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境界に眠る光 ━はじまりの外の世界へ━  作者: くいたん


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第3話 ずれている距離 【挿絵あり】

「……もり?」


ルティの答えに、男たちはわずかに顔をしかめた。


聞き間違いではない。


そのままの意味で受け取るには、あまりにも曖昧すぎる言葉だった。


「森って……どこの森だ」


もう一人の男が、少しだけ警戒をにじませながら問い直す。


ルティは、その言葉を聞いて、少しだけ首をかしげた。


どこの、と言われても、うまく答えられない。


「……あっち」


挿絵(By みてみん)






そう言って、後ろを指さす。


森の方角。


それだけだった。


「……」


男たちは、視線を追う。


見えるのは、ただの森だ。


どこにでもあるような、深くも浅くもない林。


だが——


「……あそこから来たっていうのか?」


「この距離を、ひとりで?」


小さく、声を落としてやり取りする。


完全に疑っている声だった。


ルティは、その様子をじっと見ている。


何を話しているか、全部はわからない。


でも。


「……へんなの」


ぽつりと、そうつぶやいた。


「……あ?」


思わず男の一人が反応する。


「なにがだ」


ルティは、少しだけ考えてから言う。


「……かくしてる」


「……は?」


「……こわい、って」


言葉を探しながら。


でも、まっすぐに。


「……でも、だいじょうぶなのに」


その一言で。


空気が、ぴたりと止まった。


「……」


男たちの目が、わずかに細くなる。


今の言葉は、ただの子どもの勘ではない。


見抜かれた、という感覚に近かった。


「……おい」


小声で、もう一人に呼びかける。


「ちょっと妙だぞ、この子」


「……ああ」


短く返す。


視線は、ルティから外さない。


そのとき。


ルティが、ふと足元を見る。


地面。


そこに落ちていた、小さな金属片。


何かの留め具か、壊れた部品か。


光を受けて、かすかにきらめいている。


「……?」


しゃがみ込む。


何の迷いもなく、それを拾う。


「おい、触るな」


男の声が、少しだけ強くなる。


だが、ルティは止まらない。


指先で、それをなぞる。


ひんやりとした感触。


そして。


「……」


ほんの一瞬だけ。


空気が、揺れた。


わずかに。


本当に、ほんのわずかに。


「……っ?」


ルティの指先から、微かな光が滲む。


それはすぐに消える。


でも——


見ていた。


男たちは、確かに見ていた。


「……今の、見たか」


「ああ」


声が、低くなる。


完全に、警戒の色が変わる。


「……おまえ」


男の一人が、ゆっくりと距離を詰める。


今度は、はっきりとした意図を持って。


「それ、どこで拾った」


「……?」


ルティは、顔を上げる。


手の中のものを見る。


それから、男を見る。


「……おちてた」


素直に答える。


嘘はない。


「……そうじゃない」


男の声が、さらに低くなる。


「おまえだ」


一歩、近づく。


「おまえ、なにした」


「……?」


ルティは、きょとんとした顔をする。


本当に、わかっていない。


「……なにも」


そのまま、そう答える。


「……っ」


男が、わずかに舌打ちする。


そのとき。


風が、また揺れた。


今度は、さっきよりもはっきりと。


ルティの髪が、ふわりと持ち上がる。


光が、ほんの少しだけ滲む。


「……」


ルティは、その感触に気づく。


そして、ふと笑う。


「……いる」


小さく、そう言った。


「……なに?」


男が問い返す。


「……」


ルティは、空を見上げる。


誰もいない場所を。


「……みてる」


その言葉に。


男たちの背筋が、ぞくりとした。


「……おい」


もう一人が、小さくつぶやく。


「やっぱり、この子——」


言いかけた、その瞬間。


遠くで、別の音がした。


複数の足音。


規則的な、揃った動き。


「……っ」


男たちの顔色が、はっきりと変わる。


「……来たか」


低く、吐き出す。


「こんなところで接触する気はなかったが……」


「どうする」


「……連れていく」


迷いのない判断。


その言葉に。


ルティが、少しだけ首をかしげる。


「……?」


意味はわからない。


でも。


空気が、変わったのはわかる。


さっきとは違う。


やわらかくない。


「……おまえ」


男が、手を伸ばす。


「一緒に来い」


その声は、もう“頼む”ものではなかった。


「……」


ルティは、その手を見る。


そして。


ほんの少しだけ考えて。


「……いや」


はっきりと、首を振った。


その瞬間。


空気が、一気に張り詰める。


世界は、まだ静かなままなのに。


確実に、何かが動き始めていた。

★兵士の変顔が強く出過ぎた…   

    AIさん!作画頑張ってぇー。  ルティーより兵士に目が行っちゃうよ。

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