第二戒『怪物の回避劇』
「よぉーし、望むところだぁぁぁあぁああぁ☆」
佐倉水玉が楽しそうに、いつもの笑顔で盾を構えてこちらに向かってくる。超人的な猛スピードだ。走ってくるだけなんだがこれにはちょっと恐怖を覚えるというのが本心だ…。これ勝てるのか?
「おい、こいつ余裕ブッこいてるぞ」
「そうね…本当にナメられてるわ。だからこそ…」
「「遠慮なく!容赦なく!!手加減な し!!!遠慮なくーーー!!!!やるぞ!」」
「なにそれー!言ってること全部ほぼ同じ意味だし、遠慮なく二回言ってるよーーー」
「「……」」
佐倉水玉が(笑)といった感じで話しかけてくる。
――…あんな変なこと言うんじゃなかった…
佐倉水玉相手でもなんか地味に恥ずかしいんだが
「…おー!照れながらも攻撃はするんだねー!!」
「うるせぇーーーーーーー!!!」
「黙りなさいッ!!!!」
「あはははははは☆」
くっ!予想はしていたがコイツ避けるの上手いな…この神に身の危険が訪れることが少なく銃器に慣れていないのもあるが…
攻撃はあまりしてこないのが逆に気になる。ここまで戦闘慣れしていそうな奴がこの程度の状況で攻撃できないはずが…いやこの程度のって自分で認めてしまった。
まあ有難いと思うしかないな。こいつが本気で襲いかかってこようものなら、この神と高萩 雅は命さえ危険に晒されるだろうからな。いや高萩雅はどうでもいいがな。
されたら困るが本気で相手にされていないと思うと少し苛立ちを覚える…
てか、そんなことより動きがなんか人間ぽくねぇのが気になるんだが!!
超人的というか怪人…もはや怪物!!!
「なによあんた、黙って真剣に考え事してると気持ち悪いんだけど?」
「な!いつも黙れと言うだろう!」
「今は考え事なんてしてないで、体を動かしなさいよ!」
「少しは頭も使わなきゃ駄目だろうが!」
「あんたに頭とか言われたくないわよ!」
…味方にいる高萩雅も水玉と同じくらい腹が立つ。だからといってここで喧嘩を続ければ勝てやしない。
「…とりあえずこいつを倒すのが最優先だ!」
「ええ、そうだったわね分かってればいいのよ」
「これを使うんだ!」
雅に銃を投げる。説明聞いてもよく分からない銃だ。
あいつによれば、これは初心者にも扱いやすい連射可能の最新の銃。生物を認識し追尾するというよく分からない機能付きだから狙いも外しにくいらしいが、果たして動きが人外の水玉にも通用するのだろうか。
高萩雅がその銃口を佐倉水玉に向ける。
「撃つしかないわよね!」
「おお、本当に遠慮無いね!」
するするとかわす。高萩雅が顔面辺りを狙って地面と平行に放った三十連弾は、佐倉水玉の体はもちろん、髪の毛一本にすら掠めずに進んでいった。いやカエルフードがあるから髪の毛を掠めるというのも可笑しな話だな。
弾丸のほとんどが地下部屋のコンクリートにめり込んだ。
佐倉水玉は一瞬で十メートルくらいの大ジャンプを見せたのだ。
なんなんだそのジャンプ力。人間の筋肉では無理だろう!?どうなってるんだ…瞬間移動を疑うくらいの速さだったぞ…。
「な、なんなのよ?人間業じゃないじゃない!何をしたらあんなふうになるのよ…」
「とりあえず次だ!」
今度のは重いから使い勝手は悪いが威力はありスピードも速い弾が出せる。これで追い付けるだろうか?
あと今さらだけど俺達…かなり危険な代物使ってないか?
「何をもたもたしてるのよ、撃ってみるしかないじゃない!」
「軽く言うなよ!?」
笑ったまま目を閉じ、両目ウインクみたいな感じの顔になった佐倉水玉が言う。
「ヨユーヨユー☆」
「くそっ」
なんと…というより言うまでもなく避けられた。今度は左右に弾丸が飛んでなかったから避ける空間は広かったのもあるだろう。
そして言うまでもなく左に十メートルくらいも移動していた。
このままだとキリがねぇ…
こうなったらとっておきの、この地下部屋の最大の仕組みを使うしかない!!この神の手で、必ず佐倉水玉を倒す!




