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船讐  -空飛ぶ船から始まった物語-  作者: 梅犬丸
第一部 船編・獣国編
19/63

寝室

 

キティンは少し思い出したように言った。

「そういえば、私の寝室をまだ案内してませんでしたね。ちょうど用事も終わったので、今から案内します!」


セナの心に冷や汗が流れる。

[やっぱり…同じ部屋で寝ることになるのか……]


セナは少し困った顔で答えた。

「あぁ…た、頼むよ…」


キティンは心配そうに顔を近づけた。

「セナさん、さっきから元気ないですけど大丈夫ですか? お風呂でのぼせちゃったとか?」


セナは慌てて手を振った。

「い、いやいや!ほんっとうに大丈夫だから、部屋に案内してくれ!」


扉が開き、目の前に広がった光景にセナは言葉を失った。

[……なんだこの広さ!? 寝室っていうより大広間じゃないか。それに香りもいいし、豪華で整ってて…しかも可愛らしい雰囲気まであるだと……]


キティンは誇らしげに笑った。

「ここが私の部屋です! 私のベッドは私が使っていいですよね?」


セナは苦笑して頷いた。

「もちろんだよ。泊まらせてもらえるだけでもありがたい話だし。」


すると、キティンは少し照れながら続けた。

「でも…セナが寝る場所が無いですよね? あっ、それなら……私のベッドで一緒に寝るっていうのはどうですか?」


セナは目を丸くして慌てて叫んだ。

「ストップ! それはダメだ! 同じベッドは流石に無理だろ!」


キティンは小さく肩を落とした。

「でも…私たちパーティ仲間ですよ?」


セナは真っ赤になって反論した。

「仲間でもダメなものはダメ! 異性が同じベッドで寝るなんて、人間の常識じゃありえないんだ!」


セナはふと、昔のことを思い出す。

[……そういえばティア姉も、よく勝手に俺のベッドで寝てたっけな。やっぱ獣人はそういうのにゆるいのかもしれないけど……]


キティンはしゅんとした顔で呟いた。

「そうなんですか……」


セナは思わず疑ってしまい、焦って口を滑らせた。

「まさか、他の男もここに連れ込んだりしてないよな?」


キティンは目を潤ませ、首を振った。

「そんなことありません! 私はずっと魔法学校に通っていて……男の友達なんて一人もいなかったんです。セナが初めてなんです……」


その目から、ぽろりと涙がこぼれた。


セナは慌てて手を差し伸べた。

「あ、ああ、ごめん! 泣かせるつもりなんかじゃ……」


キティンは涙を拭って首を振る。

「いえ、私が子どもっぽいだけです。……あ、そうだ! 毛布なら余ってますから、それを使ってください!」


セナは安堵したように笑った。

「いいのか? 助かるよ!」


キティンはにっこりと微笑んだ。

「じゃあ持ってきますね!」


──10分後。


ドスンッ!


大きな毛布が部屋に運ばれた。セナは驚きながら声を上げた。

「でっかいな! しかも、この毛……ふわっふわだ。」


セナは毛布を受け取りながら、ちょっと気まずそうに呟いた。

[……なんか、気まずいな]


キティンはお風呂の準備をしながら言った。

「私はこの後お風呂に行ってきます。セナは夜更かししないようにしてくださいね!」


セナは少し照れくさそうに答えた。

「あぁ、先に休ませてもらうよ。おやすみ」


キティンは優しく微笑んだ。

「おやすみなさい、セナさん」


セナは深呼吸し、ふわふわの毛布にくるまりながら目を閉じた。

[……今日はゆっくり眠れそうだ]


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