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EDEN's Order(エデンズオーダー)  作者: 後出 書
ディアブロ・カルテル 篇
126/197

訊問②

「あっ、あのっ、そういえばなんですが……」


 沈黙を破るようにアシュリーは未だ着席せず立ったまま話を切り出した。


「今回の議題はマルグリットの処分についてだったと思うのですが、そっちはもう解決したのでしょうか?」


 アシュリーの質問に隊長代理のパトリックが答える。


「今現在エデンのマフィア風情に捕らえられているらしいが、度重なる規律違反に加えて聖職者としてあるまじき凶行に走った者を助ける理由がない。よって満場一致でヤツは除隊。そのまま捨て置くことに決まった。だが、本物の君の意見も改めて聞いておこう。この決定に異議はあるかな?」


「異議あり!!」


 誰よりも早く異議をクソデカい声で唱えた者が一人。第一席に座っているミリアだった。先程までうたた寝しそうだったとは思えないほどの起伏の激しさに周りの者たちは皆ビクッと身体を強張らせる。


「ミ、ミリア様。今はアシュリーの発言をですね……」


「カタイこと言うなよパト坊。たぶんアシュリーも同じことを思ってるだろうからね」


 ミリアはそう言うと席を立ち、皆を見渡して続けた。


「今回のマルグリットの件、これはどう考えてもうちの不始末に他ならない。例え相手がヤクザもんだろうが他人様の命を奪っておいてトカゲの尻尾切りみたいなみっともない真似をするなんざ筋が通らない。ならばどうするか。こうなった以上、アスガルド聖教最高責任者である私が直々に詫びを入れに行くのが筋ってモンだ。違うかい?」


 まさかの提案に一同は騒然。

 滅多に本部から出ない女教皇自らエデンへ。

 しかも反社会的勢力であるマフィア風情に直々に謝罪に行くと言うのだ。聖教始まって以来の前代未聞の出来事である。当然、隊長代理のパトリックはこれに対し立ち上がって進言した。


「もっ、申し上げますミリア様! いくらなんでもそこまでされる必要などありません! それに万一御身に何かあればそれこそ一大事。わざわざ女教皇自ら出向くなど——」


 パトリックの諫言に割り込むようにミリアは続けた。


「そんなに心配なら護衛としてお前も着いてきな。それなら問題ないだろ。それにエデンにゃついでの用もある。久々にミレーヌの墓参りもしたいし、聖教史上最大の問題児のツラも見たいしね」


 史上最大の問題児。その言葉を聞いてパトリックの表情が僅かに怒りを滲ませた。


「……デュラン・フローズヴィトニル。ヤツの事なんざ思い出したくも無かったですよ」


「ともかくだ。悪いのは明らかにコッチなんだから相手のマフィア連中に詫びに行くぞ。同行者はパトリックのみ。残りは留守番な」


 それを聞いたアシュリーは慌ててミリアに進言する。


「あっ、あのっ! もしデュランに会いに……いえ、セントライミ教会へ行かれるのであれば是非私もご一緒させてください」


「アンタはダーメ。今回ハイネの件で任務を失敗してるからね。そのペナルティで一回休みだ。それに前回行ったばかりだろう? 今回は本部で大人しくしてな」


 アシュリーは肩を落とすと、それ以上何も言わなかった。


「というわけで私は週末にアルメニアへと発つから、護衛のパト坊以外の皆は留守の間ここを頼んだよ。またレーヴァテインの奴らが強襲を仕掛けて来ないとも限らないからね。パトリック不在の間の指揮権はユーゴに預けるから、いざとなったら私の許可なく出陣して良いよ。但し、その場合は市民の避難を優先してからに限るから、いいね?」


「仰せのままに」


 タブレットからユーゴの返事が聞こえた。


「それと、私が不在の際にもしもミカエラの容体に何か変化があったらすぐ知らせるんだよ。話は以上だ。各々解散!」


 女教皇ミリアの合図と同時に獅子の間での会議は一先ず幕を下ろしたのだった。

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