特訓開始!
この話はキティン目線で書きます
「んん…よく寝た…」
キティンはゆっくりと布団から這い出ると、まだ薄暗い部屋の中をそっと歩いた。隣で寝ているセナを起こさないよう、そっと息を潜めながらドアを開ける。朝の空気はひんやりとしていて、心地よい冷たさが肌を撫でた。
リビングへ向かう途中、廊下の窓から外を覗くと、東の空がわずかに明るみ始めている。柔らかな朝焼けが静かに世界を照らし始めていた。
「おはよう!お兄ちゃん!お父さん!」
キティンは勢いよくリビングのドアを開け、元気な声を響かせた。
アキレアはテーブルに肘をついたまま、眠たげに目をこすりながら顔を上げる。ブレンネンデスも椅子にもたれかかりながら、少しぼんやりとした表情で視線を向けたが、すぐにニッコリと微笑んだ。
「おはよう、キティン」
「うむ、おはよう」
「ねぇねぇ、お父さん、お兄ちゃん、ちょっと頼みがあるんだけど……いい?」
キティンはテーブルの前に立ち、少し照れくさそうにしながらも、真剣な眼差しで二人を見つめた。指をもじもじと動かしながらも、決意を込めて言葉を続ける。
「今日から毎朝、二週間……セナの誕生日の日まで、私たちに修行をつけてくれない?」
ブレンネンデスとアキレアは、一瞬驚いたように目を丸くしたが、すぐに顔を見合わせて笑った。
「そんなことか!もちろんいいぞ!」
アキレアが楽しそうに頷く。
「だがキティン、セナ君の誕生日プレゼントは決まっているのか?」
ブレンネンデスが腕を組みながら、少し気になった様子で尋ねた。
「それが、まだ決まってないのよね……一緒に考えてくれない?」
キティンは少し困ったように頬をかきながら、二人の顔を交互に見た。
すると、奥から声が飛んできた。
「いいわねぇ!誕生日プレゼントか……私だったら化粧品をあげるかしら」
リリーがニコニコしながら、テーブルに肘をついて話に加わる。楽しげな表情を浮かべていたが、その目は少し悪戯っぽい。
「それはお前が欲しいだけだろ!」
アキレアが即座にツッコミを入れると、リリーは悪びれることなく笑った。
「アハハ!バレた?」
「ちょっとお兄ちゃん、お姉ちゃん!ちゃんと真面目に考えてよ!」
キティンはむくれた表情で頬を膨らませる。
「じゃあ……マフラーをやればいいんじゃないか?」
アキレアがニヤリとしながら提案した。
キティンは少し考え込み、眉をひそめる。
「……でも、セナはその意味を知ってるのかしら?」
「意味なんて知らなくてもいいんだよ。大事なのは気持ちだろ?」
アキレアはキティンの肩をポンと叩きながら、真剣な眼差しで後押しする。
「……分かったわ。セナに渡す、マフラーを」
キティンは少し恥ずかしそうにしながらも、しっかりとした口調で言った。その頬がほんのり赤くなっているのを、アキレアとブレンネンデスは微笑ましげに見守っていた。
「おう!頑張れよ!」
「うむ、いい決断だ!」
二人が元気よく声をかけると、キティンはパッと顔を上げた。
「じゃあ、とりあえず修行の準備をお願いしてもいい?」
「もちろんだ!セナも連れておいで!」
「分かった!セナを起こしてくる!」
キティンは意気込んで部屋のドアを開けた。心の中は、修行とセナの誕生日に向けてワクワクでいっぱいだった。




