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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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セラのキュウリ

今回からセラ視点に戻ります

 夏は畑の野菜を観察したり、収穫したり。

 虫を追いかけたり、追いかけられたり。


 あっちに登って、飛び降りて。


 壁に絵を描き、地面に絵を描き、ケンケンパっ。


 ここでは何もすることが無いものの、何も無ければ無いなりに何かしらをするもので。


 僕たちは今日も元気にきゃっきゃと嬌声をあげながら走り回っている。


「ふぅ〜〜」


 木陰でちょっと休憩っと。


 僕についてきたルーンとリリカは日陰に入った途端にころんと寝転がり、肩で息をしている。


「はぁ…はぁ…はぁ…もう…つかれた…」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…セラ…すぱるた…」

「ふぅ。…ふたりとも、たいりょくなさすぎなんじゃない?」


 一緒についてきたアイビスは額に汗をかいているものの、まだまだ元気いっぱいのようだ。


「はぁ…はぁ…のど…かわいた…」

「ふぅ…ふぅ…のど…からから…」


 そう言っておもむろに向かい合い、なんの躊躇いもなく唇を合わせるルーンとリリカ。


 二人からちゅっちゅっと音が聞こえてくるのはもうすっかり見慣れた光景となっている。


 まわりのみんなも全く気にしない子も多く、「そういえば私も〜」なんて言いながらキスしだす子たちもいるくらいありふれた光景…なのだが、そんな姿をみかける度に僕は毎度そわそわしてしまう。


 ここには飲み水がない。


 井戸はあるのだが…落ちると危ないという理由で井戸には近寄らせて貰えないのだ。


 それに井戸水をそのまま飲むと危険らしく、お腹を壊してしまうのだとか。


 そのためここの子たちは水を飲む習慣がなく、朝昼晩の食事でスープを飲み、それ以外は他の子とキスをして喉の渇きを潤している。


「…なによ?わたしはのどかわいてないわよ」

「う、うん。セラも、かわいてないよっ」


 アイビスは大丈夫かな?と思って顔色を見ていたら睨まれてしまった。


 アイビスには一時嫌われてしまっていたものの、たぶん、仲直りできたのだと思う。


 いまだに名前で呼んでもらえないし、いつもツンケンした態度をとられてしまうけど…こっちから誘えばこうやって遊びにも付き合ってくれるし、むこうから遊びに誘ってくれることもある。


 よく遊ぶようになってから、アイビスの事が何となくわかってきた。


 負けず嫌いで怒りっぽくて、ちょっと攻撃的な所もあるけれど、誰かが困っていたら助けようとおろおろするし、悲しんでいたら寄り添おうとする優しい心がある子だ。


 こうやって遊んでいる時は元気そうにしているけれど…


 お勉強から帰ってくるたびに目の周りを晴らしていて、顔が真っ青になっているので相当無理をしてるんだと思う。


 毎日お勉強に呼ばれていてあまりにも可哀想だったので世話人にこっそり文句を言いに行ったら、とても不服そうな顔をされてしまった。


「アイビスにはいつでも孤児院に帰れると伝えているし、俺としても無理はさせたくない」

「それなら…」

「だが、アイビスが自分からここで頑張りたいと言っている以上、こちらは無理のない範囲で手伝うまでだ」


 無理のない範囲で…本当だろうか?アイビスはいつも顔を青くして帰ってきているのに…


「…むりやり、いやなことしない?」

「ああ。約束しよう」


 約束してくれた世話人のまっすぐな目を見る限り、本当に無理矢理練習させている訳ではなさそうだった。


 元いた孤児院に戻れるなら戻ったほうがいいと思うのに…アイビスも小さいころから歪んだ常識を植え付けられて、おかしい事をおかしいと感じる事ができなくなっているんだろうな。


