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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第五章 突入。魔王城!

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第187話 それぞれの決着への一手

勇者パーティとリザエラの戦い、クライマックスです!

「極・天聖斬!」

「オォオオオッ!」


 鼓膜が破れんばかりの絶叫が辺り一帯に木霊する。

 目の前でシャーロットのエクスカリバーとリザエラの漆黒の杖が真っ向から激突していた。

 押し寄せる光と闇の衝撃はあまりにも強大で、周囲の空間そのものが悲鳴を上げて歪んでいるようにも見える。


「おぉ……」


 切羽詰まったって言葉では足りないような状況にいながら、、俺は二人が放つ現実離れさせんばかりの圧倒的な光景を前に、思わず微かな感嘆の声を漏らしていた。


 いつだったっけな……俺が幼い頃に読んだことのある勇者と魔王の戦いを描いたおとぎ話の本にあったある場面を思い出していた。

 その挿絵にあった、世界の命運を賭けた一騎打ちの一幕。

 現在進行形で目の当たりにしている、全てを懸けたシャーロットの一撃とリザエラの一撃が火花を散らす光景は絵本の一節が現実のものであると証明しているかのようだった。

 何より、いまシャーロットの身体から溢れ出している神聖な輝きはリザエラと最初に対峙したときよりも遥かに強く、猛々しかった。


「おのれぇええええっ!!」

「ヤァアアアアッ!!」


 リザエラが全身から吹き上がる噴水のように禍々しい暗黒の魔力を爆発させて圧し潰さんばかりの圧倒的な質量。

 だけど、シャーロットは。一歩も引かずに持ち堪える。

 エクスカリバーを握る細い腕から華奢な首筋にかけて、強烈に隆起していく血管を浮かべながら抗っていく。


「ぐぅううううっ……!」

(骨が軋む。全身の筋肉が千切そうな悲鳴を上げている。だけど……私は……っ!)


 彼女の不屈の願いに呼応するかのように、その身体は輝きを増していく。


(私を信じてくれたファミーナと私の何もかもを支えてくれたリュウトと共に!必ず勝つんだ!!)

「な、何だと……っ!?」

「オォオオオッ!!」


 シャーロットの握るエクスカリバーの刃が確実にじりじりとリザエラの杖を押し込んでいく。

 魔王の美しくも不敵な顔が初めて屈辱的な苦悶と信じられないと言わんばかりの驚愕に歪んだ。

 そして、均衡が崩れる。


「もらったぁあああッ!!」

「グォオオオオオッッ!?」


 漆黒に染まった魔力の塊を真っ二つに斬り裂きながら、光の刃がリザエラの胸元へ深く深く、袈裟斬りに振り下ろされた。

 鮮血が舞い、肉の裂ける鈍い音が辺りに響き渡る。

 この決戦が始まってから刻み込んだ、初めてにして致命的な一撃。

 だが、勇者パーティの連撃はこれで終わりではない。


「なっ……!?」

(お前……こんな局面でまだそれほどの力を……!?)


 痛みに堪えかねながら、本能的に数歩後ろに後ずさりしたリザエラの双眸には更なる異形の光景が映り込んだ。


「ディーペストデバステーション!!」

「むぅうううっ!?」


 黒味を帯びた鮮烈な光を纏ったファミーナがそこにいた。

 彼女から放たれたのは紫電と爆風を帯び、極限まで圧縮された混沌の魔力の奔流であり、それがリザエラの胸元へ向けて容赦なく飛び込んでいく。


「ガァアアアッ!!」


 リザエラは獣のような咆哮と共に黒い衝撃を交えた深淵を体現せんばかりの障壁を形成して防ぐ。

 しかし、ファミーナが放った己の命そのものを削り落とすかのような一撃はリザエラの想定を遥かに凌駕していた。

 この壁を超え、リザエラに関わる忌まわしい過去を清算したい気持ちに応えるように、漆黒の障壁がミシミシと音を立てて歪み、崩壊しかける。


「舐めるなぁああああっ!!」


 醜悪にして苛烈な怒りをまざまざと見せつけるリザエラが自身の身体を震源地にするかのように、激烈極まるどす黒い魔力を四方に爆発させた。

 一秒にも満たない刹那の間、漆黒の衝撃波が辺りを包み込むように視界を奪う。

 だが、その一瞬の闇の中でリザエラの双眸には確かに二つの影を捉えていた。


「ふぅう、はぁ……」

(次は何が来る……?いや、まずはこの二人を……!)


 限界ギリギリまで力を振り絞り、身体を酷使しながらも、抵抗の意思を失っていないシャーロットとファミーナの姿。

 リザエラは戦況の決定打を握るであろうシャーロットへと肉薄せんばかりに大地を蹴って踏み込んでいく。

 彼女の命を刈り取ろうとしたその瞬間だった。


「ふふっ」

「むっ……!?」

(何故……何故この状況でお前は笑う……!?)


 死を目前にしたようなそれなのに、シャーロットはどこか勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。

 リザエラはここにきて脳髄を突き刺すような強烈な困惑と冷たい予感を抱きながら勢いを落とすことなく突っ込んでいった。


「私以外の誰かが囮になって、私がトドメを刺す……お前なら当然、そう読んでいると思ったわ。王道でありながら、これは命懸けの戦いよ?その逆である、私が囮になってそれ以外の誰かがトドメ役になる選択肢を考えきれなかったのかな……?……ね、リュウト!」

「なっ……まさかッ!?」

「それもそうだな。お前は俺たちの作戦。……いや、絆を侮りすぎたんだ」


 コンマ一秒前まで、そこには何の気配もなかったはずだった。

 しかし次の瞬間、強くも清らか気配が湧き上がった。

 信じがたい事象を受け入れないながら、現実に起きていることを仕方なく受け入れたようなリザエラが首を半分後ろに捩じった、その視線の先に映った人物。


「ありがとうな……シャーロット。ファミーナ……」


 そこには聖弓セレスティアロと共に神々しい光を纏いながら“破魔光の矢“を三本同時に番えるこの俺だった。

 感覚操作(センス・コントロール)で視覚と聴覚以外の五感を捨てながら、必ず撃ち抜かんばかりの得物を視界に捉えながら……。


「これで終わりだ!!リザエラッ!!」

「うおぉおおおおおおおっッ!!?」


 放たれた三つの閃光は容赦なくも確かにリザエラの鳩尾と胸の胸部、そして魔力の核たる心臓を寸分の狂いもなく貫くのだった。

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