第88話 馬鹿正直で頑固がいいわ
ルイ・ザード大隊長、国王秘書クーニャは非常棟地下の黄金ルームでルーク・ドメーヌ国王陛下に事務連絡を入れた。
「ザード、ご苦労だった」
「陛下、まだ未完了なこともあるので」
「じゃあ、ザード、終えたらスペードに報告をーー 」
「分かりました」
ザードは、陛下に頭を下げたあと、後退りしながら向きを変え出て行く。
出入り口の私服兵を労った。
国王秘書クーニャは任務を報告した後、同僚のターニャとサーニャと一緒に残ることになった。
ランティス王子とティラミス王子は黄金ルームでメリウスの最終報告を待っている。
ルシアは姉のコットンと合流して黄金ルームの別室に一時滞在になった。
メリウスとフェリカは任務を継続している。
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「フェリカ、魔法省の最終確認をお願いできる」
「メリウスさん、直ぐにしましょう」
フェリカは時空間の透視スキルを発動させた。
フェリカの報告はメリウスの耳を疑うものだった。
「メリウスさん、あれは空箱と同じです」
「やはり、情報がダダ漏れだったようだわね」
「魔法省に残された書類に痕跡が期待できそうです」
メリウスは痕跡魔法で時間を遡ることにした。
メリウスの視界にドメーヌ城に隣接するカフェの男女が見えている。
メリウスは意識をフェリカと共有した。
「メリウス、この男女はまだカフェにいますが」
「フェリカ、この男女以外には」
「この男女は小物です」
「大物は何処に」
「おそらく魔法フィルターを通過した可能性」
「じゃあ、再教育棟になるのフェリカ」
「はい、そうなりそうです」
「じゃあ、再教育棟に特殊チームを派遣しよう」
メリウスは、クーニャとザードに緊急連絡を入れた。
「ーー と言うわけでです」
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ドメーヌ国王はメリウスの報告を受けて落胆を隠せない。
黄金ルームの応接室を右往左往している。
日本からの土産の金色のお気に入りの金属製扇子を開いたり閉じたり忙しい。
国王秘書のターニャもサーニャも国王を見護るだけだった。
「スペード、メリウスとフェリカを此処に呼んでくれないか」
「陛下、ただちに」
スペードは隣室の控室でメリウスに連絡を入れ事情を伝えた。
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社交本部の若い受付嬢は、ルシア第2王女の訪問を再び受けて驚きを隠せないでいた。
「ーー そう言う訳で、あなたに秘書教育を受けて欲しいのよ」
「私にですか。王女さま」
「あなたによ。あなたが相応しいの。私の直感よ」
受け付け嬢はルシアの言葉を受け入れ乍ら戸惑っている表情を浮かべる。
ルシアは、緑色の髪と瞳の秘書セーラを引き連れて訪れていた。
「セーラ、どう思う。私は賛成です」
「理由は」
「馬鹿正直で頑固なところ」
「やはり、それが一番大事な部分ね」
「優柔不断な人間なら信用できないわ」
ルシアたちの会話を聞いていた受け付け嬢の頰っぺたが膨らんで蛸のように赤い。
ルシアが尋ねた。
「あなたのお名前は」
「ルニャです」
「ルニャねーー ルで始まるお名前の人に悪い人はいないわ」
秘書セーラはルシアの自画自賛に苦笑している。
「セーラ、何がおかしいのよ」
「いいえ、ルシアさまの嬉しそうな笑顔に連れられて」
「まあいいわ、セーラ。ルニャの事務手続きをお願いね」
「かしこまりました。ルシア王女さま」
ルニャは秘書セーラに連れられて、社交本部2階に消えた。
⬜︎⬜︎⬜︎
ルシアは本部の窓を開けて呟く。
「まあいいかーー 秘書ルニャ、いい響きだわ」
城の白樺林の枝葉が陽射しにキラキラと輝いていた。
ルシア王女の水色の髪と瞳も艶やかな光沢を放っている。
窓から吹き込むそよ風がルシアの頬を優しく撫で応援している。
王女は目に見えない力に支えられていた。
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⬜︎あとがき⬜︎
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この小説
「魔法使いと王女の時空飛行〜女子高生メリウスと王女ルシア
〜大魔法で異世界を駆け抜ける〜」
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最新話を順次公開しています。
三日月未来
(みかづきみらい)




