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友達視点⑥

私達が最終学年になる前日の夜、公務で国外にいるはずのマリンがアンバー邸を訪れてきた。


慌てて玄関に行くと、そこには深刻な表情をしたマリンが立っていた。

その表情にただ事ではないと悟った私は、マリンを父の執務室へ案内した。


父の執務室は防音がしっかりしている。ここなら、マリンも安心して話が出来ると思った。


マリンは執務室に入り、私達二人しかいないことを確認してから、ある書類を渡してきた。


その書類は王宮の部署ごとの損益計算書である。


何だろうと思ったが、読み進めるとおかしな場所がいくつか見つかった(王妃教育の一環、もちろんマリンの勉強のおこぼれで損益計算書の読み方を習った)



「国務大臣がなぜ裏金を」


国務大臣が裏金を準備していた。


「それを、ミランダからアンバー財務大臣に伝えて欲しいの」


損益計算書から顔をあげると、マリンは言った。


言い訳ではないが、私の父が無能な訳ではない。一つ一つを丁寧に時間をかけなければわからないほど、国務大臣の偽装は完璧だった。日々、多くの業務を行う父に一つ一つを丁寧に見る時間などない。


父をバカにされたことに怒った。怒った私は、想像の中で国務大臣を思い付くかぎりの残虐な方法で痛め付けた。


私の心が落ち着いたことを確認して、マリンは現状について話を始めた。


マリンの話をまとめると、



①学院内で不慮の事故に見せかけた、ジェイド王子の暗殺計画があること。


②ジェイド王子が亡くなった後、自分の息子を王子に据え、関白の地位を手に入れようとしていること。国王も暗殺しクォーツ宰相に罪を押し付け王宮から追放後、自ら宰相になり政治の実権を握ること。


③敵国であれ神教国と手を組み、友好国である隣国への侵略を企てていること


④息子に妹でもある自分の娘、つまりリリスを嫁がせ、権力を確実な物にしようとしていること


上記のことについて、バレンシア国務大臣は企てているらしい。


この話を聞いて、私は納得した。マリンが学院入学後、グレンに向かい、口を酸っぱくして王子の側から離れないようにいっていたことを


そして、同時にバレンシア国務大臣を憐れんだ。


これ程までに王位にこだわることに。


バレンシア国務大臣の祖父は、当時の国王の第一王子であり、正室の息子だった。しかし、近親結婚が原因で体が弱く、字が読めなかった。それが原因で当時の第一王子は自ら王位継承権を放棄した。


これは、当時の国王、正妻、側妻、王子達を含めて納得の上で行われた。第一王子の王位継承権の放棄は大貴族会議でも議論されているため、当時の記録が残っている。


「バレンシア公爵は当時の記録は捏造されたものだと思っているのよ」


マリンは困ったような表情でいった。


あのサイダー子爵(当時の地方の子爵。芸術と歌を愛し『愛と誠と君と僕』という、マイナーな詩集を出版した変人子爵。政治に興味なし)の手記にさえ、その事は書かれている。


それなのに疑うなんて、疑うなんて甚だおかしい。


「バレンシア国務大臣、本気なの?」


「ええ、本気で国家を転覆させようと考えていらっしゃるの。

だから、協力してミランダ」


マリンのお願いに二つ返事をした。


打ち合わせの結果、バレンシア国務大臣の悟られないよう、クォーツ公爵から父への連絡は、私とマリンを通すことになった。


きっと、マリンとカレンが仲良くならなければ、今のバレンシア国務大臣の立ち位置にいたのは、マリンだったことを思うと、寒気がした。


念のため、カレンに伝えることにした。学院でこの話をするとにはきっと特別室になる。特別室に入るときは大抵カレンも部屋にいる。



知ってしまうと、カレンの身が危険に曝されてしまう危険がある。

しかし、今までと異なる行動をして、リリスたちに怪しまれては今までの努力がムダになってしまう。


それに、カレンを仲間はずれにしたくなかった。




だが、それは杞憂に終わった。


ジェイド王子とその取り巻きに邪魔をされ、カレンと話をすることが難しくなったのだ。


私とマリンは寂しさを覚えたが、これでカレンを巻き込まなくて済むと安堵した。


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