とある脇役視点 その1
sideゾフィー・サイダー
私はゾフィー・サイダー。
あの有名な『愛と誠と君と僕』の著者、ルソー・サイダー子爵の血を引くもの。
私はある公爵令嬢に仕えている。
彼女と出会ったのは、王子の6歳の誕生日パーティーだ。
初めて首都に来た私は、右も左もわからずあたふたしていた。
そんな時、彼女が声をかけてくれた。
子供ながらあふれる気品、氷のような青い目。
滑らかな黒髪を彩るは、極彩色の羽で作られた帽子。
ふくよかで揺れるお腹を包むは真っ赤なドレス。
田舎では滅多に見ないその姿に圧倒されてしまい、そして美しいと思った。
目がチカチカするような帽子。弾力があり触り心地の良さそうなお腹。
すべてが愛おしいと思った
「私のお友達にしてさしあげますわ」
その言葉を聞いて、天にも昇る気分になった。
彼女の容姿を誉めていたら、彼女に気に入られて彼女の家、バレンシア公爵家で生活することになった。
次期王妃になると言う彼女は沢山の努力をしていた。
侍女たちに、体を磨きあげさせ、流行りのドレスを何着も作らせた。
さすが、公爵令嬢と思った。
努力している彼女を喜ばしたいと思い、沢山のお菓子を侍女達に準備させた。
彼女はその全てを嬉しそうに平らげた。
こんな幸せが続けば良い。そう思っていた。しかし、この幸せは長く続かなかった。
カレン・ストレンジャーという、商人上がりの成金男爵の娘が歴史ある学院に入学してきた。
もちろん彼女は激怒した。
私は彼女のために、入学式の会場から追い出した。
会場から追い出したカレン・ストレンジャーは、マリン・クォーツとミランダ・アンバーという醜女を引き連れ、のうのうと戻ってきた。
彼女の顔が般若の如く歪む。
その後も、カレン・ストレンジャーたちは、彼女を怒らせることばかり行う。
せっかく、マナーのなっていないカレン・ストレンジャーに、わざわざ彼女が注意してあげたのに……
カレン・ストレンジャーは泣くわ、マリン・クォーツは彼女に嫌み言うわ……
彼女の機嫌を直すために、私は大量のケーキを、学院の料理人達に作らせた。
彼女は喜んで、口の回りにクリームを着けながら全て食べてくれた。
またある日は、布切れのようなドレスを着ていたカレン・ストレンジャーに、彼女がわざわざ、公爵家御用達の仕立て屋を紹介するというのに断るし。
その神経が信じられなかった。
彼女御用達の店に頼めば、金色のドレスに、宝石を敷き詰めたヘッドドレスを身につけた彼女には劣るものの、それなりにみれた姿になるはずなのに!!
それに、一番許せないことは、彼女がせっかく勉強を教えてあげようとしていたのに、本を破いたくらいで大声て泣いたこと!
本なんて買えばすむはずなのに。
その後も、曲がっている剣を真っ直ぐに直したり、ヨゴレている彼女を綺麗にしようと水を掛けたりしたのに全然感謝しようとしない。
しかし、そんなカレン・ストレンジャーに天罰が下った。
階段から転げ落ちたのだ。いい気味だと思った。
「誰にも言わないで」とカレン・ストレンジャーに言われたので、医務室の先生を呼んでやったわ。
そんな、可愛げのないカレン・ストレンジャーは嫁ぎ先もないと、彼女と笑っていたら、卒業パーティー後、カレン・ストレンジャーは行方不明になったと聞いた。
彼女を散々バカにしたバチがカレン・ストレンジャーに当たったと思った。
二人で祝杯をあげたの。
学院卒業後、環境が一気に変化した。
彼女の父親は何故か捕まり、彼女の兄は従兄弟に爵位を譲ろうとする
バレンシア公爵令嬢として誇り高い彼女は何とか兄を止めようと、三日三晩部屋で兄を説得していた。
そしたら、彼女はやって来た騎士団に捕らわれてしまった。
そして、騎士団はついでとばかりに私も拘束する。
その後、彼女と別々の修道院に送られることになった。私は首都から半日かかる修道院。彼女は陸の孤島と呼ばれる、首都から1ヶ月かかる場所へ。
彼女と離れてしまったショックと、味気ない修道院の食事のせいで私はみるみる痩せ細った。
しかし、不思議なことに痩せれば痩せるほど男性にモテるようになった。
「私と結婚してください」
ついに中央に近い場所に領地を持つ子爵から告白された。
なんでかしら?




