道の上で
セナは意識の半分を取り戻し、まだぼんやりとした目で周りを見渡した。
「んん、今度はどこだ、ここ?」
遠くから馬車の音が聞こえてきた。
ガタッガタガタッガタ
その音が近づくにつれて、誰かがセナを呼ぶ声が聞こえた。
「そこの人〜、そこの人〜!」
[ん、なんだ? 誰か俺を呼んでるのか? 今度はなんだよ、もう]
馬車に乗っている人が更に大きな声で叫んだ。
「どいて、どいてくださぁーーーい!」
ドッンッ
次の瞬間、セナは馬車に轢かれた。
「いってぇぇぇぇぇ、おい! いきなり何すんだよ!」
馬車が止まり、乗っていた女性が慌てて降りてきた。
セナはその女性の顔を見た。彼女は赤い髪を持ち、ティア姉ちゃんと同じ耳が生えていた。片方の目は髪で隠れている。
「何を言ってるんですか、私はどいてくださいって言ったじゃないですか。もう、あなたが頑丈じゃなかったら今頃私は人殺しになってましたよ!全くもう。」
セナはそれに対して呆れながら言った。
「って、なんだよ、いきなり轢いてきて…」
馬車に乗っていた彼女は少し気まずそうに言った。
「て、大丈夫ですか?」
[あぁ、この感じ…やば…]
セナはぼんやりと目を覚ますと、目の前にはキファが立っていた。
「やぁ、君また会ったね。僕の事は覚えてるかい?」
セナは反射的に言葉を発した。
「て、さっきの…」
キファは少し困った顔をして、軽く肩をすくめる。
「うーん、君が来るのがちょっと早すぎたかな。君を轢いた子が心配してるよ。早めに戻ってあげなよ。かわいそうじゃないか、全く。」
セナは顔をしかめ、怒りをにじませて言った。
「もう訳がわかんねぇし、戻るって言ったって、俺には戻り方なんてわかんないし…」
キファは手をひらひらと動かしながら、気楽に言った。
「えーとね、頭の中でほわほわほわぁってすると戻れるよ。」
セナは少し不安な気持ちになりながら、半信半疑で試してみる。
「ほわほわほわ? まぁ、やる価値は…」
その瞬間、セナの意識が再び途切れた。
[この感じ…きっ…]




