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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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魔法の適性

いよいよ魔法が本格的に出てきましたね。やっとです。

しかしセラはまだ異世界に転生した事にも気がついていません。

いつ気付くのでしょうか。

「…なくなっちゃった…」


 紅茶を飲み終え、僕は絶望に打ちひしがれていた。


 美味しいものは何故、飲み込んだら無くなるのか。


 それはこの世の摂理にして、誰しもが一度はぶち当たるこの世の理であろう。


「ふふっ。美味しかったね」


 清々しい顔しやがって…


「ああ美味しかった」で済むほど、ウィルは普段から美味しいものを食べているに違いない。


 僕なんか毎日うすーい味付けのスープにパン、ドレッシングの付いていないサラダ、ちょっぴり肉の入った野菜炒めと、季節によって少しフルーツがつく程度だ。


 この世は理不尽である。


「…こうちゃ、なくなっちゃったの。ウィルはもっと、かなしむべき」

「ええっと…そう、だね??もっと飲みたいなぁとは僕も思うよ…」


 あははと苦笑いをしているのは、別に大してそう思ってない証拠だろう。おのれ金持ちめ。


 こうなったら是が非でも水を操る装置で遊ばせてもらわなければいけない。


「セラにもまほう、やらせて」

「えっ!?今やってみせたやつ?あれは無理だと思うよ」


 今やってみせたやつ…どれのことだ??


 別に美味しい紅茶にする方法はいらないけど、水を動かすやつはやってみたい。色んな形にしてたし、あんなの絶対面白いに決まっている。


「おみず、うごいてた!」

「ああ、さっき見せたやつか。でもねセラ、魔法はとっても難しいんだ。セラはどうやって魔法を使うか、聞いたことはあるかい?」


 どうやって使うかなんて、そんなの決まっている。手品はタネも仕掛けもあるものだ。なんか色々準備して、なにかを色々やって、みんなをビックリさせる芸を披露するのだ。


 でも僕は記憶が無い程でここにいるし…ウィルは何を聞きたいんだろう。


 …あっ、そういえば…ジンムカ様が魔法の話をしてた時に、塔で修行しなきゃいけないとかなんとか言ってたな?


「…とうってところで、しゅぎょーする??」

「よく知ってるね。実際には塔で修行しなくてもいいんだけど、魔法を習いたい人は使いたい魔法の色の塔に弟子入りするのが1番手っ取り早い方法だね」


 塔で修行しなくていいなら、ここで教えてくれればいいのだ。


 どうせ水を操る装置を隠し持ってるんでしょ??早く貸して!!


「セラもまほう!やりたい!」

「魔法はすっごく練習しないと使えないんだよ。やりたいと思ってすぐ出来るほど簡単じゃないんだ」


 コントローラーの操作が難しいとかかな?でも今まで散々ゲームをやってきたゲーマーの僕を舐めてもらっては困る。


 格ゲーは苦手だったがそれなりには戦えるし、FPSもそれなりに得意だった。ラジコンも好きだったし、僕のコントローラー捌きはそれなりのものだと自負している。


 そんな早く遊びたい気持ちでウズウズしている僕に、ウィルは残酷な一言を放った。


「それに…セラの目と髪色を見る限り、青系統の…水の魔法は、相当難しいと思うんだ。こんなこと言ってごめんね」


 ウィルが物凄く申し訳なさそうにしているけれど…意味がわからない。


 目と、髪の色??それと手品になんの関係があるんだ??客から見えないように髪の中にコントローラーを隠す…とか??


 …僕は遊べればいいから、上手な隠し方とか別にどうでもいいんだけど???



 ポカーンとする僕にウィルが魔法について説明をしてくれる。



 魔法にはそれぞれ、水は青、火は赤みたいに色があり、魔法を使う時は自分の持っている魔力の色を、使いたい魔法の色に変化させなければいけないらしい。


 人は生まれながらに魔力を持っていて、自分が無意識に作り出す魔力の色によって、目の色や髪の色が決まるのだという。


 水色の髪に青い目をしているウィルは元々持っている魔力が青にとても近く、いとも容易く水の魔法を使えるらしい。


 その反面、元々の魔力が青に近いせいで他の系統の色に変化させるのがとても難しく、なかなか上手くいかないのだそうだ。


 ………


 その理屈で行くと、僕の適性はなんの魔法なんだ??


 いやその、実際に魔力があるとかないとか云々は一旦置いておいて…僕の髪色は黒、というか…黒っぽい紫というか…とにかく、黒っぽい色だ。


 火が赤、水が青、土は黄、風は緑。


 えーっと…他に何があったんだっけ??


「セラのいろは、なんのまほう??」

「セラは…」


 ウィルは難しい顔をしたまま、少し黙ってしまう。


 まさかどの適性もないとか…言わないよね…


 黙っていられると不安になってしまう。

 別に魔法の適性が〜なんて与太話を信じる訳では無いが、嘘でもなんでも「魔法の適性がありますよ!」と言われた方が嬉しい。


 逆に、魔法なんて実際には無いと分かってはいても、改めて「あなたに魔法の才能は無いですね」なんて言われると悲しくなるのだ。


 人間とは単純な生き物なのである。


「…紫、かな。闇系の魔法だね。影を動かしたりできるよ」


 …闇系。


 なんだか悪そうなイメージだが、そういえばジンムカ様も闇の魔法は影が踊るとか言っていたな。


 僕には影を操り、影に潜む…シャドウウォーカーとしての才能があったのだ!!


