第39話 旅の道具
【前回までのあらすじ】
分隊と合流したアルスたちは、馬車に乗った。
リンが仲間に加わったことで、改めて自己紹介をすることに。
「それはそうと、カストルは道具屋で何を買ってきたの? 」
アルスがさっきから気になって仕方ないといった感じできいた。
「よくぞ言ってくれました! 」
カストルはごそごそと袋を物色した。
最初に取り出したのは、一般的なサイズの剣だった。
「まずはこれ! 護身用にも攻撃用にもぴったりの剣。これは僕が持つためのものさ。
アルスやリンは宝石があるからいいとして、僕は何ももっていないからね。これでアルスたちを守るんだ」
「へえ。ちなみにカストルは、剣術を習ったことはあるの? 」
「ちょっとね。もちろん、僕は城が嫌いだったから、大概サボってたけど」
「うん、なんとなくそんな気がしてた……」
次にカストルは、茶色いマントを取り出した。
「続いてはこれ! 女性サイズのマント! これはリンに必要かと思って。
防寒にもなるし、男性用より軽いんだ」
「まあ、ありがとう! カストル君って優しいのね」
「ど、どういたしまして〜」
カストルは顔を赤くして照れた。リンは早速マントを身につけた。
「で、そのほかには? 」
アルスは続きを促した。まだ袋がパンパンに膨れているのだ。
「あとは……そうそう、万が一に備えての薬類一式と、保存食。
傷口に塗るタイプの薬に、食あたりや下痢の時に飲む薬……。
それと日持ちのする干し肉やパン、チーズ。
あと、火打ち石やロープ。ナイフに瓶入りの油、皮袋……。
旅に必要そうなものは、一通り買い揃えたよ」
「カストル君ってほんとすごいよね! 私も見習わなくちゃ……」
「時間がない中でも、先のことを考えて用意してくれてたんだね。本当にありがとう」
アルスもお礼を言った。
「何をおっしゃいますやら。当然のことじゃないか」
と、ここでカストルが急に真剣な顔になった。
「あの、さ。アルス。僕、君が広場で倒れていたときに、落ちていた君の杖を拾おうとしたんだ。
そしたら、ものすごい目眩がして、気がおかしくなりそうだった。
代わりにリンが拾ってくれたんだけど、リンは大丈夫だって言ってた。
勘違いなら悪いけど、君の杖やリンのペンダントは、本当に安全なものなのか?
君やリンは、なんともないの? 」
アルスとリンは互いに顔を見合わせた。
「ああ、僕は大丈夫だよ」
「私も! 」
「そっか……。なんだったんだろう、あれは……」
「そういや、アシュヴァルトの長老様がおっしゃってた。
『持ち主にふさわしくない者が所持すると、あまり長生きができない』って。
宝石を持つことができるのは、選ばれた人だけ。
はっきりとは言い切れないけど、それ以外の人が持つと、危険が伴うものなのかもしれない」
「……そっか。じゃあ、本当に“光の使者”じゃないと使えないんだね……」
カストルは、まるで自分は蚊帳の外であるかのように寂しそうな表情になった。
リンがあわててフォローに入った。
「でもね、カストル君。あなたがいないと、困ることもたくさんあるのよ?
私たちは宝石に選ばれたけど、それがなんだというの?
私たちにもできないことはあるはず。カストル君がいないと、私たちの旅は成り立たないのよ」
「そうさ。僕だって、カストルに助けられたことは、今まで何度もあるし、そしてこれからもあるはずだ。
だからそんなこと言わないでよ」
「うん、ごめん。2人ともありがとう! 」
そんなふうにわいわい話していると、外の兵が扉をコンコンと叩いた。
外を見ると、分隊は休憩をとるために馬をとめていた。
アルスたちも外の空気を吸うために、馬車を降りた。
「カストル様、アルス様、リン様。昼食の準備をしますので、今しばらくお待ちください」
「ありがとう。これから先はどういう予定なの? 」
カストルが兵長に尋ねた。
「はい、次なる目的地は聖都ガルトデウス。
そこには古来より神聖な巫女がおり、独自のお告げを賜わることができるといいます。
我が帝国とは友好的な国でもありますので、そちらに向かっております」
「わかった。ありがとう」
カストルはアルスたちの方に戻った。
「次はガルトデウスだって。アルス、ここは風神アイオールを祀ってるかもしれないよ。
また新しい力を得られるかも。ついでに、宝石の情報も聞き出せるといいね」
「そうだね」
「ガルトデウスは、一座でも回ったことはないの。どんなところかしら……」
「そういやリンは、各地を回ってたんだよね。
あとでゆっくり話をきかせてよ。知りたいことがあるんだ」
「ええ、もちろんよ」
◇◇
昼食を終えたあと、兵長がやってきた。
「さきほどの街で伺ったのですが、この先には深い森があり、最近賊がでているという噂です。
なるべく早く森を抜けるようにしますので、ご安心ください。
我々が命がけでお守りいたしますから」
「ありがとう。万が一のときは、僕たちも協力するよ。
なんてったって、“光の使者”がついてるんだもの! 」
カストルが得意げに返した。
「お気持ち感謝いたします」
その後も道なりに進んだあと、一同は森の手前で一夜を過ごすことにした。
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