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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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意地悪なマルドレーヌ

前回に引き続きアイビス視点になります。

 怖い。

 嫌だ。

 痛い。

 苦しい。

 助けて。



 目覚めた時には身体の全部が痛くて、涙が溢れて止まらない。


 すぐ側にはアイラがいて、私をすぐに抱きしめてくれた。


 もう大丈夫だから。もう終わったから。


 泣きながらそう言うアイラの声に、私は大声をあげて泣いた。


 もう終わったんだ。もう大丈夫なんだ。


 落ち着いてから周りを見てみると、アイラが抱きしめてくれていて、ルーンとリリカがいて、シアノがいて。


 ヨーカはどこにいるんだろうと思ったけど、なんとなく怖くて聞けなかった。



 あの部屋には、ヨーカらしい何かが…転がってて…



 思い出そうとした瞬間、怖い気持ちが心を埋めつくして涙が溢れてきた。


 怖くて何も考えられない。何も思い出したくない。


「もう終わったから」「もう大丈夫だから」


 そう言うアイラの声が聞こえる。


 アイラにしがみついて泣いて、泣いて、いつの間にか眠ってしまった。


 部屋には私と、アイラと、ルーンと、リリカと、ついでにシアノがいる。


 シアノはいなくていいのに、なぜかずっといる。


 シアノの顔なんて見たくないのに、怪我が痛くてあまり動けないせいでシアノにも手伝ってもらわないといけないのがとってもイヤだ。


 せっかくルーンとリリカが一緒にいてくれてるのに、セラがルーンとリリカを連れていこうとする。


 どうして私から友達を取ろうとするの?


 あんなに怖くて痛い思いをして。

 友達までいなくなっちゃうなんてイヤだ。


 しばらくして動けるようになったから、ルーンとリリカをお散歩に誘ったのに来てくれなかった。


 ずっと一緒にいてくれたのに。

 なんで一緒に来てくれないの。


 きっと私が寝てるあいだに、セラが2人に何か言ったんだ。


 セラのせい。シアノのせい。


 嫌い。嫌い。


 世話人を見かける度に、あの時のことがよぎって怖くなる。


 もう大丈夫だから。

 お客さまはもう来ない。

 もう大丈夫なんだ。


 わかっていても、怖くて怖くて、身体のあちこちの痛みがぶり返してきて、動けない。


 セラもシアノも大っ嫌い。


 痛いのも、じょうずに動けないこの身体も、全部全部大っ嫌い。




 ゆっくりだけど走れるくらいになってきた頃、壁の近くに誰もいないのに気がついた。


 いつも誰かがお絵かきしてるのに。


 壁の下には一面に可愛い色とりどりのお花が描かれているけれど、これをセラが描いたんだと思うとなんだかむかむかする。


 消しちゃおうか。


 なんて思うけど、私は意地悪なマルドレーヌじゃない。


 マルドレーヌみたいに、セラやシアノみたいに、意地悪なんてしないんだから。


 でも、むかむか、いらいらする気持ちはどうしたらいいんだろう。


 そうだ!


 セラが描いた大きな木の絵より、もっともっと、1番大きな絵を描いちゃおう。


 何を描こうかなって思って、私はちょうちょの絵を描くことにした。


 ひらひら、ふわふわ飛んでいて可愛い蝶々。


 ちょっと大変だったけど、アイラに肩ぐるましてもらってとーっても大きな蝶々を描いた。


 ふふん!小さいセラじゃこんなに大きな絵は描けないでしょ!!


 そう思って少しだけいい気分になった。


 それなのにセラは。


 ううん、もうセラなんて呼ばない!


 あんなヤツ、名前でなんて呼びたくないもん。


 アイツは、私が描いた蝶々の絵を使ってルーンとリリカを遊びに誘って、一緒にお絵かきし始めた。


 私が描いた蝶々なのに!

 私だってルーンとリリカと遊びたかったのに!

 すっごくすっごく嫌なヤツ!

 大っ嫌い!


 でも、それからルーンとリリカはたまに外で遊ぶようになって、私も外で遊んでる2人とたまに一緒に遊ぶようになった。


 だいたいはお絵かきだけど。


 だけどそんなお絵かきをしてる時に事件が起きた。


 ルーンが描いたてんとう虫に触角が無かったから、描いてあげようと思ったのに。


 ルーンが邪魔したせいで、てんとう虫の絵を台無しにしちゃった。


 絵をダメにするつもりなんて無かったのに。


 アイツが描いた絵だって、消さないで我慢したのに。


 マルドレーヌみたいな嫌な事するヤツだって思われたらって考えたら、悲しくって、悔しくって、もうわからなくなって、ルーンの絵をぐしゃぐしゃに塗りつぶしてしまった。


 泣くルーン。

 突っかかってくるクルカラ。

 どこからともなくやって来て、首を突っ込んでくるアイツ。


 ルーンと仲直りしたいのに。

 みんなが私の邪魔をする。


 みんなみんな、大っ嫌い。


 みんなから離れて1人土をいじっていると、アイラが追いかけてきた。


 私の味方はアイラだけ。


 アイラだけが私を心配してくれて、アイラだけが私のことをちゃんと見てくれて、ダメな時はダメだよって叱ってくれる。


 …そう思ってたんだけど、それはちょっと違ったみたい。


 アイツがルーンやリリカ、ほかにもいーっぱい連れてきて、ルーンと仲直りさせてくれた。


 私がアイツと話したくないって言ったから、アイラがアイツとクルカラだけ他のところに連れてってくれたけど、ルーンとお話したら、アイツが…セラが、ルーンにてんとう虫探して私と仲直りしよって誘ってくれたらしい。


 そのあと戻ってきたセラも、仲直りしたいって言ってきた。


 私の気持ち、全然考えてなかったって言われてすごくショックだったけど。


 セラは意地悪する気なんてこれっぽっちもなかったんだって、なんとなくわかった。


 でも素直に仲直りするのは、ちょっとむかつく。


 だってとっても悲しくて、むかむかして、嫌だったから。


 クルカラがセラの味方ばっかりするのも気に入らない。


 だってクルカラ、ちょっと変だもん。


 遊んでても、セラが、セラが、ってセラのことばっかり。


 嫌だったけど、クルカラとも仲良くなりたかったから我慢したのに。


 なのに私がセラをちょっと押したら、私が悪いみたいに言ってくるんだもん。


 セラの事さえなければいい子なのに。


 セラもクルカラも、マルドレーヌみたいに意地悪なヤツじゃなかったけど…


 セラは、仲直りしようかなって思うと、なんかやっぱりむかむかする。

 クルカラもちょっと嫌い。


 仲直りしたい気持ちはあるけど、やっぱりセラは、名前で呼びたくない。


 しゃべり方もちょっと変だし。


 これからもアイツって呼ぼう。




 それからしばらくして、私の『お勉強』が始まった。

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