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光の杖のアルス  作者: 伏神とほる
第7章 霧の森
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第39話 旅の道具

【前回までのあらすじ】


分隊と合流したアルスたちは、馬車に乗った。

リンが仲間に加わったことで、改めて自己紹介をすることに。


「それはそうと、カストルは道具屋で何を買ってきたの? 」


 アルスがさっきから気になって仕方ないといった感じできいた。


「よくぞ言ってくれました! 」


 カストルはごそごそと袋を物色(ぶっしょく)した。

 最初に取り出したのは、一般的なサイズの剣だった。


「まずはこれ! 護身用にも攻撃用にもぴったりの剣。これは僕が持つためのものさ。

アルスやリンは宝石があるからいいとして、僕は何ももっていないからね。これでアルスたちを守るんだ」


「へえ。ちなみにカストルは、剣術を習ったことはあるの? 」


「ちょっとね。もちろん、僕は城が嫌いだったから、大概(たいがい)サボってたけど」


「うん、なんとなくそんな気がしてた……」


 次にカストルは、茶色いマントを取り出した。


「続いてはこれ! 女性サイズのマント! これはリンに必要かと思って。

防寒にもなるし、男性用より軽いんだ」


「まあ、ありがとう! カストル君って優しいのね」


「ど、どういたしまして〜」


 カストルは顔を赤くして照れた。リンは早速マントを身につけた。


「で、そのほかには? 」


 アルスは続きを(うなが)した。まだ袋がパンパンに(ふく)れているのだ。


「あとは……そうそう、万が一に備えての薬類一式と、保存食。

傷口に塗るタイプの薬に、食あたりや下痢(げり)の時に飲む薬……。

それと日持ちのする干し肉やパン、チーズ。

あと、火打ち石やロープ。ナイフに瓶入りの油、皮袋……。

旅に必要そうなものは、一通り買い揃えたよ」


「カストル君ってほんとすごいよね! 私も見習わなくちゃ……」


「時間がない中でも、先のことを考えて用意してくれてたんだね。本当にありがとう」


 アルスもお礼を言った。


「何をおっしゃいますやら。当然のことじゃないか」


 と、ここでカストルが急に真剣な顔になった。


「あの、さ。アルス。僕、君が広場で倒れていたときに、落ちていた君の杖を拾おうとしたんだ。

そしたら、ものすごい目眩(めまい)がして、気がおかしくなりそうだった。

代わりにリンが拾ってくれたんだけど、リンは大丈夫だって言ってた。

勘違いなら悪いけど、君の杖やリンのペンダントは、本当に安全なものなのか?

君やリンは、なんともないの? 」


 アルスとリンは互いに顔を見合わせた。


「ああ、僕は大丈夫だよ」

「私も! 」


「そっか……。なんだったんだろう、あれは……」


「そういや、アシュヴァルトの長老様がおっしゃってた。

『持ち主にふさわしくない者が所持すると、あまり長生きができない』って。

宝石を持つことができるのは、選ばれた人だけ。

はっきりとは言い切れないけど、それ以外の人が持つと、危険が(ともな)うものなのかもしれない」


「……そっか。じゃあ、本当に“光の使者”じゃないと使えないんだね……」


 カストルは、まるで自分は蚊帳(かや)の外であるかのように寂しそうな表情になった。

 リンがあわててフォローに入った。


「でもね、カストル君。あなたがいないと、困ることもたくさんあるのよ?

私たちは宝石に選ばれたけど、それがなんだというの?

私たちにもできないことはあるはず。カストル君がいないと、私たちの旅は成り立たないのよ」


「そうさ。僕だって、カストルに助けられたことは、今まで何度もあるし、そしてこれからもあるはずだ。

だからそんなこと言わないでよ」


「うん、ごめん。2人ともありがとう! 」


 そんなふうにわいわい話していると、外の兵が扉をコンコンと叩いた。

 外を見ると、分隊は休憩をとるために馬をとめていた。

 アルスたちも外の空気を吸うために、馬車を降りた。


「カストル様、アルス様、リン様。昼食の準備をしますので、今しばらくお待ちください」


「ありがとう。これから先はどういう予定なの? 」


 カストルが兵長に尋ねた。


「はい、次なる目的地は聖都ガルトデウス。

そこには古来より神聖な巫女がおり、独自のお告げを(たまわ)わることができるといいます。

我が帝国とは友好的な国でもありますので、そちらに向かっております」


「わかった。ありがとう」


 カストルはアルスたちの方に戻った。


「次はガルトデウスだって。アルス、ここは風神アイオールを(まつ)ってるかもしれないよ。

また新しい力を得られるかも。ついでに、宝石の情報も聞き出せるといいね」


「そうだね」


「ガルトデウスは、一座でも回ったことはないの。どんなところかしら……」


「そういやリンは、各地を回ってたんだよね。

あとでゆっくり話をきかせてよ。知りたいことがあるんだ」


「ええ、もちろんよ」


◇◇


 昼食を終えたあと、兵長がやってきた。


「さきほどの街で伺ったのですが、この先には深い森があり、最近賊がでているという噂です。

なるべく早く森を抜けるようにしますので、ご安心ください。

我々が命がけでお守りいたしますから」


「ありがとう。万が一のときは、僕たちも協力するよ。

なんてったって、“光の使者”がついてるんだもの! 」


 カストルが得意げに返した。


「お気持ち感謝いたします」



 その後も道なりに進んだあと、一同は森の手前で一夜を過ごすことにした。

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