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友達視点③

マリンが13歳の誕生日を迎えた日、急に王子からマリンの王宮への出入りを禁止された。


薄々気づいていた。


王子がおかしい事に


王妃教育で忙しいマリンの都合を考えず、毎回お茶会に誘うわ、その事を侍従に言いつけるわ………


終いにわ、不敬だと言ってマリンの王宮への出入りをを禁じるわ……


こいつ頭大丈夫?と言いたくなった


マリンは王宮への出入りの禁止を言われた時、とても悲しそうな表情をした。私はこのときのマリンの表情を忘れない。


いつか、王子へ報復することを心に決めた。


王宮への出入りを禁じられた後も、マリンは王妃教育の手を抜くことはなかった。



そして、運命の学院への入学。


泣いても笑っても、ここでの生活が私とマリンの運命を決める。


気を引き締め入学式に挑む私と、いつも通り凛としているマリン。


式の会場に向かう途中、カレン・ストレンジャーと出会った。


体に合っていないブカブカの制服、栄養不足のせいか同学年の女性より小さい体、迷子になってしまったのか、不安そうにゆれる榛色の目。


「どうかしましたか?」


マリンは挙動不審のカレンに声をかけた。


「実は……」


カレンはぽつりぽつりと話し始めた。


つい最近、男爵家に引き取られたこと


入学式の会場で、他の令嬢にいじわるを言われたこと。


いじわるから逃げるために会場を出たら迷子になってしまったこと。


「それでは、私と一緒に会場に行きましょう」


肩を落としているカレンに手を差し伸べ、私達三人は会場へ向かった。


これが、私達とカレンの出会いだった。


入学式後、マリンに誘われクォーツ公爵家を訪れたら。


マリンは公爵家に戻るなり、執事長とひとつふたつ言葉を交わした。


執事長は心得たとばかりに一つ頷くと、音もなく消えていった。


毎回「忍者か?」とツッコミを入れたい衝動にかられる。

一度、クォーツ公爵に執事長の正体を聞いたが、その時見たこともない暗い笑みを浮かべた公爵に「知りたいかい?」と聞かれたため、丁重にお断りしたのは良い思い出だ。


マリンの案内でマリンの寝室へやって来た。マリンの寝室には、私が今までプレゼントした雑貨が置かれている。


「ミランダ……どうしましょう


カレン様が………


可愛すぎるのよ!?」


寝室の扉を閉めて早々、マリンはカレンについて語りだした。


うん、わかっていた。


カレンがマリンの好みど真ん中だっていうこと。


「あの小動物のようなつぶらな瞳。


あの、思わず抱き締めてしまいたくなるような小さい体


あぁ、私の手で守りたい!!」


「……マリン落ち着きましょう」


あまりの興奮ぶりに、思わず引いてしまった。


「失礼します」


マリンの興奮をどうやって沈めようか考えていると、執事長がお茶と書類を持って寝室に入ってきた。


執事長から受け取った書類に眼を通していくマリンの表情は、次第に険しくなっていく。


「ミランダ……これを読んで」


マリンから書類を受け取り、私も目を通す。


執事長が持ってきた書類は、どうやらカレンの身の上調査らしい。


その調査によると………


カレンはストレンジャー男爵の私生児であること。


もともと、ストレンジャー男爵家のメイドだったカレンの母親を、無理……

そして、生まれた子供がカレンらしい。


カレンの母親は既に亡くなっていること


男爵の息子が病死したため、跡取り確保のために仕方無しにカレンを引き取ったこと。


ストレンジャー男爵家でメイド以下……いや、奴隷同然の扱いを受けていること


その他多くのことが書かれていた。


なるほど、マリンの表情が険しくなるわけだ。


ゲームでカレン・ストレンジャーについてある程度は知っていたが、まさかこれ程までひどい扱いを受けていたとわ…………


「早急に、カレン様を男爵家から遠ざける必要がありますね」


「そうね」


マリンの言葉に頷いた。


「…………確か、今年は職員用の宿舎に空きがあったはず」


式の前に話した掃除婦の言葉を思い出した。


最初、貴族令嬢である私とマリンに恐縮していた掃除婦だったが、マリンの人心掌握術に掛かればいちころである。


マリンの闇落ちを防ぐためには、味方は多い方が良い。


「男爵家は首都の中でも端にありますから、男爵家からの通学では、十分に勉学の時間が確保できない。学院の『勉学優先』に反します。そこを突けば……


私から学院長に掛け合ってみますね。ミランダ、宿舎に空室があることを思い出してくれてありがとう」


マリンは満面の笑みで、私にお礼を言った。


マリンはすぐさま、学院長に手紙を書いた。


程なくして、カレンは職員用の宿舎に引っ越してきた。

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