初の仕事
「よーし!ギルドに行くわよ!」
キティンは手を叩き、少しワクワクした顔で声を上げた。
「おーっ!」
セナも元気よく続いた。
「なぁ、武器とかはあるのか?この前のゴブリンの時、枝で戦うのはさすがに大変だったんだけど…」
セナは不安そうに尋ねる。
「ふふん、そう来ると思ったのよ!ジャジャーン!」
キティンは得意げに両手を広げ、荷物から長い布に包まれたものを取り出した。
カタッ。
「おお…!って、これ何だ?」
セナは目を丸くした。
「昨日の夜、セナが寝た後にお父様からもらったの。『初めての仕事だから』って、特別にロングソードを二本!」
キティンは誇らしげに剣を掲げた。
「結構いい剣に見えるけど…本当に貰ってよかったのか?」
セナは少し遠慮がちに尋ねる。
「もちろん!これからは依頼で戦うんだから、武器は必須でしょ」
キティンは自信満々に頷いた。
「なら、ありがたく貰うよ」
セナは剣を手に取ったが、思ったより重く顔をしかめる。
(…重いな)
心の中でつぶやきつつも、しっかりと握りしめた。
「それから、これ!」
キティンは今度は二冊の本を見せる。
「お母様からの贈り物。ひとつは治癒魔法、中級まで。もうひとつは火炎魔法で、これも中級まで載ってるの」
「へぇ、そんな本まで…」
セナは目を輝かせた。
「私、治癒魔法に適性があるから、治癒の方はもらうわね。いいでしょ?」
キティンは少し照れたように笑う。
「もちろん!でも火炎魔法は俺にも見せてくれよ」
セナは嬉しそうに答えた。
「ええ、一緒に勉強しましょう!『エンチャント』とか『フレイム』も載ってるのよ!」
キティンは目を輝かせながらページをめくった。
そう話しているうちに、二人はギルドの建物の前に立っていた。
「ついに来たわね…!私も初めてだから緊張する」
キティンは少し不安そうに扉を見つめる。
「そういえばキティンって、魔物と戦ったこと…ないのか?」
セナはふと疑問を口にした。
キティンは一瞬だけ目を逸らす。
「…と、とりあえず入りましょう!」
強気に言いながら扉を押した。
「今、顔そらしたぞ」
セナは小声でつぶやいた。
「え?何か言った?」
キティンは慌てて笑顔を作る。
「いや、なんでもない」
セナもひきつった笑みを浮かべた。
チャリチャリン──扉の鈴が鳴る。
「いらっしゃいませ!セナさん、キティンさんですね。依頼は掲示板に貼ってありますよ。初めてだと思うので、見やすいD級から探すといいですよ!」
受付のミアが元気よく声をかけた。
「はい!」
セナは緊張しながら返事をした。
「えーっと…B級の依頼、『村の近くに現れたオーガ討伐』…これはちょっと厳しそうね」
キティンは貼られた紙を見て首をひねる。
「俺はあっちの『キュイヴルシープの駆除』がいいと思う。D級だし、近くに野原もあるみたいだから、素材の収穫とかもできそうだ」
セナは紙を指差しながら言った。
「それ、いいわね。私も賛成!」
キティンは笑顔で頷いた。
「すみません、この依頼をお願いします」
セナはミアに発行書を差し出す。
「はーい、キュイヴルシープの駆除ですね。羊に似てて狩りやすい魔物ですが、毛皮が硬いので注意してください。倒した魔物はこの荷車に入れて、ここまで運んできてくださいね。では依頼受理です!」
ミアは説明を添えて、証明書を渡した。
「よし!じゃあ門を出て真っ直ぐの村へ向かいましょう!」
キティンは決意を込めて言った。
「ああ!」
セナも力強く答え、二人はギルドを後にした。




