(22) 怪しい建物
第22話です!
- 歴史館
「見回りは日に3回してるはずだったな。次来るのは夕方の見回りか。」
「ここに何時に来るかはわからないけど、たぶん17時くらいに見回りかな。あと2時間あるかないかって感じか。」
「そうだな。急ごう。」
この建物は3階建てになっているようで、だいぶ広い。そのため、それぞれが別の階を見てまわることにした。俺が見るのは1階部分だ。
1階部分は下の階というのもあって、あまり光が入ってきていない。一応持ってきていた懐中電灯を片手にざっと見てまわる。ほとんどが長い間動かされていないようで、展示物のほとんどがうっすらとほこりを被っている。
(…あまりほこりを被っていない本棚がある。誰かが最近使ったのか?)
唯一ほこりを被っていなさそうな本棚に近づき、そこにある本を手に取る。……歴代の卒業アルバムのようだ。
パラパラと開くと何年か前の卒業生の顔写真が並んでいる。気になるのは数人の顔に丸がつけられている点だ。
(これは……行方不明になった人か?一応写真取っとくか。)
パシャパシャ……トントン
「おい」
「うわぁ!びっくりした!東雲か!どうした?」
「驚かせたか、悪い。2階はジオラマとか写真が飾ってあったが、変わった点はなかった。とりあえず写真は取っといたが。」
「そうなのか!ありがとう。」
「藤岡は何か見つけたか?」
「これ見てくれ。」
「卒業アルバムか?……なぜか丸がつけられてるな。」
「そうなんだよ。」
2人で数冊の卒業アルバムをめくる。そのどれにも丸がつけられている人が何人か存在している。手分けして写真に撮っていると、香もやってきた。
「いたいた!探したよー!」
「どうかした?」
「3階はもう何も置かれてなかったから、1階にすぐ戻ったの。そしたら気になるもの発見してさ。」
「気になるもの?」
「とにかくこっちきてー!」
とりあえず大方の写真は撮り終わっていたため、香についていくことにした。香は入口から見て右側の方へと歩いていく。
俺は1階の左側で卒業アルバムを早々に見つけていたため、まだ探索していないエリアの方だ。
そして香はある扉の前で止まった。
「ここ!他の部屋は全部鍵がついてないのに、ここだけついてるんだよね。」
「これは……入り口の鍵とは違いそうだな。」
「うん。普通の鍵の形してる。」
「こここそピッキングの出番じゃないか?」
「……やっぱり?」
香がヘアピンを使って、ピッキングを始める。10分ほど鍵穴と格闘していたかと思うと、ドアノブに手をかけた。
「よし!開いたよ!」
「ナイス!」
「何があるんだろうな。」
3人で部屋の中へと入る。一応部屋の前には事務室とプレートがかかっていたので、何か重要な書類があるかもしれない。
中へ入ると部屋の外とは違い、清掃が行き届いているようだった。定期的にここを訪れる人物がいるのかもしれない。
「わぁなんか綺麗だねー!久しぶりに綺麗な空気吸ったよ!」
「ここだけ妙に綺麗で気持ち悪くもあるがな。」
「俺も東雲の意見に同意だな。」
「まぁ確かにね。何で展示とかの方が汚くて裏方が綺麗なんだろとは思うけど。大方、出入りしてるのがバレないためとかなんだろうけどさ。」
「たぶんそうだろうな。じゃあとりあえず見てみるか。」
それぞれ近場にある棚へと目を向けた。
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「あんまりおかしなものはないねー。」
「だな。なにかあるかと思ったんだけど……。」
「なぁこの棚、なにかあるかもしれない。」
「「どれ?」」
東雲が見ていた棚に何かあったようだ。俺と香はそちらへと近づいた。
「これ普通の本棚に見えるが、少しモーター音がするんだ。」
「モーター音?」
「あぁ一旦聞いてみてくれ。」
ウィーンウィーン
皆で黙って音を聞いてみると、確かに機械音のようなものが棚から聞こえてくる。
「聞こえる!」
「だろ?よく聞く音だから気になって。」
「さっすがそーくん!」
「これってよくある隠し扉か?」
「たぶんな。」
「だいたいは本を決まった通りに動かすと開くよねー。」
