消して、ダルウィンに行かなくちゃね」


「ああ、行こう。ダルウィンに! 」


 アルスは最後の力を振り絞り、防御壁(ぼうぎょへき)を大きくした。


「いくよ。リン。防御壁(ぼうぎょへき)を分散させる! 」


「ええ! 」


 アルスが杖を天に向けると、防御壁(ぼうぎょへき)の風がバッと四方八方に分散し、砂嵐を散り散りに蹴散らした。

 砂嵐が完全に消え去った。

 清々しく晴れ渡る空と、どこまでも鮮明に見える景色がその答えだった。


「……やった……。砂嵐が、……消えた……」

 

 アルスはその場に膝から崩れ落ちた。

 安心した拍子に気が緩み、全身の力が一気に抜けてしまったようだ。


「やった!これで先に進めるわ。アルス君、お疲れ様! 」


「こちらこそ……。助けてくれてありがとう。リンが支えてくれないと、成功しなかったよ」


 アルスは杖を背中にしまうと、リンに支えられながら立ち上がった。



「おい、おまえら」


 隊長がこちらに歩み寄りながら、声をかけてきた。


「……はい」


「なんらかの方法で、砂嵐を消してくれたことには礼を言おう。

だが、このことはくれぐれもダルウィンでは内緒にしろ。

我々は何もしていないし、何も見ていない。……いいな? 」


「……どういう意味ですか? 」


「……さあ、もう出発するぞ。早く来い」


 隊長は言葉を濁してそっけなく言うと、戻っていった。

 入れ替わりで、カストルが小走りでやってきた。


「いやー!すごかったよお二人さん!さすが “光の使者” 様は違うね」


 しかし2人の表情が曇っているのを見て、「……え、どうかした? 」と言った。


「隊長さん……様子がおかしかったのよ 」


「そりゃあ、アルスとリンの力がすごすぎて、言葉を失ったんだよ」


「そんなんじゃない気がする……」


 アルスは戻っていく隊長の背中を眺めながら言った。


「『このことはくれぐれもダルウィンでは内緒にしろ』、って言われたんだ。

もちろん、僕も軽々しく言うつもりはないけど。

でも、ビーゴにも前に濁されたことがあったんだ。……一体どういうことだろう? 」


「うーん? ……ま、でも、気のせいかもよ。

それより、早く行こうよ。ダルウィンでジルをお医者さんに見せないといけないし」


「……そうだね。少しでも先を進もうか」

 

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