 あんな怪我をしてもまだ、ここに残りたいと思ってしまうほどに…


 若干胸がチクチクするものの、ここにいる間は無闇矢鱈とおかしいと声を上げる訳にも、逆らう訳にも行かないのだ。せめて脱出する目処が立つまでは。


「ほらふたりとも!きゅうけいおしまい!たってたって!」

「んっ…もうちょっと…」

「むぅ…あとちょっと…」

「もうじゅうぶんでしょ…みてるこっちがはずかしくなっちゃうわ」


 ルーンとリリカのキスは、いつの間にか口を潤すためのキスからイチャイチャするためのキスに変わっていた。


 美幼女2人が美味しそうに唇を奪い合う姿は、何やら『見てはいけないもの』を見てしまったような…目のやり場に困ってしまう雰囲気が漂っており、どうやらそう感じるのは僕だけでもないようで。


 年上の子たちの中にはルーンとリリカのイチャイチャを見て頬を赤らめたりする子もいる。


「ジュリとセラみたい」なんて声が聞こえてきた時には思わず頭を抱えてしまったし、

「クルカラも!」なんて言いながら僕の頬っぺたを遠慮なく齧ってきたクルカラには、あまりの痛さにクルカラの両方の頬っぺたをギュッとツネり

「かじると、いたい。わかった???」と笑顔で怒ったりもした。


 あれはちょっと大人げなかったかな…とも思うけど、ものすごく痛かったのでブチ切れなかっただけ偉かったと思う。


 ルーンとリリカもイチャイチャスイッチが入らなければ大人しくていい子たちなんだけどなぁ…


 普段は2人で肩を並べながらぼーっとしていたり、空を見ていたり、お絵描きしたり。


 とにかく運動しない2人を少しでも運動させるために、遊びと称して走り回らせているのだ。


 もちろん、ただではない。


「おにわ、3かいまわるのついてきてくれたら、セラのキュウリひとくちあげる」


 ルーンもリリカも辛いだけならすぐどこかにいなくなってしまうので、最後までついてこれたら報酬を用意しているのだ。


 キュウリをひと口。


 それだけ?と思うかもしれない。僕も子どもに戻る前、普通に過ごしていた時はそんな報酬なら絶対に運動なんかしなかったと思う。


 だか、ここでは違う。


 なにせ、水分補給に水を飲むことも出来ない環境なのだ。


 当然オヤツなんてものもなく、朝昼夕の食事のみ。


 しかし…夏だけは…夏だけは畑に野菜が実るのだ!!!


 そしてキュウリだけは毎日毎日大量にできるため、毎日1人1本だけ食べていい事になっている。


 瑞々しくて甘くて美味しいキュウリだ。


 本当は僕だって自分の分は全部自分で食べてしまいたいが、2人にしっかり運動してもらうためには今のところ食べ物で釣る以外にいい方法が見つかっていない。


 …これもみんなで脱出する時のためだ。失敗する訳にはいかない。少しでも成功率を上げるため、全員人並み程度に動ける様にしておかなくては。


 ちなみにアイビスのことは誘っていないが、2人を誘ったら一緒についてきた。


「ごほうびのキュウリ、アイビスのぶん、たりないかも…」


 と言ったら、呆れた顔でいらないわよと言われてしまったけれど、まぁ、いらないならいいんだ。


 僕のぶん全部無くなっちゃうかもと少し心配だっただけで…



 家に帰ったら気が済むまでオヤツを食べまくり、ジュースを飲みまくってやるんだ。絶対に。


 そんなことを考えながら、木の根で凸凹になった森エリアを走り、グネグネとしたビグルミの木の天然ジャングルジムを越え、数回の休憩を挟みながら庭を3周走り終わり、畑の前までやってきた。


