第97話 消費期限切れの処分品
国王秘書クーニャとルイ・ザード大隊長は、再教育棟に近い港で待機している。
小さな船が数隻、潮風を受けて帆走していた。
私服兵の集団は一般国民に扮装して港町に散っている。
行商らしき商人の中に潜り込んでいた。
この港は魔法省が存在していた港より大きく、ドメーヌ王国の3大港の1つに数えられている。
国立美術館近くにある“港が見える公園”の先には、魔法省が存在していたが今は無い。
ドメーヌ城、公園、魔法省とは真逆な位置にある此の港は、商業港になっている。
穏やかな港に商業船舶が往来していた。
白いカモメが運搬船の船首の上空で旋回して白い翼が陽射しで光っている。
クーニャは手作りのサンドイッチを頬張りながら港のさざ波を眺めていた。
時より吹く浦風がクーニャの紫色のポニーテールを悪戯している。
「隊長、何も無ければ観光気分にどっぷり浸かりたいわ」
「クーニャ、今回の件が終われば、それもいいかと思うよ」
ルイ・ザード大隊長には自分の言葉が空虚に消えるシャボン玉の泡に思えた。
「隊長、メリウスから何か連絡がありましたか」
「それが、今のところ」
ザードが言った瞬間、目の前の空間がキラキラと光り輝やく。
淡い緑色の靄が広がり2人の前に広がり、妖精フェリカが現れた。
フェリカはドメーヌ城地下の取り調べ経過を伝えた刹那、消える。
クーニャとザードは顔を見合わせ苦笑いを浮かべた。
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メリウスはフェリカから再教育棟任務のクーニャたちの報告を受けて微笑む。
「フェリカ、その港、興味深いね」
「メリウスさん、そうなんですか」
「フェリカなら何処に隠れる」
「メリウスさん、逃げ易い場所じゃないですか」
「フェリカ、再教育棟はトラップでしょう」
「じゃあ、この港ですか」
「フェリカ、この辺りに観光省の出先機関ありませんか」
「メリウスさん、其処が臭いと言う意味ですね」
「その前に、尋問室の男をね」
フェリカはメリウスに了解して分身して消える。
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ドメーヌ城尋問室の男は、メリウスの強制覚醒魔法で目覚める。
泥酔に近い状態で徐々に覚醒して重い頭に手を置いた。
しばらくして、起きている現実に気付く男。
魔法通信は没収されている。
男に残された活路は自白だけだった。
フェリカの分身の1人がメリウスの隣に現れる。
「メリウスさん、自白魔法ですね」
フェリカは男に聞こえるように大声で言った。
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赤いターンチェックの女子高生は男を見て微笑んで言った。
「あなたが言うことを聞くなら命は大丈夫よ」
「ええええ」
「オプションで串焼きを付けるわ」
「本当ですか」
「私は嘘は言わないわ」
男はフェリカの言葉を信じて頷く。
男は洗いざらい喋って深呼吸をした。
フェリカは約束の串焼きを男に渡す。
「フェリカ、それは」
「はい、消費期限切れの処分品です」
フェリカの声を聞いた男は呻き声を上げた。
「ああ、そんな」
「私の串焼きは串焼きよ。新鮮とは言って無いわ」
メリウスはフェリカの屁理屈に辟易しながら笑いを我慢できなくなった。
「妖精を敵にしたくないね。フェリカ」
第97話 消費期限切れの処分品
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エピソード
予告
第98話 魔法検査
第99話 地下迷路
「魔法使いと王女の時空飛行〜女子高生メリウスと王女ルシア
〜大魔法で異世界を駆け抜ける〜」
次話が準備出来次第、
順次公開しています。
三日月未来
(みかづきみらい)




