表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の杖のアルス  作者: 伏神とほる
第6章 花の街セイガ
30/134

第29話 不穏な朝

【前回までのあらすじ】


リンが外に出ると、そこには誰もいなかった。

ふと声をかけられると見知らぬ男性が。

危うく連れ去られそうになったとき、アルスとカストルが助けにやってきた。

他愛もない会話をして、明日も公演があることを伝え、それぞれ別れるのだった。

 翌朝、目が覚めた2人は、女将(おかみ)さんが朝食を振舞ってくれるというので、1階に降りた。


「おはよう、お2人さん。ご飯の準備ができたところだよ」


「ありがとうございます」


 1階受付の奥には、宿泊客が食事を取れる部屋が用意されており、2人〜4人がけのテーブルが大小5つ置かれていた。

 幸いにも席はどこも空席で、アルスたちは手前にある2人がけのテーブルに座った。

 すかさず女将さんが湯気ののぼるスープとパンを持ってきてくれた。


「セイガの朝食といったら、野菜ときのこをたっぷり入れて煮込んだクリームスープとパンが定番だよ。

各家庭によって味付けや具材が違ったりするから、まさにおふくろの味なのさ。

このスープ目当てにうちに泊まってくれるお客さんもいるんだよ。

さ、おかわり自由だから、遠慮(えんりょ)せず食べておくれ」


「わあ、美味しそう! 」


 実は昨晩から何も口にしていなかった2人。一口目のあまりのおいしさに感激した。


「女将さん、すっごく美味しいです」


 女将さんはにこっと笑った。


「そうだろう、そうだろう。

朝から栄養のあるものを食べないと、1日が始まらないっていうからね。

しっかり食べて旅に備えておくれよ」


「ありがとうございます」


「……それにしても」


 と、女将さんが(ほほ)に手をあてて神妙(しんみょう)な面持ちになった。


「昨晩は狼の遠吠えがひどかったねえ。お2人さんも聞こえなかったかい?

あたしゃこの街にずっと住んでいるけど、あんなのは初めてだよ。

何かよくないことが起こりそうな気がして……。全く、気味が悪いねえ」


「狼の遠吠え? 」


 2人は互いに顔を見合わせた。

 昨晩は宿に戻ってすぐ眠りについたので、遠吠えの“と”の字すら気づかなかったのだ。


「朝早くに出て行かれたお客さんもね、遠吠えが気になってよく眠れなかったって言ってたよ。

狼がこの街に入ってくることはないだろうけどさ、もし旅に出られるのなら、用心するに越したことはないよ。

この近くに、旅に役立つ道具を売っている店もあるからさ。一度のぞいてみるといいよ」


「ありがとうございます」


 2人はスープを3杯ほどおかわりし、十分満腹になったところで、気分転換に街を散策することにした。


◇◇


「なあ、アルス」街を歩きながらカストルが訪ねた。


「なんだい? 」


「さっきの狼の話、どう思う? 」


 アルスは少し考えてから言った。


「狼が遠吠えをするとしたら、仲間と連絡をとるとか、孤独な一匹狼が寂しさを紛らわせるためとか……。

いろいろ考えられるけども」


「あんなのは初めてだっていってたしなあ。

もしかしたら、本当にこの街に何かが起こる予兆かもしれないな」


「そうだね。僕たちにできることがあれば、してあげたいよね」


「その、さ。アルスは“光の使者”じゃんか。何かできるんじゃないかな」


「えっ。たとえばどんな?」


「杖をかかげて、えいやー! って。

もし狼が街を襲ってくるんなら、一匹残らず退散させるとかさ」


「果たしてうまくいくだろうか……」


「僕はうまくいってほしいな」


「この杖をちゃんと使ったのは、まだ1回程度だし……。

わからないことの方が多いんだ」


 アルスは不安な表情を浮かべた。カストルはうーん、と(うな)った。


「僕が言えた立場じゃないけども、そういうのは教科書とかないわけだから、自分で見つけるしかないんじゃないかな」


「ねえカストル。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


 突然の質問に、カストルはとまどった。


「な、なんだい? 」


「僕、この世界の神様についてあまり知らなくて……。もしよければ、教えてもらえないかな」


「そんなことなら、お安い御用(ごよう)だよ」


 2人は道行く先に教会を見つけた。


「ちょうどいいや、あそこで教えてやるよ」

お読みいただきありがとうございます。

少しでも「面白い」「続きが気になる」「応援したい」と思っていただけましたら、

ブックマーク登録をお願いします。


また、広告の下の☆☆☆☆☆を押していただけますと、評価ポイントが入ります。

評価していただけますと、執筆の励みになります^^

応援よろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