「とうちゃーく!」

「…もうくたくた…」

「…もうへとへと…」

「まだまだあそびたりないけど、きゅうけいにちょうどいいわ」


 ルーンとリリカは疲れ過ぎたのかうつ伏せでへばってしまっている。もうちょっと体力をつけてくれるといいんだけど…


 アイビスはまだまだ動き足りないと言った感じだ。健康的でいいね。ぜひそのまま健康優良児に育ってもらいたい。


「では、これからキュウリをえらびます!」

「「…キュウリ!」」


 途端に元気になるルーンとリリカ。


 現金な子たちだ…とは思うまい。このために頑張ってきたんだもんね。


 みんなで自分のキュウリを選び、ルーンとリリカに声をかける。


「ルーン、リリカ、おつかれさま。セラのキュウリ、ひとくちどーぞ」


 ルーンとリリカが可愛らしくひと口ずつ僕のキュウリを齧る…という想定をしていたのだが、ここで想定外のことが起こった。


 最初に齧ろうとしたルーンが大口をあけ、喉の奥まで咥えこんで齧っていったのだ。


 一気に半分近く無くなるキュウリに、驚きのあまり何も言えずアイビスと共に唖然としていると、ルーンを見ていたリリカも負けじと大口をあけ、同じくらい齧りとっていった。


 戦果を口から出して、こっちのほうがちょっと長いだの、こっちのほうがちょっと太いだの自慢し合う2人をよそに、僕は手元に帰ってきたキュウリを見ていた。


 僕の分がひと口どころか、半口ぶんも残っていないではないか。


 そりゃあ2人はヘトヘトのヘロヘロになりながら頑張っていた。その報酬として、ひと口分のキュウリ。


 少ないくらいだろう。確かに、普通のひと口分じゃ少ない。とはいえ、ちょっと…これはあんまりにも遠慮なさすぎじゃないだろうか。


 抗議した方がいいだろうか…でもでも、2人が次から頑張ってくれなくなったら困るのだ。


 うーん…


「はい、あげる」

「えっ?」


 突然目の前に差し出されるキュウリ。


 驚いて顔を上げると、アイビスが自分のキュウリを少し折って差し出してくれていた。


「アンタのぶん、ちょっとしかのこってないじゃない」

「あ、えっと、でも、アイビスのぶん、すくなくなっちゃう…」


 アイビスだって、1日1本しか食べられないのだ。楽しみにしていただろう。

 僕だって楽しみにしていたけれど…今日一日くらいおやつが半口分しかなくったって…それに、一応僕にも年上のプライドというものが…


 なんてモジモジしていると。


「いるの?いらないの?…ほら、いるんでしょ」


 そう言って押し付けるように手渡されてしまった。


「…ありがと」

「ふん。…どういたしまして」


 ルーンとリリカは2人で幸せそうにキュウリを食べあっているので、僕はアイビスと並んで座る。


「アイビスからもらったキュウリ、おいしい」

「アンタのとあじかわんないでしょ」


 味は変わらないかもしれない。それでも。


「…おいしいきがする」

「ふーん」


 しゃくり、もぐもぐ。

 しゃくり、もぐもぐ。


 塩も味噌もつけていないただのキュウリだけど、瑞々しくて、自然な甘みがあって、優しさと思いやりが詰まってる。


「…アイビスがこまってたら、セラもたすけてあげるね」

「いらないわよ」

「アイビスからも、なんでも、そうだんしてね」

「わたしのはなしきいてる?」


 しゃくり、もぐもぐ。

 しゃくり、もぐもぐ。


 アイビスとまた少し仲良くなれた気がした。

そういえば先日買ってぼろ負けしたと愚痴をこぼした仮想通貨が爆上がりしています。びっくりですね。まさかこれ程上がるとは…とはいえまだまだ私が買った金額には届いていないのですが。持ち続けている方、おめでとうございます。

私ですか?もちろん高くなったと判断した時に売りましたとも。

ただ、その後もっと高くなったので「安くなったら買い戻そう」とか思っているうちに上がり、「今よりちょっと下がったら…」と思ううちに更に上がり、いい加減ヤバいと思って買ったら下がり(?)、このまま雪崩のように転落しそうな雰囲気を感じて投げ売りした途端に反転して上がり。上がり。上がり。。。

今はそこからガクンと下がり。

ええ。ええ。ええ。・・・ゆ・る・す・ま・じ!!


買ったら下がり、売ったら上がる。この世の真理ですね。ええ。


…おのれぇぇ

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