主人公視点⑦
それから、私たちは一頭の馬に股がり、7日7晩かけて友好国メトポーロン王国へ向かった。
メトポーロン王国の城に付き、衛兵に国王の取り次ぎを頼んだ。最初衛兵は浮浪者を見るような目で見てきたが、インディゴ国王の書状を見せると、顔色を変えて私達をメトポーロン国王ベリル様の元へ案内してくれた。
初めて会ったベリル国王は噂以上に美しい人だった。
光の当たり方で、ピンクや青に見える白い髪に黄色と黄緑のオッドアイ。
その姿はまさに芸術品と言っても過言ではなかった。
ベリル国王は、泥と汗で汚れている私達に湯を勧めてくれた。しかし、私達は断りベリル国王に助けを求めた。
私達の話してくれた聞いたベリル国王は、2つの条件を提示した。
一つ目は私の願いを叶えるために、私とマリンが国王の願いを叶えるべく働くこと。
二つ目はジェイド王子からの要請が無い限り、ベリル国王は協力はしないこと。
その二つの条件を聞いて思わず眉間に皺が寄った。
しかし、マリンは私と反対に涼しい表情で二つ返事をした。
「あのバカ王子が、マリンの意図を理解するとは思えません」
思わず本音が出てしまった。
だって、マリンを公の場で罵倒したあのヘッポコ王子が、他国に助けを求めるとは考えられない。
「あら?私が愛した人ですよ?それに、私の従兄弟と幼なじみが側にいるのよ?
きっと、大丈夫よ」
マリンは微笑み何も心配などいらないとわたしとベリル国王に言った。
ベリル国王に謁見したあと、私達はベリル国王の頼み事を遂行しながら、エアル王国のために暗躍した。
そう大したことは行っていない。ただ、バレンシア侯爵家の執事長を捕まえるのを手伝っただけ。
その後、私達は滞在している屋敷の女主人からジェイド王子達の活躍により、バレンシア国務大臣を捕まえることが出来たと聞いた。
マリンはその話を彼女から聞いた後、私に向かい『ほらね』と誇らしげに言った。
ジェイド王子達の活躍を聞いた日の晩、ベリル国王が彼女に会いに屋敷を訪れてきた。
ベリル国王が来ると彼女は……オルジュ様は栗色の髪を乱しながらベリル国王に駆け寄った。
マリンと私がベリル国王に頼まれたこと、それはこの国の農務大臣の娘であるオルジュ様を立派な令嬢にすること。
ベリル国王とオルジュ様は幼い頃からお互いを好きあっていたらしい。
反対する高官を黙らせるために、高官達が知らない間に、他の令嬢達が足元にも及ばないほどの令嬢になろうと画策していたらしい。
マリンは元次期王妃として、王妃に必要な知識や礼儀、作法を教え込んだ。
私は元庶民として、オルジュの話し相手をした。
マリンの教え方とオルジュ様の飲み込みの早さで、短期間で立派な令嬢へ変身した。
ベリル国王は立派な令嬢になったオルジュ様に満足して、私達に願いは無いかと聞いてきた。
私とマリンはあらかじめ決めていた事をお願いした。
「私達を殺してほしい」
私達の存在はジェイド王子を惑わせる。
「わかった」
ベリル国王は一つ頷くと、私達に向かい剣を振り下ろした。




