↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/33

第18話「エレインと陽翔、二人の休日」

久しぶりの休息


王都の空はどこまでも青く、穏やかな風が通りを吹き抜けていた。

戦争の影が忍び寄る中でも、今日だけはそんな気配を感じさせない穏やかな日だった。

午後になっても客足は伸びなかった。

また、茜は今日、休みを取って異世界でできた友達と外出している


「……今日は、このあとの時間は休みにしないか?」


エレインがぼそりと呟いたのは、午後のランチタイムの後だった。


「え?」


陽翔は手を止めて、彼女を見る。


「いや、何となく……少し、のんびりしたくなっただけだ」


エレインは、目を逸らしながら小さく言った。


「戦の話を聞いて、ちょっと疲れたのかもな」


「そうか……じゃあ、今日は先に閉めようか」


陽翔は看板を裏返し、「本日休業」の札を掛けた。


「じゃあ、どうする? どこか行くか?」


「ん……別にどこか行かなくてもいい。ただ、少しゆっくりしたいだけだ」


エレインはカウンターに座り、ふっと息をついた。


「じゃあ、コーヒー淹れるよ。エレインの好きなやつ」


陽翔が豆を挽き始めると、エレインは静かに彼の手元を眺めていた。


***


店内には、二人だけの静かな時間が流れていた。


陽翔は丁寧にお湯を注ぎ、香り高いコーヒーを淹れる。

エレインはカップを手に取り、ゆっくりと一口飲んだ。


「……おいしい」


「そりゃよかった」


「お前、本当に変なやつだな」


「どういう意味?」


「……おまえは私がだらけてるのを許してくれるじゃないか」


エレインは少し頬杖をつきながら、陽翔を見上げた。


「……私は、魔法戦士としてずっと戦ってきた。でも、こうしてると、本当に普通の時間を過ごしてる気がする」


陽翔は彼女の言葉を聞きながら、小さく微笑んだ。


「それなら、ずっとこうしていればいい」


エレインは驚いたように目を丸くした。


「……お前、簡単にそういうこと言うよな」


「だって、本気で思ってるから」


「……バカ」


エレインはカップを置き、ゆっくりと椅子から立ち上がった。


***


物理的な距離


「なあ、やっぱり、少し外に出よう」


エレインが扉を開け、外へと歩き出す。

陽翔もそれに続いた。


王都の通りは、いつもより静かだった。

市場の活気は少し落ち着き、穏やかな時間が流れている。


エレインはふと足を止め、陽翔の方を振り返った。


「なあ、ちょっとこっち来い」


「ん?」


エレインは陽翔の腕を軽く掴み、人通りの少ない小道へと引っ張っていき、ベンチに座った。


「なんだよ、こんなところで」


陽翔も隣に座る。


「……お前、ちょっと黙ってろ」


エレインは言うなり、ふっと陽翔の肩に寄りかかった。


「……エレイン?」


「ちょっとだけ、こうさせろ」


彼女の声は、いつもより少しだけ静かだった。


陽翔は戸惑いながらも、彼女の背中にそっと手を添えた。


「大丈夫?」


「……わからない。でも、たぶん、少しだけ疲れたんだ」


陽翔は彼女の髪に目を落とし、ゆっくりと息をついた。


「じゃあ、好きなだけ休んでいいよ」


「……お前、本当におかしなやつだな」


エレインは微かに笑いながら、陽翔の胸元に顔を埋めた。


***


二人の関係の変化


しばらくの間、二人は何も言わずにいた。


通りの喧騒が遠くに聞こえ、時間がゆっくりと流れていく。


やがて、エレインがそっと顔を上げた。


「……陽翔」


「ん?」


「……私はお前と一緒になりたい」


陽翔は、優しく微笑んだ。


「…ああ、いいよ。僕でよければ」


エレインは目を閉じ、小さく頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。