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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第五章 突入。魔王城!

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202/204

第196話 再会の約束と凱旋

勇者パーティ、エレミーテ王国の王都に戻ります!

「身体が良くなったら、俺も王都に足を運ぶからな。その時はまた、美味い酒でも飲もう」

「うん、首を長くして待ってるからね」


 ネウリオで一晩を過ごした俺たち勇者パーティは再び王都エメラフィールへ向けて出発の朝を迎えていた。

 かつて勇者パーティの一員であったクラークとの短い別れの言葉を告げ、俺たちは町の人々と彼に見送られながら、ゆっくりと動き出した馬車の中で後にするのだった。

 ガタゴトと小気味よい音を立てて道を進む馬車のから見える景色を眺めながら、メリスがしみじみとした口調で口を開いた。


「クラークさん、お元気そうで何よりでしたね。お顔の色も良かったですし、何より前を向いていらっしゃいました」

「そうね。あの様子なら、これからさらに治療やリハビリを重ねていけば、日常生活を何の問題もなく送れる日が必ず来るらしいから、本当に安心したわ」


 メリスの言葉にシャーロットが答える。

 俺が勇者パーティの後任として選ばれ、前任者であるクラークと初めて会った時、車椅子に座ったままどこか暗い目をしていたけど、再会した時は短時間であれば一本の杖を突き、しっかりと自分の足で立って歩くことができるまでに回復していた。

 俺たちの知らないところで弛まぬ努力とリハビリを重ねてきたのか、その姿を見れば容易に想像がついた。


「機会があれば、任務じゃなくて自主的に遊びに行けたらいいな」


 俺がそう呟くと、シャーロットがいたずらっぽく目を細めて身を乗り出してきた。


「ふふ、それもいいわね!あいつ、昨日の宴席ではリュウトと楽しそうに飲んでいたもんね!」

「そうだな。お互いに同じジョブだから、通じ合うところもあったんじゃないかな?」


 確かに昨晩、町を挙げて開かれた大宴会の席で俺はクラークの隣に座り、互いに歩んで来た旅で起きた出来事を中心に何度も酒を酌み交わした。

 彼と会うのは最初に顔を見合わせて以来の二度目だけど、不思議なほどに会話が弾み、まるでもう何年も前からの仲であるかのような錯覚さえ覚えた。

 それはきっと、同じレンジャーとして、新旧の勇者パーティの一員として、言葉にせずとも心で通じるものがあったからだと思う。

 昨夜の彼の笑顔を見て、俺にとってもあれは間違いなく何物にも代えがたい有意義な時間だった。


「まぁ、あいつのレンジャーとしての愚痴の聞き役にリュウトがぴったりハマっただけかもしれないけどね」

「ちょっ、ロリエ!」

「「ハハハハハハッ!」」

「うふふふふっ!」


 ロリエがいつものように小さく毒を吐くけど、その口元は優しく緩んでいる。

 シャーロットとジャードが明るくも元気に笑い、メリスが暖かくも淑やかに微笑む。

 そんな他愛のない雑談を交わしながら、馬車は王都へ向けて真っ直ぐに走り続けるのだった。


◇——


 王都エメラフィールの門が目と鼻の先まで辿り着いた。


俺たち勇者パーティは王都エメラフィールの門の目と鼻の先まで辿り着いた。


「こ、これは……?」

「うーん、予想していないこともなかったけど、いざ目の当たりにするとね……」


 俺とシャーロットは顔を見合わせ、引きつった苦笑いを浮かべた。

 門を潜り、王都へと一歩足を踏み入れた瞬間、俺たちの目に映ったのは……。


「オォオオオッ!勇者パーティだ!英雄たちの凱旋だ!」

「魔王リザエラを討伐したのは本当に真実だったんだな!」

「本物だ!この目であの方々を拝めるなんて光栄なことだ!」

「ありがとう!本当によく無事で戻って来てくれた!」

「シャーロット様ーー!こっち向いて~~!」


 それは王都に住まう全住民が押し寄せたのではないかと思えるほどの、文字通りの大熱狂だった。

 確かに魔王討伐に関連する進捗については旅の合間に俺たちが手紙をしたためる形で定期的に伝達していたのは本当だけど、街中を埋め尽くす歓声の嵐はまるで、俺たちが今日、この時間に帰還することを前もって知っていたかのように思えてならなかった。

 これまで過酷な戦いを続けてきた身としては内心、このあまりの熱量にどう応えればいいのやらと戸惑う気持ちが勝ってしまう。


「嬉しいかどうかで言えば、そりゃあ嬉しいんだけど……」

「こうして盛大に出迎えられたら出迎えられたで落ち着かねえなぁ……」

「うふふふふ、お二人とも、お顔が強張っていらっしゃいますよ?」


 ロリエやジャードも俺と同じように気恥ずかしさに頬を掻いている中、メリスだけは一切の平静を崩すことなく、柔和な微笑みを浮かべながら、優雅に手を振って民衆の歓声に応えていた。

 ここは流石と認めざるを得ない。

 俺たちも彼女を見習い、不器用ながらもできる限りの笑顔と身振りで人々の祝福に応えながら進んだ。

 熱狂に揉まれながら、王城へと続く大通りをしばらく進んだ時だった。


「リュウト、あれを見て!あの一団って……!」

「うおっ!?」


 シャーロットが俺の袖を引き、彼女が指差す先へ釣られる形で視線を向けた俺は思わず声を上げた。


「おぉおおっ!勇者パーティだ!」

「よくぞ大役を果たしてくれた!国の誇りだ!」

「勇者パーティ万歳!!」


 王城の手前に整列していたのはエレミーテ王国騎士団の面々や城の近辺に仕える関係者たちだった。

 どうやら、俺たちがいつ頃王都に帰着するかを軍の伝令から逆算し、ここで待ち構えていたらしい。

 民衆の熱狂とはまた違う、心からの敬意が真っ直ぐに伝わってきて、決して悪い気はしなかった。

 その時だった。


「「「「「リュウトッーーーーー!!!」」」」」

「うぉっ!?なんだ!?」


 鼓膜が破れんばかりの野太く地を這うような歓声。

 何事かと俺が身構えた瞬間、見知った顔ぶれが目に飛び込む。


「リュウト!よくやってくれた!」

「お帰り!信じていたぞ!」

「待っていたぞ!お前が無事にこの場所へ戻って来る日をな!」

「リュウトーーッ!!」


 そこにいたのは俺が勇者パーティに抜擢される前に所属していたエレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊の仲間たちだった。

 最前線ではモーゼル隊長やソフィア副隊長、ゾルダーさんやシーナさんアンリやトロンもその中にいる。


「「……」」


 そのすぐ後ろには冒険者だった頃に苦楽を共にしたリリナやメリスの姉であるセアラ様の姿もあり、いつになく暖かい笑顔を俺たちに向けてくれている。

 懐かしい人々の想いに包まれ、祝福の嵐の中に身をゆだねる中で一つの確かな実感が落ちてきた。


 俺は……俺たちは果たすべきことを果たせたんだな……と。

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