表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の杖のアルス  作者: 伏神とほる
第7章 霧の森
39/134

第38話 馬車の中で

 セイガの街を出たアルスたちは、ラオンダール帝国の分隊と合流し、旅を再開した。

 馬車はさすが貴族仕様。夜でも気づかれないように黒を基調にされているが、立派な装飾が施されていた。

 内部はふかふかの長椅子が向き合う形で配置されており、4人まで乗車することができる。

 両サイドには装飾のついた窓がついており、そこから景色を眺めることもできる。

 窓の上には布が巻かれており、下ろせば内部が見えない仕掛けにもなっていた。

 また、内部の会話は外の兵には聞こえないので、割とプライベートな空間が保たれていた。


 アルスたち3人は馬車に乗り込むと、早速お互いの情報を共有することにした。

 アルスの隣にリンが座り、向かいにカストルが座った。

 カストルの横には、道具屋で買いしめたという大きな荷物がドンと乗せられていた。


「リンが仲間になったことだし、改めて自己紹介も兼ねて、旅の目的をおさらいしよう」


 アルスは一連の説明をした。

 エルディシアの城に生まれたが、敵襲(てきしゅう)()いアシュヴァルトへ逃れたこと。

 育ての親、森の賢者・メラクと2人で暮らしていたこと。

 15歳の誕生日と共にアシュヴァルトにいき、ダイヤモンドを受け継いだこと。

 さらに“光の使者”に選ばれたこと。

 ラオンダール帝国の協力を得て、世界中に散らばった5つの宝石と、その持ち主を探していること。

 カストルはラオンダール帝国の第3皇子で、共に旅をしていること。

 そしてリンが記念すべき1人目だということ。


 話を聞いたあと、リンが驚いたように言った。


「アルス君がエルディシアの王子様で、カストル君がラオンダールの皇子様……。

私ったら、とんでもないことをしてしまったわ。今まで馴れ馴れしく接してごめんなさい! 」


 リンが深々と頭を下げた。


「いや、いいんだよ。むしろ、素性(すじょう)を隠した方が都合がいいんだ。

これからも、普通に接してくれると嬉しいな」


「ええ、わかったわ。宝石の話も、まだ信じられないけど……。

本当に、私なんかで(つと)まるのかしら……」


 不安そうな面持ちのリンに対し、アルスは(さと)すように言った。


「これは、リンにしかできないことなんだよ。

だって、そのトパーズで僕を助けてくれたんだもの。

それに、その宝石を使えるのは、世界中でリンだけなんだよ」


「次はさ、リンの話を聞きたいな……。話せる範囲でいいから教えてくれる?

どうしてリンがトパーズを持っていたのかも気になるしさ」


 カストルが話をふった。


「そうね……。前にアルス君には話したんだけど、私、赤ちゃんのときに旅一座に預けられたみたいなの。

このペンダントも一緒だったみたいなんだけど、ずっと大事ににぎって離さなかったみたい。

両親のことは覚えてないんだけど、これが両親と私をつなぐ唯一のものなの。

私、大人になったら、両親に会いに行こうと思ってるの。

絶対どこかで生きている、必ずまた会える、って。そう信じてるの」


「そっか……。大変だったね」


カストルがうーん……とうなって考えた。


「リンはもともと、どういう家庭だったんだろう?

光の使者が持つ宝石を、ごく一般的な家庭がもっていたとは思えないしさ。

きっと大事に保管されていたはずだろうし」


「何か、手放さねばならない理由があったってこと? 」


 アルスが繋いだ。


「例えばどんな? 」


「僕の国みたいに、敵襲(てきしゅう)()って宝石を守らざるを得なくなったとか」


「でも、エルディシア以外に敵襲に遭った国は今のところないよな。それとも内政的な事情とか? 」


「うーん……。だとしたら一気にわからなくなるぞ。

どの国にもありそうだもん。リン、もともとどこの国で生まれたとかはわからない? 」


「ごめんなさい、それは本当にわからなくて。

あの旅一座が、私の家族であり、故郷みたいなものだから」


「そっか。変なこと聞いてごめんね」


「ううん、いいのよ」


「そういやリンの歌声はさ、旅一座で身につけたの? 」


「すごく綺麗な声だよね。魔法みたいな演出にも驚いたよ」


 アルスとカストルは、セイガの公演で花が舞ったり、花火が打ち上がったりしたことを思い出した。


「あれは、物心がついたときから、自然にできたものなの。

もともと歌うことは好きだったんだけど、こうなればいいな、って思ったら、大抵(たいてい)なんでもできちゃうようになったの」


「すごいねリンは! もしかして本当に魔法だったりして」


「うふふ、だったらすごいことね」


 リンが無邪気に笑った。

お読みいただきありがとうございます。

少しでも「面白い」「続きが気になる」「応援したい」と思っていただけましたら、

ブックマーク登録をお願いします。


また、広告の下の☆☆☆☆☆を押していただけますと、評価ポイントが入ります。

評価していただけますと、執筆の励みになります^^

応援よろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