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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第五章 突入。魔王城!

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第169話 【Sideシャーロット】望みを懸けて…

シャーロット視点のお話であり、メーディル戦はクライマックスを迎えようとします!

「ふふふふっ……。血の繋がりは無いとしても、仮にもリザエラ様の娘。足掻くだけの余力はまだ残っていたようね……」


 メーディルがその妖艶な唇を不敵に歪めた。

 杖を優雅に振るった後、ヤツの足元から噴き上がる漆黒のオーラはまるで意思を持つ捕食者のようにうねりを上げて肥大化した。


「もはや遊びは終わりよ。何としてでも、リザエラ様に捧げねばならないわね……。ファミーナ」

「「「……」」」


 立ち込める殺意と闘気に私の肌が粟立つ。

 私は隣に立つファミーナの肩越しに力強くエクスカリバーを構え直した。

 すぐ後ろにはメリスがいるものの、私たちのフォローのためにかなりの負担を強いてしまっており、魔力を相当消費している。

 それだけに、彼女の顔色は白紙のように青白い。

 援護射撃のみならず、防御に支援に回復の全てを一身に引き受けてきたメリスの魔力は既に枯渇寸前であり、それ以上の援護や防衛は望んでも実現すら難しいだろう。

……なら、私がやるしかない。


「私たちは……ここで負けるわけにはいかないのよ!」

「シャーロットさん……っ!」


 私の覚悟にファミーナが震える声で応える。

 私は迷いを断ち切るように床を激しく蹴り抜いた。

 踏み込みの衝撃で距離を一瞬で詰め、メーディルの懐へと潜り込む。


「ハァアアアッ!」

「むぅうっ!」


 メーディルは眉をひそめながらも、魔力を帯びた杖の柄でエクスカリバーから放たれる連撃を正面から受け止めた。

 ヤツの近接戦における対応力は従来の魔術師のそれとは一線を画していたけど、私の剣は止まらない。


「まだまだ足搔くわね」

「当たり前よ!勇者だもの!」


 全身の体重を乗せ、嵐のような連撃を叩き込む。

 対するメーディルは当初こそ余裕を崩していなかったけど、一手、また一手と、私の剣筋がヤツの領域を侵食していくにつれ、その瞳に僅かな焦燥が混じり始めた。


「チィイッ……!」

(……おかしいわ。支援魔法も弱まっているはずなのに、さっきよりも勢いが増している!?)


 私の力に押されることを苦々しく思っているメーディルが初めて苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

 器用さは認めているものの、やはり勝機はここにある。

 私は確信と共に更に撃ち込んでいく。


「ヤァアアアアッ!」

「くぅううっ……!ブラックフレア!!」


 たまらず後退したメーディルが即座に足元へ黒い魔法陣を展開させた。

 そこから溢れ出したのは何もかもを焼き尽くさんばかりの勢いを帯びた禍々しい黒炎だ。

 それは飢えた蛇のようにうねりを挙げながら、私に這い寄ってくる。

 その時、私は握り締めるエクスカリバーの刃を上に向けて両手を交差させながら側頭部辺りに構えながら力を込めた。


「吹き飛べ!」

「天聖貫!」


 突き出された剣先から濁りのない聖なる光が一閃した。

 それは野太い光の光線のように迫りくる黒炎を中央から強引に引き裂き、一直線にメーディルの胸元へと肉薄する。


「ダークブレード!!」


 驚愕に目を見開いたメーディルが咄嗟に杖の先端から漆黒の魔力を刀身のように伸ばし、横薙ぎの一閃でそれを弾き飛ばした。

 光と闇の爆ぜる音が響き渡り、視界が真っ白に染まる。

 だが、攻撃はそれだけでは終わらない。


「ブラックグラベル!!」


 凛としたファミーナの声が響いた。

 彼女が杖を高く掲げると、メーディルの前方斜めから無数の石の礫を模した魔力の弾丸が降り注いだ。


「ダークスプラッシュ!!」


 メーディルが舌打ちと共に杖を力任せに地面へ突き立てる。

 直後、ヤツの足元から黒い衝撃波が間欠泉のように噴き上がり、ファミーナの弾丸を全て叩き落とした。

 凄まじい衝撃波の威力を肌で感じた私とファミーナは咄嗟に後方へ跳び、距離を取って態勢を立て直す。


「ふぅうぅ……」

(勇者はもちろんだが、あのファミーナがここまでやるとは……)


 肩で息をするように、メーディルがこちらを睨みつけていた。

 その顔にはこれまで浮かべていた余裕の笑みは当に無く、代わりに張り付いていたのはファミーナの潜在能力を完全に見誤っていたことへの驚愕と屈辱だった。


「さぁ、これからよ!」


 私が剣を突き出し、叫ぶ。

 ファミーナも力強く頷き、その隣で杖を構え直した。

 後ろを振り返れば、メリスが先ほどよりも微かに、けれど確かに力強さを取り戻している。

 私が前衛でメーディルを攻め立て、時間を稼いだ甲斐があるものだ。

 少しでもメリスがサポートに回ってくれるならば、本当にありがたい。

 戦況は変わりつつあると私が感じる中、メーディルは乱れた前髪を上品さの中に力強さを込めながらかき上げ、深いため息を一つ吐き終えると、改めて口を開いた。

 

「これから……。そうね、そのようね」


 ヤツの声から一切の熱を消しながら、代わりに氷のように冷たい何かが宿った。


「不本意だけれど、認めざるを得ないわ。……こちらも相応の腹を括るべきかもしれないわね」


 メーディルの周囲に漂う空気が物理的な重さを伴って凍り付く。

 私たちは再び身構えながら、悟るのだった。


 決着の瞬間は……もう迫っていると……。

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