キュイヴルシープ
「なぁキティン、キュイヴルシープってどんな魔物なんだ?」
セナは歩きながら尋ねた。探るような視線を向ける。
「毛が硬いらしいわ。食べてる草によって硬さが変わるそうよ。それと、頭のあたりは毛が薄いから狙いやすいって聞いたわ」
キティンは得意げに答える。
「へぇ、なるほどな」
セナは感心し、前方をじっと見据えた。
──10分後。
「おっ、見えた!あれが…キュイヴルシープか。なんかキラキラしてるな」
セナは目を凝らし、思わず声を上げた。
「セナ、やるわよ」
キティンの目が真剣に光る。
「でも食事中だぞ?大丈夫か…?」
セナはためらいがちに言うが、キティンはちらりと睨んだ。
そこへフューズが現れる。
「おい!おいらを忘れてねぇか!」
「あら、精霊さんいたのね」
キティンは驚いたように言った。
「なんだよ除け者扱いか?あの犬っころから助けてやったのにさ」
フューズは拗ねてそっぽを向く。
「ごめんごめん、そんなつもりじゃないわ」
キティンは慌てて謝った。
「ふん!ここはおいらがカッコよく決めてやる!」
フューズは胸を張り、風魔法を放つ。
『ウィンドカッター!』
カキィィィィンッ──金属を削るような音が響いた。
だが、群れの大半は驚いて逃げてしまう。
「おい!逃げてるぞ!」
セナは叫んだ。
「え、いい感じだったと思ったんだけどなぁ…」
フューズは肩を落とす。
その時、群れの中でひときわ大きなキュイヴルシープがこちらを睨んだ。
「メェェェェェッ!」
「なぁキティン、あれ…こっちに来てないか?」
セナは青ざめた。
「来てる!セナ、剣を抜いて!」
キティンが叫ぶ。
「うおおぉっ!」
セナは構え、突進してくる羊を受け止めた。
ガキィィィン!──剣と角が激しくぶつかり合う。
その勢いを利用して、セナは反撃に転じた。
「ドリャァッ!」
グシャッ。
刃が首筋を裂き、巨体が地面に崩れ落ちる。
「やったわ!セナ、すごい!」
キティンは目を輝かせた。
セナは息を整えながら手の小さな切り傷を見せる。
「なぁキティン、これ治せるか?」
「見せて。──『ヒール』!」
キティンの手から柔らかな光が広がり、傷が消えていく。
「おおっ!痛みも消えた!最高だ!」
セナは感動の声を上げた。
「ふふん、でしょ?」
キティンは少し照れくさそうに笑った。
「って、お前ら!残りの羊が逃げちまうぞ!」
フューズが叫ぶ。
「まあ、初めての狩りだし一匹で十分よ」
キティンは微笑んで答えた。
⸻
──1時間後。ギルドにて。
チャリチャリン。
「持ってきたぞ!」
セナは自慢げに羊を荷車から降ろした。
「おおっ…キュイヴルシープですね!鑑定しますのでお待ちください」
スタッフが手際よく確認する。
「……傷は多いですが、よく仕留めましたね。ティーア銀貨8枚でどうでしょう?」
「セナ、上出来よ!キュイヴルシープは傷が多いと値が下がるの。それで銀貨8枚はかなり良いわ!」
キティンは嬉しそうに言った。
「じゃあ、それでお願いします!」
セナは頷いた。
「了解です。依頼の報酬2枚を加えて、合計10枚になります!」
スタッフは銀貨を差し出した。
「これが…ティーア銀貨…どう使えばいいんだ?」
セナは戸惑ってキティンを見る。
「新しい服を買いましょ。セナの服、かなり汚れてるし」
キティンは優しく微笑んだ。
「そうか…じゃあ頼むよ」
セナは少し照れながら答えた。
「それと、通貨の種類はね──ティーア小銅貨、大銅貨、銀貨、金貨、白金貨、ミスリル貨の順よ」
キティンは説明する。
「そんなにあるのか!」
セナは驚いた。
「ちなみに銀貨10枚あれば、ブラックレオリングリズリーのステーキを二人で二回は食べられるわよ!」
キティンはにこっと笑った。
「マジか!!」
セナの目が輝く。
「そろそろ暗いし、帰りましょうか」
キティンが空を見上げる。
「ああ」
セナも頷き、二人は並んで歩き出した。
大体ティーア小銅貨1枚十円ティーア大銅貨百円ティーア銀貨千円ティーア金貨1万円ティーア白銀貨10万円ティーアミスリル貨100万円です!なのでブラックレオリングリズリのステーキ肉は一枚2500円くらいって事ですね。




