第43話 リオン 【挿絵 リオン】
キャラ画像入れてます。
リオン
服装はもっと軽やかなはずなんですが・・・無料の範囲でAIに作っってもらった都合上回数制限があり
お着替えが間に合いませんでしたぁ "(-""-)"
森の奥。
「……条件は」
ザーラの声は、低く抑えられていながらも、すでに迷いを切り捨てた者の響きを帯びていて、その一言の中に“選んだあとの責任”まで含まれているようだった。
「……」
男――リオンは、その声を受けて、ほんのわずかに口元をゆるめる。
試すようでもなく、見透かすようでもなく、ただ“理解した”という程度の、ごく小さな変化。
「……簡単だ」
そう言って、一歩だけ後ろへ下がる。
距離を取る。
敵意がないと示すための、しかし完全に無防備にはならない絶妙な間合い。
「……その子を連れて、この森を抜ける」
淡々とした言い方。
だが、その内容は明確で、余計な装飾が一切ないぶん、逆に逃げ道を残さない。
「……俺が道を作る」
「……」
ザーラの視線が、わずかに細くなる。
“道を作る”。
その言葉の意味を測りながら、同時に、その真偽を見極めようとするように。
「……代わりに?」
短く問う。
余計な言葉を足さず、核心だけを引き出す。
「……」
リオンは、一拍だけ間を置いてから。
「……途中で口は出す」
と、あっさり答える。
「……」
「……止まれと言ったら止まれ」
「……」
「……走れと言ったら走れ」
「……」
「……それだけだ」
簡潔。
条件としては、あまりにも単純。
だが。
「……」
信用できるかどうかは、まったく別の問題だった。
「……」
ザーラは、言葉を返さずに、ただルティの手を握り直す。
ぎゅっと。
確認するように。
「……」
ルティが、小さく見上げる。
「……ざーら?」
不安と、信頼が混ざった声。
「……」
ザーラは、視線を落とし。
それから、短く言う。
「……一緒に行く」
それだけ。
説明も、理由も付けない。
「……」
ルティは、一瞬も迷わず、こくりとうなずく。
「……うん」
それで十分だと言うように。
理由なんていらない。
ザーラがそう言うなら、それが正しい。
その信じ方が、あまりにもまっすぐで。
「……」
リオンは、そのやり取りを黙って見ている。
「……」
ほんのわずかに。
本当にわずかにだけ、表情が変わる。
何かを思ったように。
だが、それを言葉にすることはない。
「……決まりだな」
短く結論を出すと、くるりと背を向ける。
迷いのない動作。
「……ついて来い」
それだけを残して、歩き出す。
◇◇◇◇◇◇◇◇
三人は、そのまま動き出す。
先頭にリオン。
その少し後ろにザーラ。
さらにその後ろに、ルティ。
自然とその並びになる。
「……」
進み方が、さっきまでとまるで違う。
無駄がない。
迷いもない。
「……」
枝を避けるタイミング。
足を置く位置。
進む角度。
すべてが、あらかじめ決まっているかのように滑らかで。
「……」
ザーラの目が、細くなる。
「……慣れてる」
ぽつり、と漏れる声。
「……」
リオンは振り返らないまま、あっさりと答える。
「……この森はな」
「……」
「……“道”がある」
「……?」
後ろから、ルティが小さく首をかしげる。
その仕草が、ほんのわずかに場の緊張を緩める。
「……」
リオンが、ふと足を止める。
地面へ視線を落とす。
「……」
何もない。
ただの土。
どこにでもある森の地面。
「……」
だが。
ほんのわずかに、足の位置をずらす。
一歩分にも満たない、微細な移動。
「……」
その瞬間。
空気が、変わる。
「……!」
ザーラは、はっきりと感じ取る。
さっき触れた“境界”に近い、あの歪み。
「……」
リオンが、静かに言う。
「……見えないだけで、全部繋がってる」
「……」
「……あの泉と同じだ」
「……」
ザーラの中で、点が線になる。
隠れている理由。
見つかりにくい理由。
そして――
完全ではない理由。
「……」
リオンが、初めて振り返る。
まっすぐに、ルティを見る。
「……お前」
「……?」
「……さっき、やったな」
「……」
ルティが、びくっと肩を震わせる。
無意識に、スプーンを強く握りしめる。
「……」
リオンの視線が、その手元へ落ちる。
「……」
わずかに、目を細める。
「……それか」
小さく、確かめるようにつぶやく。
「……」
ザーラが、一歩前に出る。
視線を遮るように。
「……詮索は後」
低く、鋭く。
「……」
リオンは、あっさりと肩をすくめる。
「……ああ」
「……その通りだ」
それ以上は踏み込まず、再び前へ向き直る。
「……急ぐぞ」
◇◇◇◇◇◇◇◇
そのとき。
遠く。
「……」
音がする。
かすかに。
だが、確実に。
「……」
一つではない。
複数。
人の動き。
「……来たな」
リオンの声が、低く沈む。
「……」
「……思ったより早い」
「……」
ザーラの心臓が、強く脈打つ。
予想よりも早い接近。
つまり、それだけ包囲が狭まっている。
「……」
ルティの手を、握り直す。
離さないように。
「……」
リオンが、歩く速度を引き上げる。
迷いなく。
「……走れるか」
振り返らずに問う。
「……」
ザーラは、即座に答える。
「……走れる」
その声に、迷いはない。
「……」
ルティも、小さく息を吸ってから、こくりとうなずく。
「……うん」
少しだけ震えているが、それでも、ちゃんと立っている。
「……」
リオンが、わずかに口元を上げる。
「……いい返事だ」
そして。
次の瞬間。
「……走れ」
低く。
鋭く。
命令が落ちる。
三人は、同時に地を蹴る。
森の奥へ。
まだ見えない“外”へ向かって。
その先に何があるのか、誰にもわからないまま。
それでも――止まらずに。




