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友達視点④

平穏な平民生活から魑魅魍魎溢れる貴族生活へ生活環境が一気に変わったカレンに同情した。しかし、生活が変化したのは、何もカレンだけでない。


もちろん、私とマリンだって、生活に変化があった。


私は、クォーツ家で行う勉強の他に、本格的な花嫁修業が始まった。


学院に通う令嬢たちの大半は、卒業後他家に嫁ぐ。そのため、学院生活はある意味大規模な婚カツパーティーみたいなものだ。


マリンは本格的に次期王妃として活動を始めた。王妃教育の他に、当代の王妃の名代として各種のパーティーに参加することが多くなった。


それと……マリンのグレンへの対応が冷たくなった。


まぁ、今までは私達より身長が低く、天使のように可愛く


『マリン、マリン!』


と仔犬のように後ろを付いて回っていたが、タケノコのみたいにニョキニョキ伸びて……いつの間にか私達は身長を抜かされてしまった。


今のグレンに後ろを付いて歩かれることは、確かに迷惑だけど……


それが理由なのかしら?

疑問に思い、マリンに聞いても


「グレンはジェイド様の側にいなければならないの」


そう答えるばかり。


『きっと、これは私が知るべきことではない』


長年の付き合いで理解した。


胸がざわめき、嫌な予感がするが、私はマリンを信じることにした。


マリンが闇落ちしてもしなくても学院卒業後、私達はきっと平穏な生活を送ることができないだろう。だから、学生の間は平穏な生活を送りたい。そう思った。

しかし、神は私達が平穏に暮らすことを許さなかった。


新な問題が発生したのだ。


リリスとその取り巻きによるカレンへの嫌がらせだ。


国一番の学院であるため、そこに通うご令嬢やご子息達の大部分は 人が出来ている。


しかし、リリスを含めたごく一部の貴族は平民上がりのカレンを下に見ている。


ある日のマナーの授業でリリスは

「まぁ、なんて野蛮なのかしら。我が国の貴族に相応しくないわ」


「さっさと、お山にお帰りになったら?」


「貴女は授業を受けるより、ここを掃除をする方がお似合いよ」


など、カレンに嫌みを言ってくる。


確かに、カレンのマナーはまだまだな部分もある。だからと言って、カレンを貶していい理由にはならない。


他の令嬢たちも、リリスの言葉に、眉をひそめる。


リリスは止めようとする令嬢たちの声を無視をし、カレンを罵倒を浴びせる。



「リリス様………それ以上、カレン様を罵るのを止めていただけませんか?

見ているだけで不愉快です」


見かねたマリンが、リリスに注意する。リリスは不服そうな表情をしたが、マリンに反論することもなく、口を閉ざした。さすがのリリスでも、次期王妃のマリンの言葉は無視できない。

リリスはカレンを睨み付けると、取り巻きを連れて、部屋から出ていった。


「カレン様、大丈夫ですか?

……放課後マナーの講師が我が家に来ます。もし良ければ、一緒にレッスンを受けましょう」


マリンはカレンの側により、クォーツ公爵家で行われるマナーのレッスンへカレンを誘う。


しかし、カレンは首を横に降る。


「わたしのような平民がクォーツ家へ行くことなどできません」


マリンが迷惑ではないと伝えても、カレンはそう言い頑なに断った。





「どうすれば、カレン様にマナー講師を紹介することができるかしら?」


帰りのクォーツ家の馬車の中で、マリンはぽつりと言った。


カレンが思っていたより頑固だったことに驚いた。


ゲームのプレイ中は、色々な男に流される意思の弱い女性だと思っていたのに。


「私の紹介で、宿舎に講師を派遣することは可能だけど………私からだと萎縮してしまうかしら」


「それなら、断られないように匿名で派遣しては?断られそうなら、『ここで、カレン嬢に断られたら、雇い主の元へ帰れません。あぁ、給金が貰えず一家が路頭に迷ってしまう!!』

と、言えば流石のカレンも受けてくれると思うわ」


「そ、そう。検討してみます」


私の言葉に、マリンは若干ひきつった。


次の日、カレンの元に一流のマナー講師が派遣された。


マナー講師のお陰で、マナーが向上したカレンを面白く思わなかったリリスは、次にカレンのドレスを貶し始めた。


「そんな時代遅れのドレス……この学院に似つかわしくないわ」


マナーの講義ではドレスの着用は必須。


カレンが着ているのは母親の形見という、一世代前に流行したドレス。


「授業が始まる前に着替えていらしたら?」


その一着しか持っていないカレンは顔を赤くした。


「こんな安っぽい布……あら?さすが安い布だこと。少し触っただけで破れましたわ。」


リリスはカレンのドレスをおもいっきり破った。

公務で学院にマリンがいないため、だれもリリスを止めることができない。


「よろしければ、とてもよい仕立て屋を紹介しますよ?我が家御用達の仕立て屋で、最新のドレスを作ったらどうですの?

まぁ、庶民の一生分の収入のお金が必要になりますけど?」


ボロボロになったドレスの裾を握りしめているカレンに、リリスは醜い笑みを向けた。


「カレン様、こちらへ」


私は呆然としているカレンの手を引いて特別室(次期王妃の支度部屋兼執務室。マリンの使用許可獲得済み)に入った。


涙を流しているカレンのドレスを脱がし、クローゼットに入っているマリンのドレス(使用許可獲得済み)から、カレンに似合いそうな物を選び、カレンに着せていく。


正気に戻ったカレンが

「アンバー財務大臣令嬢に、使用人のような真似させられません」


と涙混じりの声で言うが、

そんなの関係ねぇ!


カレンが言葉を発する前に、口の中に部屋に常備されているお菓子を入れた。



転生後、自分で服を着たことがない。


しかし、前世ではそれなりに名を馳せたコスプレイヤー。


お姫様コスだって経験している。


転生者の実力なめるなよ!


私は前世の知識とアンバー家の使用人達の動きを思い浮かべながら、カレンをドレスアップして行く。


短時間での準備になったが、それなりの形になった。それもこれも、マリンのドレスと服飾品のおかげだ。


カレンは何度もお礼を私に言った。


授業後、クォーツ家に寄ってから帰ることにした。


マリンはまだ帰っていなかったが、出迎えてくれた執事長に今日あったことをマリンに伝えて欲しいとお願いをした。


執事長はとても良い笑顔で頷いてくれた。



三日後、マナーの講義前に新しいドレス(今風でカレンにとても似合う可愛らしいドレス)を来たカレンが前回のお礼を改めて言いに来た。




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