ようやく街に
――ガタガタガタッ。
馬車は全速力で荒野を駆け抜けていた。
「ふぅ……ここまで来れば大丈夫だな。」
セナは大きく息を吐き、振り返ってフューズに笑いかけた。
「精霊さん、本当にありがとう!」
「へっ、あたぼうよ!」
フューズは胸を張って羽をばたつかせる。
「おいらはすごいんだぞ!……でも、ちょっと疲れたから戻らせてもらうわ。」
「助かったよ。お前がいなかったらどうなってたか……本当にありがとう。」
セナの感謝の言葉に、フューズは少し照れたように鼻を鳴らすと、ふっと宝石の中へと戻っていった。
「あれ……?精霊、どこ行ったんだ?」
セナはポケットを探って首をかしげる。
「ちょうどその石に帰りましたよ。」
御者台から後ろを振り返り、キティンが答える。
「あぁ、そういう仕組みか……。」
セナは宝石をそっと撫でながら、心の中で思った。
[……後で磨いてやるか。]
その後は、馬車の揺れに身を任せながら、他愛もない話を交わした。時折、笑い声が木立にこだましていく。
――十時間後。
「うおおおおおっ!!つ、ついたぁぁ!」
街の城壁が視界に飛び込んできた瞬間、セナは思わず叫んでいた。
「ふふっ、元気ですね。」
キティンも嬉しそうに笑う。
「ところでセナ、この後はどこへ行くつもりなんです?」
「んー……。」
セナは少し考え込む。
「まだ決まってないんだよな。ただ一つ言えるのは……俺は、もっと強くなりたい。」
キティンは顎に手を当てて、提案するように言った。
「なら、冒険者ギルドはどうですか?」
「ギルド?」
セナは首をかしげる。
「ええ。魔物の討伐や薬草の採取、護衛の依頼なんかを引き受ける組織です。実力をつけたいなら、うってつけですよ。」
「へぇ……いいじゃねぇか!」
セナの目がぱっと輝く。
「よし、決まりだ!ギルドに行こう!」
こうして二人は街に入り、冒険者たちが集う場所へと歩を進めるのだった。




