↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
船讐  -空飛ぶ船から始まった物語-  作者: 梅犬丸
第一部 船編・獣国編
35/63

衣替え

セナがふと顔を上げて言った。

「……あれ? 俺の服って昨日取りに来いって、モーディさん言ってなかった?」


その言葉に、キティンの顔が一瞬で青ざめる。

「ほんとじゃない……! 彼女、そういうところ厳しいのに……!」


焦ったキティンはすぐに支度を始め、セナも慌てていつもの服に着替えた。そして、キティンがセナの腕を引っ張ると、二人は急いで街へと駆け出した。



10分後。


セナとキティンは、店の前で息を切らせながら立ち尽くしていた。


「つかれたぁ……」


二人同時にぼやくが、のんびりしている時間はない。キティンは気を取り直し、モーディの服屋のドアをノックした。


トントン。


静寂の中、扉がゆっくりと開く。しかし、店内の空気は異様だった。


セナは思わず足を止め、キティンに囁く。

「なあ……本当に入って大丈夫か?」


キティンはセナの背中に隠れるようにしながら、不安げに答えた。

「大丈夫じゃないかもしれない……でも、入らないと……」


意を決して中へ足を踏み入れると、目に飛び込んできたのは。


机の上に足を乗せ、ハサミで椅子を叩くモーディ。


怒りを孕んだ表情とは裏腹に、彼女の声は妙に優しかった。


「あらあら……お二人さん、昨日来なかった上に、すごく仲が良さそうですねぇ……デートでもしてたんですかねぇ?」


嫌な予感がしたセナは、そっと一歩後ろへ下がろうとした。


だが、次の瞬間。


「一言ぐらいいいなさいよぉぉお! 言うことがあんでしょうがぁ!!」


轟く怒声に、キティンは「ひゃんっ!」と変な声を上げ、セナに飛びついた。


モーディはそんな二人をじとりと見つめながら、ふぅ、とため息をつく。

「まあいいわ。なぜ遅れたのか、その理由だけでも言いなさい。」


促され、キティンは少し顔を赤くしながら、恥ずかしそうに答えた。


「……セナと……寝てた?」


店内が静まり返る。


モーディは一瞬、目を丸くし、次の瞬間には、セナですら気づかない速度でキティンの背後へと回り込んでいた。


「へぇ……そう……」


バッ!


結ばれていたキティンの後ろ髪をつかみ、そのままズルズルと奥の部屋へと引きずっていく。


「え、ちょ、ちょっと待ってモーディさん!?」

「や、やだ! 助けてセナぁ!」


セナの耳に響く、モーディの怒声と、助けを求めるキティンの叫び。


だが、セナはというと。


[そういえば、昨日確かに一緒に寝たな……]


呆然と立ち尽くし、思考が止まっていた。



1時間後。


モーディが少し疲れた顔をしながら奥から出てきた。

続いて、ふらふらになったキティンが現れると、まっすぐセナに抱きつく。


モーディはそれを見て、呆れたように言った。

「……まあいいわ。これ、セナ君の新しい服ね。軽さ重視だけど、硬さもかなりあると思うわよ。」


セナが受け取ると、モーディは手をひらひらさせながら、つけ加えた。


「とりあえず、まぁ……仲良くしなさいよ。」


そして、二人を店の外へと追い出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。