第94話 アドバイスは護身魔法
社交部本部の廊下を黒髪の制服女子高生が更衣室に向かって足早に移動している。
息を切らしながら部屋の扉を開け、中の長椅子に倒れ掛かり留まった。
女子高生は息を整え、紺碧色のスカートスーツに着替えた。
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ドメーヌ城では、髪と瞳と同じ色のドレスやスーツが公式で認められている。
メイド服の黒は特殊なランクに指定されていた。
その黒色と被る色も禁止されている。
女子高生が黒髪でも黒色を選ぶことが出来ない。
女子高生に残された選択肢は、黒以外の色に限られている。
ルニャは紺碧色のスーツを選んだ。
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第2王女ルシアの部屋に通じる地下廊下を経由して部屋の前に辿り着き深呼吸を3回する。
上げた左手の拳を持ち上げた時、扉が開いた。
「あら、ルニャ、どうしたの」
「セーラさま、ノックをしようと」
「なんか固まっているわよ」
「ええええ、そんな」
「まあ、いいわ。ルシアさまは遅れると魔法連絡があったわ」
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王女ルシアが、ルニャの背後からルニャの肩に両手を置いた。
「ルニャ、早いわね」
ルニャは振り返り、ルシアにぶつかりそうになって倒れ掛かる。
ルシアの秘書セーラの機転でギリギリ踏ん張れた。
「ルニャ、驚かせてごめんね」
「いいえ、王女さま、私ごときが」
「ルニャ、私はそういう考えが大嫌いなの知ってる」
「いいえ」
「私は、みんなと楽しめる世の中にしたいだけなのよ」
「はい、ルシアさま」
「だからね、普通でいいのよ。頑固なルニャが素敵なんだから」
ルニャは王女に言われても条件反射が拒絶していた。
そんな簡単なことでないことを傍にいたセーラが理解している。
「お帰りなさいませ、ルシアさま」
セーラの言葉に連れられてルニャも真似した。
「こら!ルニャ、あなたは未だ秘書見習いよ。セーラの真似しなくていいわ」
ルニャは思った。
セーラの真似はダメ。
じゃあ、どうすればいいのか。
セーラがルニャに言った。
「あなた、今日、時間ある」
「はい」
「じゃあ、お姉さんの私に付いて来て」
ルシアはセーラの機転を見てほっとする。
「セーラ、ルニャをよろしくね」
「ルシアさま、お任せくださいませ」
ルシアは部屋の中に消え、セーラとルニャは社交本部に通じる地下廊下に向かった。
ドメーヌ城の中庭に舞い上がる埃に夕陽が反射してキラキラしている。
砂金じゃないのにとルニャは思った。
数日前まで縁の無かった廊下を王女さまの秘書と歩いている自分に違和感を覚えるルニャだった。
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ルシアの秘書セーラは移動中にルニャの教育を後押しする。
「今までと違って、これからのあなたの活動範囲は広がり危険もあるわ」
「はい、セーラさま」
「だから、今、優先すべきことは、護身魔法よ」
「そうよ、護身魔法が出来れば、習得が格段に上がるわ」
「はい」
「そして、治癒魔法ね」
ルニャの頭の中では護身魔法と治癒魔法が混ざり合ったまま混乱していた。
第94話 アドバイスは護身魔法
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次話エピソードは、
「第95話 緑色の風」
「魔法使いと王女の時空飛行〜女子高生メリウスと王女ルシア
〜大魔法で異世界を駆け抜ける〜」
次話が準備出来次第、
順次公開しています。
三日月未来
(みかづきみらい)




