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光の杖のアルス  作者: 伏神とほる
第8章 聖都ガルトデウス
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第52話 決着

【前回までのあらすじ】


“闇の使者”ホルンの笛の音を封印することに成功したリン。

これで形成逆転するかと思いきや、ホルンは余裕の笑みを浮かべる。

「この笛で操れないものは何もないのよ」

横笛を縦に吹いたとたん、白鷲様の様子が豹変する。

さらに、アルスも笛の音に操られてしまう。

全員が疲弊する中、最悪の事態が起きようとしたそのとき、

ホルンの笛が粉々に砕け散るのだった。


「ジ……ジル、さん……? 」


 瞬時(しゅんじ)に術が解けたアルスは、その場にへなへなと崩れ落ちた。


「あっ……! あたしの……! あたしの笛がああああああ!! 」


 ホルンが頭を(おお)いながら発狂(はっきょう)した。


 ジルはここでふと我に返り、手にしている弓と叫び狂うホルンとを交互に見た。

 まるでしてはいけないことを、無意識のうちにしてしまったかのような罪悪感に襲われているのだろう。

 思わず床に弓を落としてしまった。


「わ、私ったら……。一体、何を……? 」

 

「そこのアマァ! おまえがあたしの笛を壊したのかァ!? 」


 ホルンがここで初めてジルの存在を認識した。

 ジルはビクッと(おび)え、蛇に(にら)まれたカエルのように動けないでいた。


「アルス、今だ!」


 カストルがとっさに叫んだ。


 アルスはハッとし、すかさず杖をかかげ、「“ロレヌの導き”!」と叫んだ。

 まばゆい光が集まり、ホルンに向けて放たれた。


「いやああああああ!! 」


 油断していたホルンは、ドサリとその場に倒れた。


 倒れた反動でホルンの仮面がパキンと割れた。若い女性の顔が現れた。

 と、白鷲しろわしが勢いよくアルスを飛び越え、ホルンの前に着地した。


「し、白鷲しろわし様……? 」


 笛が壊れたことにより、白鷲しろわし正気(しょうき)を取り戻したはずだ。

 何をするのかと様子を見ていると、倒れているホルンの首を(つか)み、グググ……と絞め上げた。


「ガッ……グウウ…………」


 ホルンが苦しそうにもがき、手足をバタつかせて抵抗(ていこう)している。

 体が持ち上がり、足がブランブランと空をかいている。


 このままではさすがに死んでしまうのでは、と思ったその時。


白鷲しろわし様、そこまでです」


 姫巫女が毅然(きぜん)とした口調で言った。


「あなたの100kgの握力(あくりょく)で、彼女が死にかけています。

彼女がこの国の大勢の人々を苦しめた張本人であることには、間違いはありません。

しかし、これ以上無駄な命を失いたくないのです。どうか、その手をお離しください」


 姫巫女の(めい)を受けて、白鷲しろわしは素直にその手をパッと離した。

 ホルンは2mの高さからダンッと床に落とされた。


「うわ、痛そう……。ダブルで」カストルがボソッとつぶやいた。


「グッ……。うっ……」


 ホルンは首を抑えながら、ゆっくりと起き上がった。

 アルスは杖を構え、相手の出を(うかが)った。

 その半歩前には、白鷲しろわしが壁のように立ち(ふさ)がっている。


「な……なんて、屈辱だ!

こ、このあたしが、……負ける、なんて……!

こんな虫ケラ同然のやつらに……。大切な笛も、壊されて……。

こんな……。こんなことが、許されてたまるか! 」


 ホルンの怒りと憎しみで燃えた赤い目が、アルスたちをにらみつけた。


「次こそは、お前たちを殺してやる! 忌々(いまいま)しい“光の使者”ども……。

ふふ……はははは……。

未来は、確実に、“聖なる竜”の時代を迎えるのよ! 」


 ホルンの姿がシュンッと消えた。



 ホルンが退()いたのを見て安心したのか、姫巫女はくらっと倒れそうになった。

 すかさず白鷲しろわしが支えに回った。

 (すみ)(おび)えていた侍女も、急いで姫巫女に駆け寄り、抱き寄せた。


「ああ、姫巫女様、姫巫女様!ご無事でなによりです……」


 姫巫女は侍女の顔を手で優しく包んだ。


「シアラ。怖い思いをさせてしまいましたね。……私はもう大丈夫ですよ」


 姫巫女は(ほが)らかな顔で応えた。


「はい……。本当に、ご無事でよかったです」


 侍女のシアラは安堵(あんど)から涙を流した。

 続けて姫巫女は、アルスたちに向き直った。


「……皆様方、せっかくお越しいただきましたのに……。

このような災難に巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした」


 姫巫女は深々と頭を下げた。


「ですが、皆様方のお力添えにより、悪しき者を退()け、この国を守りきることができました。

本当に、ありがとうございました。感謝してもしきれません。

……ご紹介が遅くなりましたが、私が、ガルトデウスを治める巫女の、シナトです」


 姫巫女のシナトは顔をあげ、にっこりと微笑んだ。


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