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エルフの巫女2

 奥深い森の39階層。


 エルフの里の巫女の寝所に僕はいた。

 外からはエルフたりの怒号と喧騒に紛れて、リアさんたちと思われる破壊音がまだ聞こえてきている。

 あんまりやり過ぎてしまうと、あとが怖そうなんだけど。

 そうは思うが、クウデリアから聞いていた僕がいなくなってからのリアさんの落ち込んだ様子から、ある程度のエルフへの仕返しは仕方ないかと納得する。

 エルフが僕を拐ったのは間違いないし、リアさんの鬱憤ばらしに付き合ってもらい、エルフたちには少し反省してもらおう。

 第4王子ジルエルは僕の近くで周囲の警戒をしてくれているし、僕は横たわっている巫女様の腹部に虹色になった手を当ててみる。

 僕の頭にとんでもない量の情報が流れ込んでくる。

 さすがエルフ、生物としての情報量が階層主並みに多い。

 さっそく負荷のフィードバックが襲ってきた。



「どうだ? エルフの巫女は助かりそうかい?」


「たとえ、ダメでも助けてみせますよ」



 僕は読み取った情報を整理する。

 エルフの巫女様の体を構成する情報、その中から異分子を選り分ける。



「ん、なんだこれ」



 呪いのナイフが異物なのはともかくとして、他にもおかしな点があった。

 何か強力な力で巫女様の下半身の情報が内側から書き換えられている感じだ。

 僕は巫女様の下半身に掛けてあった掛け物を引き剥がす。



「これは……」


「お姉……ちゃん……が……」



 ジルエルが言葉を失い、エルフの女の子は自分の姉の変わりように泣きそうな顔になっている。

 そこにあったのは巨魚を思わせる魚の半身だった。

 エルフの上半身に魚の下半身。

 下半身は、大腿に2本足だった痕跡が残っていて辛うじてわかれてはいたけど、膝から下は完全に尾びれと鱗に覆われた魚になっていた。

 話に聞いたことのある人魚という生き物がいるとしたら、こんなおぞましい感じなんだろうか。



「ああああ、お姉ちゃんが……」


「君のお姉ちゃんは絶対に僕が助けるから、もうちょっとだけ待ってて」



 僕は情報の操作をしていく。

 呪いのナイフやその他の異物も全部まとめて選り分ける。

 そして、巫女様の元の姿を構築するように情報を書き換えていく。

 あれ、そういえば何で僕はもとの巫女様の姿がわかるんだろ?

 これもこの虹色に光る手の効果なのかな。

 とにかく、どう書き換えていけばいいのか僕にわかって便利だし、ありがたい。

 まだもう少し時間がかかるかもしれないけど、頭の中の制限時間の目盛りは封印耐性(手)のレベルアップのおかげか、まだまだ残っている。



「よし、このままなら、いけるかもっ!」


「そう上手くはいかせんよ」


「!?」



 いつの間にか、そこにはフードを被った星光教の男が立っていた。



「おかしなドワーフの次は、おかしな能力を持った医術士見習いの子供か。今回の一件には本当にいろいろな邪魔が入って困ったもんじゃ」



 …………あれ?

 星光教の男が僕に手を向けると、無詠唱の魔法で生み出したと思われる炎の玉が飛んできた。

 普段なら手で簡単に防げるけど、今、僕の手は両方とも塞がっている。

 こんな不安定な情報書き換えのまま巫女様から手を離したりしたら、巫女様の体そのものが崩壊して光になりかねない。

 僕は体に力を込めて覚悟を決める。



「影陣」



 そんな僕の悲痛な覚悟なんてまったく要らないとばかりに、僕を広がった影が覆い尽くし、襲いくる魔法から守ってくれた。



「おっと、こっちのことも忘れてもらっては困るな」



 そう言った、ジルエルの姿は僕の瞳には紛れもなく最高のイケメンに写っていた。





読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ拙い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m



本日、昼頃に次の投稿をおこないたいと思います。

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