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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第五章 突入。魔王城!

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第184話 戦慄のリザエラ

リザエラが蹂躙していきます!

「ハァアアアッ!」


 大上段から振り下ろされる必殺の輝き。

 シャーロットの握る聖剣エクスカリバーが光り輝く流星のような勢いそのままにリザエラの脳天へと肉薄した。

 勝機はこの瞬間だと確信した、次の刹那だった。


「天聖斬!!」


 空間を両断せんばかりの力と気迫が込められた渾身の唐竹割り。

 凄まじい衝撃波が玉座の間を震わせ、勝利の一撃が決まる。


「うっ、ふっふふふふ……。あははははっ!」


 ……はずだった。

 硝煙の向こうから響いたのは肌が粟立つような余裕に満ちた冷笑だった。


「なっ……!?」


 シャーロットの顔が驚きに染まる。

 必殺の剣閃はリザエラの肉体に届いておらず、寸前で防がれていたのだ。

 リザエラのかざした手の先に遭ったのはどこからか取り出しただろう長柄のグレイブを模した漆黒の刃であり、それが鋭利な刃をガッチリと阻みながら火花を散らしている。


「この程度で我の首を獲ったと思うならば、とんだ勘違いだぞ!勇者よ!!」

「何っ……!?」

「我を舐めるでないぞぉおおおッ!!」


 リザエラが闇の長刀を荒々しく払う。

 一拍にも満たない一瞬の後に襲いかかったのは暴風のごとき質量を持った黒い魔力の夥しい衝撃波の数々であり、至近距離でシャーロットはその直撃を浴び、身体が木の葉のように吹き飛ばされる。


「シャーロット!」


 彼女を援護すべく、俺は即座に三本の矢を番えて放った。


「ブラックジャベリン!!」


 同時にファミーナが三又槍を模した黒い魔力の塊をリザエラへと射出する。

 しかし、そんな連携さえも嘲笑うかのように蹂躙しようとした。


「めされよ!」


 リザエラが両手を大きく広げると、虚空に二つの巨大な黒い魔法陣が展開された。

 そこから解き放たれたのは黒褐色に染まった濁流のような魔力の奔流。

 凄まじい激流のような勢いで押し寄せる闇の質量に俺の矢やファミーナの一撃はまるで大河に投じられた小石のように一瞬で呑み込まれ、かき消された。


「リュウトさん!シャーロットさん!」

「「あぁあっ!」」

「ディストーションウォール!!」


 ファミーナの耳を劈かんばかりの叫びを聞いた俺とシャーロットが咄嗟に彼女の背後へと回り込んだ瞬間、眼前に漆黒の防壁が形成された。

 鼓膜を震わせる轟音と共に黒褐色の濁流が防壁へと衝突する。

 ファミーナが血を吐きそうなほどに歯を食いしばり、何とかその流れをせき止めることには成功した。

 だが、脅威が去ったわけではない。いや、ヤツの次の一手はすでに頭上を覆っていた。


「しまっ――上にも気をつけろッ!!」


 俺の警告に二人が弾かれたように視線を上空へ向ける。

 そこには天井を埋め尽くさんばかりの複数の禍々しい黒い魔法陣が展開されていた。


「ファナティックバースト!」


 リザエラの冷淡な声が響く。

 次の瞬間、四方八方、そして真上から、漆黒の弾丸と極太の光線が遮るもののない嵐のような勢いで降り注いだ。


「「「うぉおおおおおっ!!」」」


 逃げ場などないと悟った俺たちはその自然災害のごとき容赦なき全方位からの攻めを防ぎにかかった。

 剣を振るい、迎撃し、自分たちの身を守るのに心血をその場に注いでいく。

 大爆発が連続し、衝撃が肉体を激しく打ちのめす。

 辺り一面は激しく舞い上がる砂塵とどす黒い瘴気で満たされていった。


「ゲホッ……!ガハッ……!」

「ぐっ、くぅうう……」

「うぅうう……っ」


 激しい咳き込みと苦悶のうめき声。

 砂塵が少しずつ薄れ、ハッキリとしつつあろうとする視界の向こう側に映るのは……。


「ふっ、ふふふ、あははははっ!これこそが我が力、世界の頂点に立つ者の絶対の力だ!脆く儚き勇者パーティよ!ここで絶望と共に果てるがいい!フハハハハハハハッ!!」


 全身が血や煤に汚れ、膝をつき、必死に立ち上がらんばかりにあがく俺たちの姿を見下ろしながら、邪悪な高笑いを響かすリザエラの姿だった。

 それから冷徹で無機質な靴音を鳴らしながらヤツは俺たちに近づいてくる。


「勇者とそれに従うレンジャーよ。これが現実だ」


 リザエラが一歩ずつ、前へと踏み出す。

 その身体が近づいてくる度に、まるで重力そのものが数倍に増していくような錯覚を覚え、肺が圧迫され、呼吸をするのさえ息苦しくなりそうだ。


「魔族こそが全ての頂点であり、絶対の存在たる象徴!このファミーナがほざく人間と魔族の共存など、弱者が縋るただの戯言に過ぎないとその身を以て理解したはずだ!」


 今まで倒してきた魔王軍の幹部たちも強く、特に最強戦力と評されたバリオルグとメーディルは別格だと思っていたけど、目の前のリザエラは比較することさえおこがましいほどだった。

 いや、自分の力や魔力の一部を切り分けて部下に授けた得物を取り込んだ事実を鑑みれば、こうして向き合うリザエラの放つ気配や圧力は真の力であると結論付けるのは当然と言えた。


「……ぐぅう……っ」


 圧倒的なプレッシャーを前にシャーロットさえも膝を震わせる。


「さぁ、ファミーナ。もう諦めなさい。人間に見切りをつけ、再び我と――」


 リザエラが冷酷な笑みを浮かべ、ファミーナへ手を伸ばしたその刹那だった。


「ヒュッ!」

「むぅう!?」


 虚を突いて放たれた一筋の閃光。

 リザエラの脳天を正確に狙ったその一矢をヤツは最小限の動きで躱した。

 頬をかすめた風圧にその眉が不快げに跳ね上がる。


「……誰一人、やらせねえよ」

「ほぉお……?」


 リザエラが不敵な笑みを消し、その方角へと冷徹な視線を向けたその先にいたのは……。


「シャーロットも、ファミーナも……絶対にやらせねえ。俺は最後の最後まで諦めねぇぞ!リザエラ!」


 鮮血を流しながらも、再びセレスティアロの弦を限界まで引き絞っている……この俺だ。

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