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境界に眠る光 ━はじまりの外の世界へ━  作者: くいたん


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第83話 ー最終話ー 境界の向こうへ

さらに、しばらく後。


季節は巡り、同じ場所に立つ回数が増えていく。


ザーラは気づいている。




立っている時間が、少しずつ長くなっていることを。


戻ってくるのに、少しだけ意識が要ることを。




ある日。


夕暮れ。


いつもの場所。


ザーラは、ひとりで立っている。



風はある。


光もある。


でも。


その奥に、もうひとつの静けさがある。



呼ばれているのではない。



もう、“境界と同じ側に立っている”感覚。



「……ここまで来たんだね」



自分で言う。



誰にでもなく。



そのとき、後ろから足音。


「ザーラ」


ルティ。




息を切らしている。


「探した。ミーナが、夕飯……」


言いかけて、止まる。




ザーラの輪郭が、ほんのわずかに揺らいで見える。



「……ザーラ?」



ザーラは振り返る。


ちゃんと笑う。



「……ごめんね」



その一言で、ルティは理解してしまう。


完全には言葉にできないけれど。


終わりが近いことを。



「……まだ、いけるでしょ」



一歩、近づく。


手を伸ばす。



「まだ、一緒にいられるでしょ」



ザーラは、その手を見る。



少しだけ迷って。


そして、握る。


あたたかい。


確かな温度。



「……うん」



でも。


その“うん”は、永遠の意味ではない。



「……でもね」



静かに続ける。



「ずっとこのままだと、たぶん崩れる」



境界も。


世界も。


そして、ルティも。



「……だから」



ルティの手を、そっと両手で包む。



「ここで、ちゃんと選ぶね」



三年前に選んだことの、その先。


本当の意味での「選び直し」。


ルティの目に涙が浮かぶ。


でも、泣かない。



「……私も、そこにいける?」



ザーラは、少しだけ首を振る。



「……ここは、私が行くところ」


優しく。


でも、はっきりと。



「……そっか」


ルティはうなずく。


震えながら。



「……じゃあ」


息を吸って。




「ちゃんと見てる」


逃げないで。


全部。



ザーラは、静かに笑う。



「……うん」


そして。



一歩、後ろへ下がる。


境界の内側から。


“そのもの”へ。


光が、集まる。


抵抗はない。


引き裂かれる感覚もない。


ただ。


溶けていく。




「……ザーラ!」


ルティの声。



ザーラは、最後にもう一度だけ手を伸ばす。


触れない距離。


でも。


確かに届く。




「……いっしょにいたよ」



その言葉が。


最後。



光が、静かに収束する。


風が、止む。



そして。



何もなくなる。




境界は、完全に安定する。




静かに。


完璧に。



「……」


ルティは、その場に立ち尽くす。



しばらく。



動けない。


やがて。


ゆっくりと息を吸う。



涙をぬぐう。




そして。



前を見る。


何もない場所。



でも。




「……いる」



小さく、言う。



「ちゃんと、いる」



その声に。



風が、やさしく応える。


境界は、そこにある。


そして。


ザーラもまた。


そこに在り続けている。



形を変えて。



守るものとして。



……静かに。



  ……確かに。





◆終◆


お読みいただき、ありがとうございました。

GW中の時間つぶしになれれば幸いです。

「GW中に小説を仕上げる!」と会社で宣言をして休みに突入。

世界観のスケールが自分で思ってたのより大きくなってしまった。

あと、登場人物のセリフが「……」ばっかりで、無言にも程があるだろーっ!

と突っ込みたくなりました。

登場人物の少なさについては、私のせいです。

人の名前と顔を覚えるのがすごーく苦手だからです。ごめんなさい。

ストーリー展開、世界観、登場人物はオリジナルです。

ただし、文章の作成について、AIに助けてもらってます。「ありがたやー」

「AIに助けてもらってもこの程度なのか?」

 等のご意見もあるかと存じますが、生ぬるーい目で見てやってくださいませ。


★引き続き、外伝を数話入れていきます。

AIに作ってもらうイラストも、追加予定です。(まだ作ってませんが・・・汗)

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