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第一章 明けぬ夜 4

「初戦は勝ちっすね」


「ああ。幸先がいい」


 精悍さのある端正な面を綻ばせるブレイズの言葉に頷きつつ、艶美な美貌を笑ませウィスキーが注がれたグラスをエレノアは傾けた。


 エレノアを挟んだ左隣――ブレイズと反対側に座る爽やかに整っているが目元に暗鬱さのあるモリスが、やや高めのどこかわざとらしさのある声にホッとしたものを滲ませる。


「ま、小競り合いで済んでくれてよかった。敵が前哨戦の不利になし崩し的に戦力を投入してきたりしたら、そのまま総力戦。決戦に雪崩れ込んでた可能性だってあった」


「確かに。敵味方双方、一億近い。あのまま数日戦闘が続くなんて、御免被りたい。敵が馬鹿じゃなくて、助かったな」


「そうですね。第二エクエス・ハールの相手を部下にさせた後、決戦に突入する事態にならずにすんで助かりました。被害がそれなりに出ていましたから、戦力の立て直しが必要でした」


 モリスの左隣に座る女性のような中性的で静謐な面に人の悪い笑みを刻み零がグラスを目の高さに掲げながら同意し、その更に左隣に座るキリッとした精緻に整った美貌に微笑を浮かべヘザーが頷いた。


 零達が居る場所は、デゥポン兵団群旗艦ポトホリ内のバー。零、モリス、エレノア、ブレイズ、ヘザーの五人がカウンターに座り、モリスが誘ったくすみのある金髪をサイドテールにしたサブリナと金髪をローポニーテールにしたヴァレリー、各キャバリアーの零を除いた契約ファントム、ふんわりとした金髪をショートカットにしたモリスの契約ファントム・少女姿のレーラ、銀髪をミディアムにしたエレノアの契約ファントム・少女姿のカーライト、長い黒髪のブレイズの契約ファントム・乙女姿のマーキュリー、栗毛をロングにしたヘザーの契約ファントム・乙女姿のフェイト、茶色い長い髪をしたサブリナの契約ファントム・乙女姿のキュベレ、亜麻色の髪をボブカットにしたヴァレリーの契約ファントム・エルフ姿のエインセルがカウンター近くのソファー掛けのテーブルに座っている。


 一呼吸置き、ヘザーが淑やかな声で続ける。


「ですがこの状況。女帝軍は、前後に敵を抱える状況となりました。数の上では女帝軍とほぼ同数のミラト王国軍に前皇帝派貴族軍が加わり敵の数が勝ります」


「ふむ。僕達は不利な状況にあるということだね」


 ヘザーの言葉をモリスは一考し、零が現状取り得る策で無難と思えるものを口にする。


「公星リールの抑えを置いて、数敵には少々不利になるが二正面作戦を避け先にミラト王国軍を叩くべきだな」


「女帝陛下もそのつもりだろう。女帝軍に数は組み入れても、公星リールを抑えていた兵団群はそのままの配置でオルデン・エクエスの上級軍団群百軍団十万を残している」


 零の後を受けたモリスに、エレノアは艶のあるメゾソプラノを思慮深げに響かせる。


「短期間の抑えとしては、十分か。ミラト王国軍と本格的な戦となれば、公星リールの前皇帝派貴族共も動くだろうからな」


「その間にミラト王国軍を俺達が叩けば、この内乱の半分が片付く。残りの前皇帝派貴族軍は、数は多いが戦力の質で劣る。女帝軍としては、残党狩り程度の相手っすね」


 左掌に右拳をパチンと当て低めだがよく通る声をブレイズ勇ましげにし、零は独特の抑揚のある声をやや億劫そうにし手元のグラスを弄ぶ。


「取り敢えず、今は目の前のミラト王国軍か。前回はそのつもりで、敵の策を見落としてしまった。ミラト王国軍相手に集結した戦力は、遙か遠方にあったトルキア帝国軍を相手取ることになった」


「そうだな。だが、今回は見落としはあるまい。残る敵は、彼方のアルノー大公国領にある。トルキア帝国軍と同じ手を使わぬ限り、この戦場に現れることはない」


 艶美な美貌を達観させるエレノアを、モリスが捕捉する。


「トルキア帝国戦後、各恒星系内移動リングゲートの職員は全員背後関係の取り調べを受けた。同じ手は恐らく使えないだろう」


「そう願おう。目の前の敵に集中したいからな」


 これから待ち受ける大戦に、零は頷いた。

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