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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第五章 突入。魔王城!

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第181話 【Sideファミーナ】カオティックドレス

ファミーナ視点のお話です!

 リザエラとの戦いに向かう数分前……。


「一分ほどで構いません。リザエラを足止めして欲しいのです」

「「えっ?」」


 決戦へ赴く前にシャーロットさんとリュウトさんにそうお願いした。

 魔王を相手に一分の足止めは容易そうに見えて、それは過酷極まりない無茶振りのようなことだ。

 当然、呆気に取られた表情となっているけど、リュウトさんはすぐに切り替えるように真顔となって質問した。


「一分……。それだけの時間があれば、発動できるスキルや特殊能力があるってことか?」

「はい。その通りです」


 私は正解であることを告げた。

 次にシャーロットさんも問いを投げてきた。


「……それって、リザエラを討つための決定打になるのね?」

「確約はできません。ですが、発動さえできれば、勝利の可能性を大きく引き上げることができます。私が今日まで秘めてきた……切り札なのです」


 私は一種の確信を抱きながら答える。


「本当か?」

「はい、それは……」


 私はお二人をすぐ傍まで寄せながら、声のトーンを落としながら話を進める。

 一分の足止めが必要な理由はもちろん、どんな能力であるかやそれぞれの役目まで、可能な限り作戦を煮詰めていく。


「……いいわ。ファミーナがその力を引き出すまで、私とリュウトで時間を稼ぐわ」

「それまではリザエラのヘイト役は任せてくれ」

(成功させられるかどうかが攻略の鍵になる。まずはそれをやり切る!)

「ありがとうございます。どうか、よろしくお願いします」


 意志と願いを汲んでくれたお二人に私は感謝の言葉と共に深く頭を下げた。

 この日に至るまで待ちに待った、私が秘めてきた力を解き放つ機会を実現させてくれる心意気に応えるためにも……。


◇———


本当の意味で……覚悟を決められたのかもしれない。


「何とか……発動できたみたいだな」

「そうね……。まさか、これほど禍々ししいと思いつつ、こんなにも美しいだなんてね」


 リュウトさんとシャーロットさんの言葉にも隠しきれない驚愕の色が混ざっている。

 二人の視線の中心で私は静かに己の身体を見下ろした。

 私の全身を包み込んでいるのは漆黒、薄紫、そして鮮烈な紅色が狂おしく織り混ざった、荒々しくも神々しい魔力のオーラであり、大気がパチパチと悲鳴を上げ、空間そのものが私の魔力に平伏しているかのような錯覚さえ覚える。

 これこそが、私がこの最終決戦のために用意していた。


「カオティックドレス」


 私の中に眠る魔族の血脈の中に亡き父と同じ力のようなそれを帯びた秘儀であり、文字通りの切り札だ。

 かつて、この不穏な力の存在に気づいた私は、興味本位で二度だけ試したことがあった。

 一度目は発現できた悦びのあまり力を制御できずに暴走させ、周囲の森を一夜にして消滅させてしまった。

 二度目は暴走こそ抑え込んだものの、限界を超えたような魔力に何度も振り回されてしまった反動により、五日五晩、死んだように眠り続ける羽目になった。

 気まぐれに触れていいモノではないのは身を以て理解していた。

 けれど同時に、この日からこそが私の信念を実現させるため、お父様の遺志を貫くために不可欠な要素であることも確信していたのだ。

 内側から底無しの力が満ち溢れてくる。


「むぅう……っ」


 リザエラの美しい顔が初めて苦々しく歪んだ。

 私の変貌が看過できない脅威であることをその表情が雄弁に証明している。


「ブラックサンダー!!」

「なっ!?」


 私の杖から放たれたのは光をも呑み込む漆黒の紫電。

 リザエラは瞬時に黒い魔力の壁を形成してそれを阻むも、直後に鼓膜を破らんばかりの轟音が炸裂した。

 視界を真っ白に染め上げるような激しい爆炎が、大広間に吹き荒れる。


「おぉお……っ!これは……!」

(少なくとも、あのメーディルとやり合った時よりも威力が桁違いに強烈だわ……!)


 シャーロットさんが爆風に金髪を揺らしながら、感嘆の声を漏らす。

 何せ、この力を他人の前で見せるのはこれが初めてなのだから、彼女がそう戦慄するのも無理はない。

 そこに、足元を滑らせるようにしてリュウトさんが駆け寄ってきた。


「ファミーナ!」

「リュウトさん……!」

「上手くいったみたいだな」

「はい!お二人のお陰様で引き出せました!」


 私の異形とも言える姿を見ても、リュウトさんの瞳には恐れの色のひとかけらもなかった。

 ただ、作戦が成功したことへの純粋な安堵と信頼が宿っているのが何よりも嬉しかった。


「シャーロットさん!リュウトさん!ここからが本当の決戦です……どうか、私にお力をお貸しください!」

「ええ、喜んで!」

「オオッ、任せとけ!」


 私は二人と肩を並べ、未だ晴れぬ硝煙の向こう側を睨みつける。

 すると……。


「ふっ、ふふふふ……」

「「「ッ!?」」」


 確かに晴れようとする煙から妖しくも不穏さを帯びた笑い声が耳を叩く。

 そこに映るのは……。


「素晴らしい力をよくぞ手にしたわね。ファミーナ。うふふふ……。待っていたわ」


 僅かに焼き焦げた表皮を見せながら、それでも不敵な笑みを浮かべ、どこから取り出したかのように数本の武器を周囲に浮かべるリザエラだった。


「あのグレイブと斧。まさか……?」

「あの鞭と杖って……もしかして?」


 リュウトさんとシャーロットさんのリアクションから見て、目に映る武具の数々に見覚えがあることをわざわざ聞かなくても悟るには充分だった。


「予期せぬ手札を持っているのはあなただけではないのよ。ファミーナ」


 そう言いながらリザエラの表情には醜悪が張り付いている。

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