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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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見た目だけはいい感じのショタジジイ

「………に愛された子ども…」


 ?


 青年が何か言っていたがよく聞き取れなかった。なんだろう?


「こちらの者が本日のお相手を務めさせていただきます。何かあった時やお帰りの際は、こちらの呼び鈴をお押しください。すぐに参ります。私はすぐ退室させて頂きますが、今のところ何かご不明点はございますか」

「………」


 青年は僕を見ながら固まってしまっている。

 相当驚いているみたいだけど…まさかこれほど小さい子が出てくるとは思っていなかったのかもしれないな。


 それと、ドア横の丸いボタンは部屋の照明のボタンではなく、呼び鈴だったらしい。前に照明を点けたり消したりしたボタンとは形が違うなとは思っていたが、特に気にしていなかった。


 ジンムカ様の時は「いつもの様に」と省略されているし、いつも寝落ちしていたので今まで使い方も知らなかったし。


「…ウルイル様?」

「…あ、いや、大丈夫だ。ありがとう」


 世話人は今日も無駄に洗練された動きで礼をし、失礼しますと部屋から出ていく。


 えっと…とりあえず自己紹介した方がいいよね…


「せ、セラ、です。よろしく、おねがいします」


 ドキドキとうるさい音を立てる心臓を抑えながら青年に近付きお辞儀をする。


「あ、ああ。セラ、初めまして。僕はウルイル。気軽にウィルと呼んでほしい。えっと…とりあえず、座ろっか」


 水色の髪に青い目をした青年、ウィルは、大人のようにも子供のようにも見える。


 学生ですと言われれば納得してしまうような若々しさがあるが、外人さんなので年齢が全く分からない。


 向こうも何を話せばいいのか悩んでるっぽいし、こちらから聞いてみよう。


「ウィルさま、なんさいですか?セラは6さい…です」


 自分で言っていて改めて驚いてしまうが、6才で風俗デビューとかどんな冗談だ。


 …デビューしたのは去年だから5才か。


「ろ、6才?…小さい子だと思っていたけど…本当に6才なのかい?」


 本当かと聞かれれば嘘である。


 手術したのか実験したのかわからないが、身体こそ小さくなったものの実際のところは38…いや、この1年で39歳になったおっさんである。


 彼はこの小鹿亭にいい感じのショタを抱きに来たんだろうが、残念だったな。相手をするのはこの僕、見た目だけはいい感じのショタジジイだ。


 …なんかいろいろ申し訳ない…と思う気持ちはあるものの、僕は記憶を失っている設定なのだ。6才として振る舞うしかない。


「きょねんは、5さいだった」

「そ、そうか…春の誕生日に6才になったんだね…」


 苦笑いしているウィルに違和感を覚える。


 なんだろう…


「あっと、僕は何歳かだったね。18歳だよ」


 18歳!