「かげ!!おどったりする!!」


 部屋の照明に照らされてぼんやりでている影を見ながら、ゆらゆら動いてみせる。


 僕が踊ると影も踊る。


 闇の魔法は影絵とか…いや、水の魔法があんなに凄かったんだから、プロジェクションマッピングとか、僕が想像しているより凄いものなのかもしれない。


「そうだね。影を踊らせたり、黒いモヤモヤを出して周りを暗くしたりもできるみたいだね。…だからセラには、水の魔法は難しいんだ」


 …その低いテンションはなんだ。なんか神妙な顔をしながら一生懸命に考えていたから、戯言に付き合ってあげたのに。僕が嘘を信じ込んでいるおバカさんみたいじゃないか。


「むー…」


 ウィルはどうしても僕に水魔法、もとい手品をやらせたくないらしい。


 そんなにタネを見せるのが嫌なのか??僕はここに監禁されてるんだから、他の人に漏れる心配はないよ??


「ないしょ、おやくそくするから。おしえて??」

「でも…セラは適性が…」

「ウィル、むずかしいっていったけど、できないっていってない」

「え?」

「てきせい、ちがったらできないの??」

「いや、できなくは…ない、よ。…うん。すごく努力すれば、必ずできるようになる」


 何かを思い出すように言葉を詰まらせながら、最後には強く頷くウィル。


 そりゃあそうだ。手品も最初はタネが全然隠れてなくてバレバレだったりするけれど、練習に練習を重ねることでどこからどう見てもタネがわからない、まるで魔法のような手品になるのだ。


 ウィルだって適性があるとかどうとか言っているけど、自分も最初は下手っぴだったに違いない。


「セラもがんばるよ?ね?おねがい」

「………」


 目を伏せて何かを考えているウィルは少し悲しげで、なんでそんな顔をしているのかわからない。


 僕は手品を教えて欲しいだけなのに…そんな顔をされていては、無理やり装置を盗ってしまうのもはばかられる。


 …いい加減観念して、教えてくれないかな。


「…わかった、わかったよ。そんなにほっぺを膨らませてると、お顔がまん丸になっちゃうよ?」


 こっちだって好きでほっぺたを膨らませているわけではない。全く…一体誰のせいだと思っているのか。


 だが、ようやく観念したらしい。


 こっちにおいでと手招きされるのに従いウィルの前に立つと、身体ごと横を向かされる。


「さいしょは!?おみず、だす!?うごかす!?」

「違うよ。魔法を使うには、色を合わせないといけないって言ったでしょ?だからまずは、自分の魔力をその色に、今回は青色に合わせる練習からしなくっちゃ」


 ???


 苦笑いするウィルは、まだ魔力の色を合わせるとか言っている。


 水を操る装置は??コントローラーとか…操作しなくていいの??


「おみず、つかわないの??」

「最初は使わないね。色を合わせる…前に、自分の魔力を感じ取れるようにならなきゃいけないんだ」


 ウィルが僕のみぞおちの辺りを強めに撫でる。


 お腹の…上??


 もしや気を練る練習とかみたいに、ありもしないものを感じ取れとか言いながら有耶無耶にして誤魔化すつもりか!?


「まずはここに少し僕の魔力を流し込むから、気持ち悪くなったらすぐに教えてね。決して無理はしないように。いいね」

「う、うん…」


 魔法を使いたいと言ったのは僕だが、なんかへんな宗教の儀式に巻き込まれてしまったような、変な緊張感がある。


 水を動かして遊びたかっただけなのに…


 困惑しながらそんなことを考えていると、突然、ウィルの手が添えられているところを中心に、何かがぐにゅりと入り込んでくるような、押し込まれて歪むような、奇妙で気持ち悪い感覚が襲ってきた。


「うっ!?」

「セラ!?だ、大丈夫!?」


 ………


 今、何をされた??


 今まで感じたことの無い歪な感覚に思わず後退り、みぞおちの辺りを抱える。


 まだジワジワと残る歪な感覚が気持ち悪い。


 これは…なに??


「ごめん…かなり加減したつもりだったんだけど…流し込む魔力がまだ少し強過ぎたのかも…」


 ま、魔力???は???何を…言ってるんだ???


「…適性から離れてる色だと負担が大きいからかなり軽くしたつもりだったんだけど…初めてはやっぱり、自分の適性に合う色でやらないと厳しいのかも…」


 適性??本気で言ってるのか??魔力??この気持ち悪い感覚が??


 いや、いやいや…筋トレグッズとかみたいに、電気ショックか何かで内臓を動かされた…とか??


 さすってみても表面的には特に変化は無い。


 …うぅ、まだ身体の中の方に気持ち悪い感覚が残ってるけど…


「ごめんセラ…僕は紫の魔力がどんな色をしているのか知らないんだ。やっぱりやめておいた方がいいかもしれない」


 やっぱりやめておいた方が…なんて言い出すウィル。こんな事をしてまで手品のタネを教えたくないのか!?


 ウィルの表情を注意深く見てみたが…意地悪とか、誤魔化そうとして変なことをしている様子はみられない。


 …もしかすると、電気とか、電磁波とかそういうもので動かしてる??お腹の中に…僕のお腹の中に装置が埋め込まれてる…とか!?みんな魔力を持ってるとか言ってて…え、ウィルのお腹の中にも??


 いや、まさか…いやいや…


 え??どういうこと??

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