隠し扉であることはわかったが、どうやって開ければいいかが見当がつかない。
「あっ!」
「どうした?」
「この本が置いてある部分だけちょっと傷ついてる!」
「……本当だ。よく気づいたな。」
香が示した場所には確かにわずかな傷がついている。しかし言われないと気づかないレベルだ。そこの傷に合わせるように動かすと、音を立てて扉が開いた。
「開いた……!」
「中へ行こう。」
「ってこれは!」
中へ入ると目に入ってくるのは、一面に広がるモニターだ。映っているのは学園内の映像だ。
「監視カメラのモニタールームってここにあったのか。」
「でも変じゃない?だいたいこういうのって警備室とかにあると思うんだけど……。」
「そうだな。だからあの大量の監視カメラは警備用じゃないのかもしれない。」
「それよりどうする?時間ないぞ?」
「じゃあ隠しカメラ置いとこう。」
「え?そんなのまて持ってきてたのか?」
「そーくんのカバンには色んなものが入ってるんだよー!」
「備えあれば憂いなしってな。」
そろそろ見回りの時間ということもあって、見つかりづらい場所へとカメラを仕掛け、帰ることにした。
「入口は鍵があるとして、ここの鍵どうする?」
「開けとくしかないだろ。鍵かけ忘れたってことになるんじゃないか?」
「こーくん楽観的ー笑」
「とりあえずこの建物やら裏門やらを映してる監視カメラの映像は、擬装しといたから藤岡の考え通りになるのを願うしかないな。」
「そーくん仕事はやー!じゃあ早く出よ!」
俺たちは歴史館からすばやく出た。
「他の場所の監視カメラはどうする?」
「もう堂々と映りつつ、校舎とかに忘れ物を取りにきたことにしよ!」
「それでも怒られるのは変わりないがな笑」
「あぁ隠密で行こう。」
3人でしばらく学園内を歩き、もうすぐ寮が見えるだろうというときにいきなり目の前の香が消えた。
……どうやら誰かが香を庭園らしきところに引き込んだようだ。俺と東雲も急いで中へと入る。ここは……前に来たことのある薔薇が数多く咲いている庭園だ。
「「香!」」
「しー。」
香を引き込んだのは花房先輩みたいだった。思わず香のことを呼んだが、花房先輩は静かにするように合図している。
しばらくすると庭園の脇を誰かが通った気配がした。
(警備員が巡回していたのか!気づかなかった……危ない。)
「花房様!助かりました!」
「誰かが発見されたら、僕も見つかるかもしれないしね。」
「先輩は何をしてたんですか?」
「ん?息抜き。自然を感じたくて。」
「へぇー」
(やっぱり生徒会の仕事って疲れるのかな。)
「それよりも君たち侵入するならもっと周り見た方がいいよ。」
「ごもっともです……。」
「花房先輩、観察眼があるんですね。」
「いや巡回ルートを把握してるだけ。蒼也がいながらにそこに気づかないの珍しいね。」
「今日はイレギュラーでしたので……。」
「ふーん。まぁいいや!もう警備員いないと思うし、寮へ戻りなー。この庭園の来た方に行くと、フェンスなしで戻れるとこあるよ。」
「「「ありがとうございます!」」」
花房先輩のおかけで見回りに見つかることなく、寮へと戻ってこれた。まだ響の行方はわかっていないため、また歴史館へ調査に向かうことにした。隠しカメラを回収しなきゃいけないしな。
卒業アルバムの丸印については、SNSなどで現在の安否が確認取れるかそれぞれで調査することにした。
そしてなぜか歴史館の鍵を持っていた東金先輩に近いうちに、ローリエの集で話を聞く方向に決めた。
「じゃあいっぱい調べることできたね笑」
「そうだな…。今度東金先輩にガラス庭園へ来てもらうよ!」
「俺は監視カメラのハッキングについてもう少し技術を磨くよ。」
「それぞれでやれることやろうか!それじゃまたねー!」
「「またなー」」
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色々と調べたいことができた1日だった。とりあえず卒業アルバムの印の写真を見ようとスマホを開く。すると1件のメッセージが来ていた。野口からだ、
『みんなで海行かねー?』
謎解きも重要だが青春も重要かもしれない。




