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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第五章 突入。魔王城!

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第165話 魔王軍の最強戦力

勇者パーティ 聖弓に選ばれたレンジャー&天才魔術師&屈強な戦士 VS. 魔王軍 最強戦力の戦士


サブタイトル的に言えば、このような内容ですね。

 魔王城へと突入した直後、気がつけば、俺たちのパーティは二つに引き裂かれていた。

 シャーロット、メリス、そしてファミーナ……彼女たちの気配は分厚い魔力の壁の向こうへと消え、残されたのは俺とジャード、そしてロリエの三人だけだった。

 そして目の前には、魔王軍の幹部の一角であるバリオルグであり、交戦している状況だ。


「カァアアアッ!」

「ぐおぉおおっ!」


 バリオルグが振るう漆黒のグレイブが繰り出す空間を揺らす凄まじい衝撃音がジャードの盾と正面から衝突した。

 重厚な盾が悲鳴を上げ、彼の巨躯が数センチ、石床を削って後退する。


「エアリアルエッジ!」


 後方でロリエが杖を前に掲げ、彼女の周囲に槍や円月輪を模した鋭利な風の刃が数十も形成された。

 俺も同時に動き、二本の"爆撃の矢”を番え、バリオルグの死角を突くように矢を放った。


「シュッ!」


 その波状攻撃がバリオルグを追い込んでいく……はずだった。


「ハァアアアッ!」


 バリオルグは不敵な笑みを消さぬまま、手に握るグレイブを周囲に旋回させた。

 それは生み出された漆黒の魔力の渦が竜巻となって彼の周囲を包み込んだのだ。


「黒牙戦塵!!」


 その弓矢と風の刃は黒い渦に触れた瞬間に無造作にかき消されていく。

 赤黒い奔流が爆ぜ、辺りに衝撃波を撒き散らした。

 ジャードは盾で防御し、俺はロリエが即座に展開した魔法障壁の影に飛び込んで難を逃れたけど、防壁越しに伝わる余波だけで内臓が揺さぶられるような圧力を感じた。


「ロリエ、助かった」

「礼なんて後よ!来るわよ!」


 砂塵を切り裂き、バリオルグが肉薄する。

 ジャードが瞬時に立ちふさがり、容赦のない突きを盾で受け止めた。


「フゥウン!」

「ぐぅっ……!」

(本当に重い!)


 前衛にジャード、後衛にロリエ、中衛に俺という教科書通りのようなバランスの取れたフォーメーションだが、バリオルグはそれを嘲笑うかのようにグレイブを乱舞させている。

 数的有利のはずなのに、それを全く感じさせないような槍術と身体能力は武の達人と呼ぶにふさわしい。


「リュウト、あいつの注意を引いて!」

「分かってる!」


 ロリエの鋭い声に、俺はバリオルグの周囲を弧を描くように走り出した。

 それから彼女は間髪入れずに詠唱を始めた。


「シュッ!」

「甘い!」

「地雷斬!」

「カァアアアッ!」


 俺が二本の矢を同時に放ち、その着弾の隙を突いてジャードが渾身の剣戟を叩き込もうとしたけど、バリオルグは一歩も引かず、流れるような槍捌きで矢を叩き落とし、同時にジャードをグレイブの柄で受け流した。


「黒流牙突!」

「なっ……!?」


 ジャードの一撃をいなした反動を利用し、バリオルグは流れるような動作で俺へとグレイブを突き出し、放たれたのは漆黒の魔力が螺旋状に渦巻く破壊の礫だった。

 俺は反射的に身体を捻り、今際(いまわ)(きわ)でそれを回避した。

 その直後。


「フンッ!」

「ぐぅうううっ!」


 再び斬りかかろうとしたジャードの腹部にバリオルグはあえて刃を使わず、グレイブの石突を叩き込んだ

 鎧の隙間に浮かぶ肌へ放たれた衝撃にジャードが苦悶の声を漏らし、大きくのけぞる。


「今だ!これならどうだっ!?」


 俺は”轟雷の矢”を抜き、バリオルグの眉間を狙った。

 だが、ヤツは止まらない。


「甘いわ!」


 グレイブを薙ぎ払って漆黒の衝撃波で矢を無理やり叩き落とすと、そのままの勢いで刺突を繰り出してきた。


「カァアアアッ!」

「チィイイイッ!」


 俺は即座に腰の剣を抜き、受け流すように刃を滑らせた。

 しかし、バリオルグは瞬時に手首を返して切り返してくる。

 頬を薄く裂かれて鮮血が舞いながら、俺は必死に地面を転がり、数メートルの距離を稼いで体勢を立て直した。


「ロリエ!」

「むぅう!?」

「ルクシオンヴォルト!」


 ロリエが右手で杖を突き出し、空いた左手で鋭く指を鳴らす。

 その瞬間、巨大な極彩色の魔法陣が展開され、空気を引き裂く轟音と共に紫電の矢がバリオルグを襲った。

 彼がいた地点を中心に落雷にも等しい衝撃と大爆発を引き起こす。


「どうだ……!?」


 視界が真っ白な光と砂煙に覆われる。

 いくら最高幹部といえど、ロリエの放つ強烈な威力を誇る魔法を正面から受けて無事であるはずがない。

 俺たちは息を呑み、砂塵の向こうを見つめた。


「ふっ、ふふふふっ……」

「「「ッ!?」」」


 砂煙がゆっくりと晴れていく中で聞こえてきたのは不気味ながらも、愉快さを感じさせそうな笑い声だった。


「いいな……」


 そこに立っていたのは漆黒の甲冑を数箇所を損壊させ、頬から血を流しながらも、瞳に爛々と狂気的な闘志を宿したバリオルグだった。


「なるほど、面白い。実に面白いぞ、お前たち」

「そんな……あの一撃を受けて、あの程度で済んでいるのかよ」


 ジャードが信じられないといった様子で声を震わせる。

 バリオルグは自分の傷口を指でなぞり、その血を舐めとるような仕草をした。

 大きなダメージを負っているようには見えないどころか、戦いという悦楽に浸る捕食者の表情だ。


「勇者パーティの戦士、魔術師、そしてレンジャーか。この私をここまで熱くさせるとはな……久々の高揚だ。さあ、もっと見せてみろ!お前たちの命を賭した戦いをこのバリオルグの魂に刻みつけてみせろ!」


 不遜さと自信が同居した狂気的にして快楽的な笑み。


 魔王軍の最強戦力がその本性を剥き出しにした瞬間、城内の空気は物理的な重さを伴って俺たちを押し潰そうとしていた。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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