 若そうだと思ってたけど、本当に若い。


「…それで、その。セラ」

「???」

「えっと、ここでの暮らしはどう?辛く…ないかい?」


 とても気まずそうに聞いてくるウィルの姿を見て、違和感の正体がわかったかもしれない。


「いつもはあそんでるだけだから、つらくないよ」

「いつもは?…客の相手をする時は、辛かったりする?」


 心配そうな表情で尋ねてくるウィルを見て確信した。


 この人は…性的なことをしに来たんじゃないんだ。


 いや、もしかしたら性的な事が目的だったのかもしれないが、本当に純粋に、風俗店でとても小さい子どもが相手として出てきたからか、困惑している。


 いくらショタコンの変態だったとしても、こんなに小さい子どもはさすがに対象外だったようだ。


 そう思うとなんだか全身の力が一気に抜けてきて息を吸うのが楽になり、かわりにグッタリとしたダルさが身体の奥底から襲ってきた。


 どうやら僕は自分で思っていた以上に、相当気を張りつめていたらしい。


 いけないな、しっかりしないと。


 多分この人は安全だ。襲われない。それなら後はもう、沢山話を聞くだけ。


 ソファにへたりこみたくなる身体を叱責して、姿勢を正す。少しでも多くの情報を手に入れるために、絶好の機会を逃す訳にはいかないのだ。


「おきゃくさま、いつも、おっきいこがおあいてするから、セラたちほとんどおあいてしないよ。…あっ、しないです」


 いけない、気を抜きすぎて敬語までとれてしまった。慌てて言い直したけれど、ウィルに笑われてしまう。


「ふふっ。敬語なんていらないよ。お友達とおしゃべりする時みたいに普通に話してほしいな」


 ウィルがそっと微笑む。


 もしかしたらウィルは堅苦しいのが苦手なのかもしれない。まだ18歳だし、大人としてより、子どもとして気楽な時間を過ごしたいのかも。


 本当に何も気にしなくてよさそうだけど、一応予防線は張っておこう。


「…おこらない?」

「もちろん」

「じゃあ、ふつうにおはなしするね」

「うん。それで、普段はどんなことをしているの?」


 相手の名を尋ねる時は、まず自分から名乗った方が話がスムーズに行く。


 それと似たようなことで、相手に色々聞きたい時は自分の話も打ち明けることで、相手も話しやすい環境を整えることが必要だ。


 僕はあれこれ聞きたい気持ちをぐっと抑えて、少しの間自分の話をした。


 いつも日向ぼっこしたり、追いかけっこしたり、虫を捕まえたり、壁に絵を描いたり、野菜を育てたり…これからの時期は果物の収穫がある。


 このごろは庭にビグルミの甘い匂いが漂っていて、収穫の時が待ち遠しい。


 去年は赤いアッポの実を友達のクルカラとオープルと一緒に隠れて齧ってとても大変な目にあった。


 歳上の子と一緒にお客様に会って、楽しくおしゃべりもした。


 けれどもちろん、ここでの生活は楽しいことばかりではない。


 今年の春に来た5才の子がお客様のお相手をして、お医者さまに連れて行かれたっきり戻ってこないこと。


 その時一緒にお相手した子も全身に怪我を負っていて、大変だったこと。


 僕自身も1年半ほど前にここで目が覚めて、その前のことは覚えていない。だから小鹿亭の外がどうなっているのか、とても気になるのだと話した。


 …改めて思い返してみると、この1年半で色々あったなぁ。


「そっか…こういう場所だし、楽しいことばかりじゃないよね…」


 最初は楽しそうに聞いていたウィルだったが、ヨーカが医者に連れて行かれた話やアイビスの事を聞いている時はとても辛そうな表情をしていた。


 その様子を見るに、どうやらウィルは僕をここに連れてきた関係者ではなく、本当に何も知らなそうな雰囲気をしている。


 …そういえば世話人が、今回はウィルが予約したんじゃなくて、ウィルの知り合いがここを予約しに来たとか言っていたな。落ち込んでいる友人のため…とかなんとか。


 つまりそっちが黒幕で、何も知らないウィルを様子見に送り込んできたと考えた方がいいだろうな。


 となると…うーん?何を聞いたら大丈夫で、何を聞いたら怪しまれるんだろう…


 ウィルも何を話せばいいのか迷っているのか、困ったような表情で何か考え込んでしまっている。


 部屋が静かになってしまったな…気まずい…あ、そうだ!


「あのね、ウィルさま」

「…ん?なんだい?」

「いつもねえさまたちね、おきゃくさまからきいたおはなし、おしえてくれるの!ウィルさまのおはなし、ききたい!」


 みんなお土産話を期待している。それは嘘では無いし、全く不自然な内容でもない。


 誰が黒幕なのかわからないが、こういう聞き方なら怪しまれないはずだ。


「僕の話か…うーん、そうだなぁ…」


 話す内容を吟味しているのか、さっきの憂い気な表情とは打って変わって、真剣な表情になっている。


 ウィルからはどんな話が聞けるんだろう。


 わくわく。

セラはまだTS転生した事に気が付いていません。事故か手術の影響でアソコが無くなっただけで、自分の事を完全に男だと思い込んでいます。


なので、子どもを抱きに来たのにおじさんを抱く羽目になるお客さん可哀想…とか思ってます。

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