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主人公視点⑥

私が突き落とされた後、王子の警護はよりいっそう厳しくなり、それと比例するように王子達は私に余計に構うようになった。

マリンとミランダ、それからミモザ様達との接触を王子たちに過剰に制限され、つまらない学生生活を余儀なくされた。


だけど、その生活から遂に解放される日がやって来た。私はやっと学院から卒業するんだ。


卒業後、多くの令嬢が他家に嫁ぐ中、私は王宮へ女官としての就職が決まっている。


男爵に黙って女官の採用試験を受けた。クォーツ家での勉強の甲斐があり、私は主席で合格することができた。主席合格者は王妃付きになることができる。

王妃になったマリンとずっと一緒にいることができる。


試験合格後、私は何度も学院長にお礼を言った。試験を受けられたのも全て学院長のおかけだ。


王宮の女官は学力や知識だけでなく家柄も重視される。私は豪商上がりの歴史の浅い男爵家の令嬢。


本来なら、私は試験を受けることさえできない。


どうしても、試験を受けたかった私はダメ元で学院長に後見人になって欲しいとお願いした。学院長は快く後見人になってくれた。


王子達に絡まれ、最後はろくでもない学生生活を送ったが、マリンや学院長をはじめ、とても良い人たちに出会うことができた。


新たな旅立ちに胸を膨らませ卒業パーティーに望んだ。


だけど、この卒業パーティーは私をどん底に突き落とした。


「……そなたを国外へ追放する」


突然始まったマリンの断罪。


私を突き落とした犯人が、いけしゃあしゃあと偽物の証拠をマリンに突きつける。


意味がわからなかった。



気づいたら私は宿舎にいた。


私は思わず手近にあったランプを、マリンたちとおそろいで買ったランプを壁に投げつていた。


ただ泣くだけで何も出来なかったことが、悲しくて、悔しくて。


王子たちのマリンを責める声


マリンが会場を後にする後ろ姿。


夢なら全て覚めてほしい。







街から全ての光が消えた時、私はマリンを追う決心をした。


王宮に行くためにまとめていた荷物を手に持ち、宿舎を飛び出した。マリンがいない王宮で働くことに意味はない。


最初に後見人になってくれた学院長の家に向かった。


女官になることを放棄することに対する謝罪をするために。


学院長の家に着くと深夜にも関わらず、学院長自ら私を出迎えてくれた。


「君は何も心配しなくていい。私の方から王妃と宰相に言っておく」


私が何のために訪れたのか理解していた学院長は、私が謝る前に言ってくれた。そればかりか、『少なくて悪いが』といい、お金とあるものを渡してくれた。


それは、クォーツ宰相が発行した渡航許可書、国王直筆の書状、アーディン教の修道女見習いの身分証。


この国では、未婚の貴族令嬢が婚約相手が見つかるまで、修道女見習いとして活動することは珍しくない。貴族令嬢の身分を捨てる私とマリンには、とても有難い。


私は学院長にお礼をいい、次にミランダの家に向かった。


きっと、ミランダもマリンを探しに行きたいはず。


そう思い、アンバー家に忍び込み木をよじ登り、ミランダの部屋の窓を叩いた。


泣きはらした顔のミランダに、『マリンを探すために国をでる。ミランダも一緒にいかない?』と誘う。


しかし、ミランダは


「私は一緒には行けないわ。


マリンにこの国と王子を頼まれているから」


ミランダは、マリンと同じ意思の強い青い目で言い切った。


ミランダは一緒に行けない代わりに、愛馬を私に託してくれた。


私はミランダにお礼を言い、その馬に跨りアンバー家を後にした。



明け方近く、隣国に向かう街道でマリンに追い付くことが出来た。


マリンに声をかけると、マリンは眼を見開き驚いた。


「マリンを追いかけて来ました」


そういう私に、マリンは迷惑をかけられないと言う。



「マリンにかけられる迷惑など迷惑だと思いません。私は、どこまでもマリンに着いていきます」


私はマリンのために生きることを決めた。マリンが例え嫌がったとしても私はどこまでも着いていく。


「カレン…………」


マリンは私の言葉に、一粒涙をこぼした。


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