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14.瞬間
「ミオ」
肩のあたりを撫でられる感触に、水緒は目を覚ました。シウのベッドの脇で眠ってしまったようだった。
両腕を包帯で巻かれた彼が、上体を起こしてこちらを伺い見ていた。目が合うと彼は優しく微笑んだ。
「ありがとう」
それだけ、たったの一言。何故だか辛くなって、水緒は泣いた。大粒の涙をポロポロと零した。
「ミオ、泣くな。お前に泣かれると……胸のあたりが苦しくなる」
彼が頬に手を伸ばした。水緒はその手を取って、自分の涙にぬれた頬に引き寄せる。
「……手、ちゃんと動く? 痛みとかない?」
「ああ。このとおり無事だ」
「よかった……」
目を閉じてまた、静かに涙を零す。顔同士が近づいた。唇と唇が触れそうになる。
――駄目!
水緒は弾かれたように目を開き、後ずさった。シウにも伝わる、困惑の表情。
「あの……ごめんなさい、わたし……」
対する彼は、弱弱しく微笑んだ。
「いいんだ、何でもない……少し、感傷的になりすぎた」
違うの。そう言いたいのに、言葉が出てこない。
――心を許しては、駄目。
まただ、またあの声。
水緒は項垂れて、部屋を去る。
「……家に帰る。また明日ね」
去り際に力なく手を振った。シウはそんな水緒をじっと見つめていた。




