主人公視点①
sideカレン・ストレンジャー
私の名前は、カレン・ユナイデット
しかし、今はストレンジャーの姓を名乗ることを強要されている。
私は、父を知らずに育った。周りの友達には父親がいるのに、どうして、私にはいないのか不思議に思い、一度だけ母に聞いたことがあった。
その時、母は寂しそうな表情をしたため、幼いながら聞いちゃいけないことだと理解した。
父がいない分、母は私を愛してくれた。
近所の人も皆やさしく接してくれたため、全然寂しくなかった。
生活のため、母と一緒にパン屋で働いて、一人で近所の花屋で働いた。
15になったある日、趣味の悪い馬車に乗ってきた男性が訪れてきた。
男性は、ストレンジャー男爵の使いのものだと名乗った。
貴族と聞いて、私と母は渋い顔になった。
貴族に良い印象を持ってないからだ。
ここを治める貴族は自分勝手に税を上げ私腹を肥やしている。
すぐに追い出したかったが、男爵の使いという男は横柄な態度で家に入れるよう要求してきた。
貴族に逆らっても良いことはないため、渋々家に入れることにした。
男性は母が淹れたお茶を不味いと言った。
こめかみに青筋が浮かぶ。
母もこめかみに青筋を浮かべながら、男性に要件を聞いた。
「そこにいる小娘は、庶民とはいえストレンジャー男爵の血を引いている。亡くなった男爵の子供の代わりに育ててやるから寄越せ」
男は傲慢に言いはなった。
「ふざけるな!カレンは私の娘よ!犬猫のような扱いをするな」
男性の言葉に怒った母は、お茶を男性に掛けた。
男性は驚き、母を憎しみのこもった瞳で見つめ
「この件を断ったこと後悔しますよ」
と言い、馬車で走り去った。
「母さん、ここから逃げましょう?」
「大丈夫よ。貴女は何の心配も要らないのよ」
貴族からの報復を恐れた私が逃げようと言っても、母は大丈夫と言って笑った。
このとき、母と共に逃げなかったことを今でも後悔している。
貴族の使いが訪れてきた翌日、花屋での仕事を終えた私が家に帰ったら、そこには、血塗れになった母が倒れていた。
「だから言ったのに。バカな女だ」
あまりの現状に呆然としている私の後ろから、昨日来た貴族の使いが話しかけてきた。
こいつが犯人だと確信した私は、騎士団の駐屯所へ走った。しかし、そこには昨日までいた顔見知りの騎士は誰一人居らず、醜い笑みを浮かべた騎士がいただけだった。
ここに私の味方がいないことを理解した。
力が抜けへたりこんでしまった私は、追いかけてきた男に男爵家へ連れていかれた。




