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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第五章 突入。魔王城!

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第188話 決着の一矢

リザエラとの戦いに終止符が打たれます!

「よしっ!」


 手応えは完璧だった。

 俺の放った渾身の“破魔光の矢”は寸分の狂いもなくリザエラの急所を複数同時に射抜いていた。


「ぐわぁあああああああああっ!?」


 引き裂かれるような絶叫が響き渡る。

 貫かれた傷口を中心に、暗黒の肉体を内側から焼き融かすような眩い白銀の光が噴出した。

 受けた一撃がよほど効いているのだろう、数刻前までの絶対的な余裕がまるで嘘だったかのように、魔王はその端正な顔を耐え難い苦痛に歪ませながら天を仰いで悶え苦しんだ。


「ぐぅう、ううっ……あ、あぁ……っ」


(この我としたことが……このような、虫ケラ同然の人間どもに……っ!)


 リザエラは苦渋に満ちた声を漏らし、ついにその場に片膝を突こうとした。


「ガァアアアアアアッ!!見くびるなよォオオッ!!」

「「「ッ!?」」」


 魔王の執念か、ヤツは倒れ伏すことなく、凄絶な気合いの咆哮と共に強引に立ち上がった。

 全身から噴き上がった漆黒のオーラが肉体を内側から焼いていた聖なる光を力任せに圧し潰し、自らの身体を深く穿っていた矢を無理矢理引き剥がし、霧散させたのだ。

 傷口からどす黒い血液を撒き散らしながら、血塗られた双眸が俺を捉える。


「うぅああああああああっ!この……薄汚いレンジャー風情がぁああああっ!!」

「なっ……っ!?」


 リザエラはかつてないほどに形相を狂わせ、激しい怒気と覇気が込められた咆哮を俺に向けて放った。

 その姿は醜い憎しみ、恨み、妬み、そして傲慢といった、この世のあらゆる負の感情を具現化したそれだった。


「がぁああああっ!!」

「むっ……!」


 急所を幾度も貫かれ、瀕死の深手を負っているはずなのに尚、牙を剥いてあがこうとする魔王の生命力を目の当たりにして、俺たちの背筋に再び冷たい戦慄が駆け上がる。

 リザエラが杖を激しく振るうと、虚空からどす黒く不気味な呪いの棘を孕んだ闇の矢が何十本も形成され、一斉に射出された。


「ぐぅううううっ!」


 予想を遥かに超えるスピード。

 咄嗟に身を翻したものの、その内の数本が俺の脇腹と胸の上部を容赦なく斬り裂いた。

 一瞬だけ脳裏に映った最悪の未来の光景を信じ、委ねるように感覚操作(センス・コントロール)で視力を限界まで引き上げていなければ、今の一撃で間違いなく命を落としていただろう。

 だけど、俺は溢れ出る鮮血と痛みを強引に精神力で押し殺し、三本の矢を引き抜いて聖弓セレスティアロに番えた。


「しゅぅうううう……」


 命を出し尽くさんばかりに凶悪な魔力を放出させていくリザエラに対し、俺は引き絞った弦の感覚だけに意識を集中させ、精神を極限まで研ぎ澄ましていく。

 世界から音が消えるような思考の中で、俺は静かに詠唱を紡ぎ始めた。


「聖なる光を司りし精霊よ。我が持つ矢に邪悪を根絶やしにする浄化の加護を与えよ……!」

「我は敗けん!我は魔王リザエラなのだぁああああっ!!」


 リザエラは周囲の空間を震わせるほどの絶叫を響かせながら、身体中から噴き出す黒い魔力を一点へと解き放ち、超高密度にまで圧縮していく。

 次の瞬間、何もかもを呑み込む暗黒の渦が放たれた。


「ダークネスカラミティ!!」


 極限まで濃縮された漆黒の魔力が辺りを包み込むように襲い掛かってくる。

 逆転の一手と言わんばかりの心胆を寒がらせるような黒い災害のような奔流だった。

 だけど、俺の心に恐れは微塵もなかった。

 なぜなら、俺の視界の先には既に彼女が走っていたからだ。


「ハァアアアッ!!」

「むっ……!?」

(勇者めっ……!まだ、これほどの力を……!?)


 魔王の瞳が驚愕に揺れる。

 そこにはエクスカリバーを青眼に構え、再び魂の底から力を振り絞らんばかりに黄金の輝きを全身に纏ったシャーロットの姿があった。

 刹那のような時が過ぎる。


「天聖貫・豪流」

「しぃいいいっ!」


 シャーロットのエクスカリバーから放たれた渾身の突きは神々しい螺旋の回転なって大気を穿ち、同時に俺の指先から解き放たれた三本の破魔光の矢”がその軌道を追尾するように突き進む。

 リザエラが放った終末の闇の奔流と先に出迎えたのはシャーロットが放った光の一閃だった。

 二つの相反する一撃が正面から衝突し、追うように俺の放った矢がその渦へと突入する。


「なっ……馬鹿な、こんなことが……っ!」


 衝突した中心点から、リザエラの黒い魔力が確かに消されていく。

 シャーロットの放った光の突きが強引に抉り開け、それをフォローするように俺の矢の二本が闇の残滓を完璧に払い除けた。

 そして、残る最後の一本が完全に無防備となったリザエラの胸元へ吸い込まれるように突き進んだ。

 視界が白銀の光に染まる。

 その光の真ん中で俺たちの目に映ったのは……。


「がっ……はっ……」


 身体の中心を容赦なく穿たれ、大量の鮮血を口から吐き散らしながら、力なく後ろへとよろめくリザエラの姿だった。

 彼女の全身を包んでいた異形の魔力オーラが儚い音を立てて霧散していく。


「ぐぉ……」


(これ以上は……あぁ……)


 リザエラの瞳から光が完全に失われた。


 そして、遂に……。その身体は大の字のように仰向けとなって倒れるのだった。

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